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メルク、6億米ドルでミルスバイオ社買収の正式契約を締結

PR TIMES / 2024年5月29日 11時45分

・買収によりメルクはウイルスベクター製造のための統合的なサービス提供を実現
・細胞治療や遺伝子治療などの新規モダリティの開発・製造のための既存ポートフォリオを補完
・新規モダリティはメルクのライフサイエンス・ビジネスにとって重要な成長分野

2024年5月22日、ドイツ・ダルムシュタット発 - 世界有数のサイエンスとテクノロジーの企業であるMerck(以下メルク)は、ライフサイエンス企業のミルスバイオ社を6億米ドル(約5億5,000万ユーロ)で買収する正式契約を締結しました。米国ウィスコンシン州マディソンに本拠を置くミルスバイオ社は、トランスフェクション試薬の開発と製品化のスペシャリストです。ミルスバイオ社のTransIT-VirusGEN(R)のようなトランスフェクション試薬は、細胞に遺伝物質を導入するために使用されます。これらの試薬は、細胞治療や遺伝子治療のためのウイルスベクターの生産において重要な役割を果たしています。

メルクの経営執行委員会会長兼CEOのベレン・ガリーホは次のように述べています。「この戦略的買収は、将来のブレークスルーテクノロジーの成長を加速させるためのさらなる基礎的要素となります。当社は、ウイルスベクター製造における有数の企業として、細胞治療と遺伝子治療が持つ大きな可能性を世界中の患者さんに提供することを目標としています。サイエンスとテクノロジーのリーディングカンパニーであるメルクは、バイオ医薬品業界全体におけるライフサイエンス分野のお客様をサポートし、新たな治療法を市場に送り出すための体制を整えています」

メルクの経営執行委員会メンバー兼ライフサイエンス・ビジネスCEOのマティアス・ハインツェルは次のように述べています。「ウイルスベクターを用いた細胞治療や遺伝子治療のような新規モダリティは、患者さんの生活の質を向上する大きな可能性を秘めています。ミルスバイオ社の最先端技術とメルクのバイオプロセスに関する専門知識やポートフォリオを組み合わせることで、ウイルスベクターの開発と製造のほぼすべての段階においてソリューションを提供できるようになります。私たちは、ウイルスベクターのバリューチェーンに沿って統合された製品を提供することで、現在急成長している市場の顧客をサポートし、世界中の患者さんの生命と健康にプラスの影響をもたらすことができる体制を整えています」

ミルスバイオ社CEOのデイル・ゴードン氏は次のように述べています。「当社は20年にわたり、核酸導入のイノベーションを推進してきました。メルクの広範なポートフォリオ、スケール、グローバルリーチと、当社の最先端のトランスフェクション試薬との組み合わせにより、私たちはビジネスをさらに飛躍させ、世界中のより多くの顧客、そして患者さんに貢献することを可能にするでしょう」

グローバル投資会社KKRが設立したライフサイエンスプラットフォームであるGamma Biosciences社とのミルスバイオ社買収に関する取引は、規制当局の認可およびその他の慣例的な買収完了条件を満たすことを前提に、2024年第3四半期に完了する予定です。

メルクのライフサイエンス・ビジネスは、製薬業界全体の科学的ブレークスルーを加速するツールや高品質の化学品、消耗品を提供しており、これにはバイオ生産プロセス向けの最も幅広い製品ポートフォリオが含まれます。ミルスバイオ社の買収は、前臨床段階から商業生産に至るまで、細胞治療と遺伝子治療を前進させるためのウイルスベクター製造のあらゆる段階においてソリューションを提供するというメルクの目標に向けた重要な一歩です。メルクの専門知識は、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスなど、さまざまな種類のウイルスベクターをカバーしています。さらにメルクは、30年以上にわたる細胞・遺伝子治療薬の商業化に向けたサポート経験を生かし、ウイルスベクター製造のための受託試験サービスと幅広い包括的な開発製造受託サービスの両方を提供しています。

