サトーとエンビプロ、「リチウムイオン電池リサイクル過程の情報化」実証成功
PR TIMES / 2024年12月5日 16時40分
輸送中の温度変化や再資源化の過程をデジタル化しトレース可能に
株式会社サトー(本社:東京都港区、以下「サトー」)と株式会社エンビプロ・ホールディングス(本社:静岡県富士宮市、以下「エンビプロ」)は、使用済みリチウムイオン電池(以下「LIB」)の回収から再資源化までのリサイクル過程の履歴をトレースできる情報取得の実証実験(以下「PoC」)に成功したことをお知らせします。
なお、このPoCの内容および結果は、2024年12月4日(水)~6日(金)に東京ビッグサイトで開催される「サーキュラーパートナーシップEXPO 2024(主催:日本経済新聞社)」で展示します。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6066/33/6066-33-9e46828c9c324d75f01a0da8a91da698-1463x691.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
実証実験の背景および目的
身近な製品から産業機器まで幅広く使用されているLIBは、普及とともに廃棄量が増加しています。また、LIBの材料となるリチウムやニッケル、コバルトなどのレアメタルは、将来的に材料不足が予想されています。そのため、使用済みLIBの回収から再資源化の効率向上は社会課題の一つとなっています。また 近年、使用済みLIBの輸送中や廃棄物処理の過程において、発熱・発火による火災事故が急増しています。
これらの課題に対応するため、サトーとエンビプロは、使用済みLIBの回収から再資源化までの処理履歴が確認可能になる、データ取得の実効性と実用性を検証しました。処理過程では、温度と衝撃の情報を継続的に記録して状態をモニタリング。リサイクル工程では在庫管理、工程内ステータス記録、各種履歴をトレースできるデジタル情報を取得しました。
これらの履歴をシステム上で可視化することで、リサイクル過程のトレーサビリティと、リサイクル資源の生産量予測などの実現を視野に入れており、将来的にはウラノス・エコシステム※1やバッテリーパスポートへのデータ連携を想定しています。
使用済みLIB再資源化のトレーサビリティPoCの結果について
今回のPoCは、使用済みLIBにRFID温度ロガータグなどを取り付け、回収からリサイクル工場まで輸送時の温度や衝撃のデータを継続的に収集・記録しました。さらに、ブラックマス※2として再資源化するリサイクル工程の情報化に成功しました。収集した各データは、クラウド上に蓄積され、エンビプログループの株式会社ブライトイノベーションが開発中のトレーサビリティ管理システム「TraceView」上で可視化が可能となりました。
実証内容
1.使用済みLIB輸送時の温度データ取得
RFID温度ロガータグ「LogBiz-Thermo」を用いて、LIB輸送中の温度を継続的にモニタリングすることが可能となりました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6066/33/6066-33-6fcbedb2a5c44cf8aa5a60e4e7831674-1852x910.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
2.トレーサビリティの確立
LIBを集積したドラム缶に固有のIDを付与し、輸送の日時や位置情報、温度情報、リサイクルの開始や工程ごとの日時、生産したブラックマスのIDへのひも付けなど、回収から再資源化まで全工程における履歴をクラウド上に蓄積し追跡を可能にしました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6066/33/6066-33-b48060594ce3e3f882d9148ed26e39e5-1690x612.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
3.効率的なリサイクルプロセス
実証実験の過程や取得データをもとに、リサイクルプロセスにおけるトレーサビリティ実現の知見と、新たな課題を発見しました。
新たに発見した課題
・個体識別のID管理や識別粒度・対象など、社会実装のルールメイキングが必要な項目があること
・伝票の流れが動脈物流と静脈物流で異なる場合があり、商流の整備が必要な場面があること
・リサイクル現場では業務上、状況判断による応用力が必要で、標準作業手順と異なる行動が発生すること
今後の展望
PoCで得られた成果を踏まえ、サトーとエンビプロは、使用済みLIBのリサイクルにおける情報化をさらに推進してまいります。将来的には、収集データをバッテリーパスポートに連携させ、LIBのライフサイクル全体における情報の一元管理をめざします。また、リサイクルプロセスのさらなる最適化と、社会全体の課題解決に貢献します。今後もサステナブルな社会の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。
※1: ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)とは、2023年4月に経済産業省が発表した、Society5.0⦅サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(物理空間)を高度に融合することで経済発展と社会的課題の解決と産業発展を両立する人間中心の社会⦆の実現というビジョンに共感した方々とともに、こうした取組を通じて、その実現を目指す、一連のイニシアティブです。https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/ouranos.html
※2:ブラックマスとは、LIBを放電・乾燥・破砕・選別することで再資源化したリチウム、コバルト、ニッケルの濃縮滓
その他記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
株式会社エンビプロ・ホールディングス 概要
エンビプログループは、「持続可能社会実現の一翼を担う」をミッションに掲げ、環境事業の専門家として資源問題や環境問題の解決に取り組む企業グループです。廃棄物を破砕・選別することでリサイクル資源を生産する資源循環事業の他、リサイクル資源の物流を担うグローバルトレーディング事業、LIBリサイクルに特化したLIBリサイクル事業、環境経営コンサルティング、障がい者の就労支援等を行っており、鉄・非鉄金属を中心に、プラスチック、ゴム、リチウムイオン電池等のさまざまなリサイクル資源を扱います。
所在地 :静岡県富士宮市田中町87番地の1
代表者:代表取締役社長 佐野 富和
資本金 :15億7,721万円(2024年10月末時点)
企業HP:https://www.envipro.jp/
事業内容:傘下事業会社(総合リサイクル、トレーディング、障がい福祉、環境コンサルティング他)の経営管理、並びにそれに付帯する業務
株式会社サトー 概要
あらゆるものを情報化して、社会のうごきを最適化する。サトーグループは、90を超える国・地域でビジネスを展開する創業1940年のグローバル企業グループです。バーコードやRFIDなどに代表される、自動で情報を認識・入出力するための技術(自動認識技術)を用いて、リアルな世界のあらゆるものを情報化し、その情報を活用することで、現場ごとに最適な課題解決の仕組みを提供しています(2024年3月末時点、連結売上高1,434億円)。
所在地 :東京都港区芝浦3 丁目1 番1 号 msb Tamachi 田町ステーションタワーN
代表者:代表取締役社長 笹原 美徳
資本金 :40 億円
企業HP:https://www.sato.co.jp/
事業内容:自動認識ソリューション商品(ラベルプリンター、RFIDプリンター、ラベル自動貼付機、ソフトウェア、シール・ラベル、RFIDタグ、ハンドラベラー等)の企画、開発、設計、製造、販売、保守。バーコードリーダー、RFIDリーダー、自動貼りロボットなど他社周辺機器を組み合わせた総合的なソリューションの企画提案。
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