エンジンルームに搭載可能な3軸センサー(ヨーレート、2軸加速度) ボッシュのESC用一体型慣性センサーで初のバイブレーションダンパー内蔵
PR TIMES / 2012年12月28日 11時28分
■内蔵された機械式バイブレーションダンパーで干渉を抑制
■エンジンルーム内の厳しい環境に合わせた設計
■第9世代ESCコントロールユニットに初めて採用
ボッシュの新しいSMI650複合慣性センサーは、自動車のエンジンルーム内の厳しい環境に耐えられるよう設計されています。最高+140°Cの動作温度下での耐性を備え、特殊なバイブレーションダンパーにより強い広帯域振動にも対応できるようになっています。ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)用慣性センサーにバイブレーションダンパーが組み合わされたのは今回が初めてで、このことにより、外部センサーに接続するための複雑な配線が不要となりました。2軸の加速度センサー(ayおよびaz)と1軸のヨーセンサー(Ω x)を併せ持つSMI650は、自動車の3軸の挙動をモニターする本格的なESCセンサーです。初めて量産されるこの新型複合慣性センサーは、ボッシュの現行の第9世代ESCコントロールユニットに採用されることになっています。
■センサーエレメントを干渉から保護
車両用センサー技術で現在主流となっているのは、複数センサーの一体化活用です。これは、さまざまなセンサーを1つのハウジングに組み込むことにより、操作や取り付け、電気接続を著しく単純化できることから、コストの削減につなげることができる、非常に合理的な手法です。ただ、SMI650のような複合センサーは、快適な車内空間から自動車の「拷問部屋」とも呼べるほどのエンジンルームに移さなくてはならないため、さらに厳しい環境下での耐性を備える必要があります。
エンジンルームでは、温度が氷点下から水の沸点よりも高い温度まで激しく変動することもあり、不安定な走行条件においてエンジンタイプの違いがもたらす大きな振動をセンサーが誤認することは許されません。そこで、干渉をもたらす要因からSMI650センサーの各部を保護するために、PM28Dセンサーハウジングにバイブレーションダン パーが組み合わされました。このハウジングのベースプレートは特別に開発されたシリコン素材で覆われ、センサーを暗振動から遮断します。さらに、ボッシュはマイクロメカニカル式ダンパーを使用した加速度センサー構造を採用しただけでなく、コンポーネントに合わせて最適化したASICを導入し、センサーの比類ない堅牢性を実現しています。このように、SMI650はユニット(ESC用ECU)に一体化できるよう最適化が施されています。
背景:ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)
ESCコントロールユニットのマイクロコンピュータは、ESCセンサーの伝送信号をモニ ターし、ドライバーのステアリング入力と車両の実際の挙動を1秒間に25回比較します。比較した値が異なる場合には、ESCは即座に反応して状況に応じたブレーキ力を生み出し、物理的に可能な限りドライバーのステアリング入力に従って車両が走行し続けられるよう、必要な反作用力を生成します。ボッシュは1995年にESCの製造を開始し、ヨーレートや横加速度を測定するセンサーを2008年に初めてコントロールユ ニットに組み込みました。なお、それ以前の各センサーは、車室内に取り付けられていました。
■テクニカルデータ - SMI650(抜粋)
センサー軸 Ω x a y , a z
測定範囲 ±100 °/s ±2.0 g
感度 100 LSB/°/s 5000 LSB/g
感度変化 ±3 % ±5 %
非線形性 ±0.5 °/s ±30 mg
オフセット変化 ±3 °/s ±70 mg
ノイズ(60 HzでのRMS) 0.6 °/s 10 mg
帯域幅(−3 dB) 57 Hz −
供給電圧 5 V
暗電流、最大 25 mA
周囲温度 −40 °C to +140 °C
背景:MEMS技術
ボッシュは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術の開発を手がけるパイオニア企業の1つに数えられ、1995年に生産を開始して以来、20億個を超えるMEMSセンサーを生産しています。生産量は毎年新記録を更新し、2011年には約5億個のセンサーがロイトリンゲンの生産拠点から送り出されました。こうしたことを通じて、ボッシュはマーケットリーダーとしての地位を確立しています。その製品範囲は圧力、加速度、ヨーレート、慣性測定用の各センサーに及び、自動車や家庭用電化製品業界においてさまざまな用途で用いられています。ボッシュの車両用センサーの詳細については、www.bosch-sensors.com をご覧ください。
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