細胞治療や遺伝子治療、抗体薬物複合体やmRNAのような新しいモダリティは、患者さんの生活の質を向上する上で非常に有望です。これらのモダリティのプロセス製品の世界市場は、中期的に年間20%前後の成長が見込まれています。例えば、開発中の細胞・遺伝子治療薬全体の数は2019年以降倍増しており、商業段階に進むものも増えています。ウイルスベクターは、これらの生命を変える治療法の生産において重要な役割を果たしています。この成長を支えるため、メルクは2021年に米国カリフォルニア州カールスバッドを拠点とする2つ目のウイルスベクター受託開発製造施設を開設しました。また、1億ユーロの投資により、ウイルス遺伝子治療の大規模な商業・工業生産をサポートする能力を2倍以上に増強しました。さらに、顧客が新たな治療法を市場に投入できるよう、研究開発にも投資しています。メルクは2024年、ドイツ・ダルムシュタットのグローバル本社にて、新しいライフサイエンス研究センターの定礎式を行いました。この3億ユーロを超える投資により、ウイルスベクターやmRNAのような新規モダリティを含む主要技術の研究が集約されます。

ウイルスベクター
ウイルスベクターは、細胞に遺伝物質を導入するための非常に効果的なツールです。自然な状態でのウイルスはヒトの細胞に入り込み遺伝物質を導入して細胞により多くのウイルス粒子を産生させます。科学者はこの能力を利用して遺伝物質を導入しますが、その際に病気を引き起こさないようにウイルスを改変します。するとウイルスは治療用遺伝子をヒト細胞に送り込むことができる運搬手段、すなわち「ベクター」となります。それによってウイルスベクターは、細胞治療や遺伝子治療を含む医学研究や治療に広く用いられています。

細胞治療と遺伝子治療
過去10年間に20以上のウイルスベクターを用いた細胞・遺伝子治療が承認されました。現在、世界全体でおよそ1,500以上の分子が開発されています。市場は2028年までに30%成長すると予測されています。遺伝子治療では、ウイルスベクターが機能する遺伝子を患者さんの細胞に運び、欠陥のある遺伝子を置き換えたり、新しい遺伝子を追加したりして病気と闘います。細胞治療では、ウイルスベクターを使って患者さんの体外で細胞を改変してから患者さんに戻すことができます。よく使われるのは、がんと闘うための免疫細胞の改変です。ウイルスベクターは免疫細胞に新しい遺伝物質を導入し、がん細胞を攻撃する能力を高めます。これらの改変した細胞を免疫系がより効果的に病気と闘うのを助けるため患者さんに戻します。

メルクについて
Merck(メルク)はヘルスケア、ライフサイエンス、エレクトロニクスの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジーの企業です。約63,000人の従業員が、人々の暮らしをより良くすることを目標に、より楽しく持続可能な生活の方法を生み出すことに力を注いでいます。ゲノム編集技術を進展させることから治療が困難を極める疾患に独自の治療法を発見すること、また 各種デバイスのスマート化まで、メルクはあらゆる分野に取り組んでいます。2023年には65カ国で210億ユーロの売上高を計上しました。

メルクのテクノロジーと科学の進歩において鍵となるのは、サイエンスへのあくなき探求心と企業家精神です。それはメルクが 1668年の創業以来、成長を続けてきた理由でもあります。創業家が今でも、上場企業であるメルクの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、メルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国では、ヘルスケア事業ではEMDセローノ、ライフサイエンス事業ではミリポアシグマ、エレクトロニクス事業ではEMDエレクトロニクスとして事業を行っています。

メルク株式会社について
メルク株式会社はメルクの日本法人として1968年に設立されました。基礎研究や医薬品製造、創薬などライフサイエンスに関わる製品・サービスを展開しています。メルク株式会社は、ライフサイエンス・ビジネスおよびメルクの管理部門を担っています。メルク株式会社の詳細については https://www.merckgroup.com/jp-ja をご覧ください。

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