日本企業・団体が関わる漁業改善プロジェクトを経て、アサリ漁としては中国初となるMSC認証漁業が誕生
PR TIMES / 2021年9月22日 15時45分
中国の黄海沿岸、鴨緑江河口域のアサリ漁が、MSC(海洋管理協議会)の持続可能な漁業のための国際規格に適合しているとして、中国のアサリ漁業では初となるMSC漁業認証を取得しました。今回の認証取得は、世界における持続可能な水産物の供給を推進するうえで重要な出発点となります。
水産加工会社である丹東泰宏食品有限公司、日本市場向けの主要なサプライヤーである株式会社ニチレイフレッシュ、WWF中国とWWFジャパンの協働により進められた漁業改善プロジェクト(FIP)を経て、この漁業の認証取得が実現しました。このアサリ漁は2016年11月にFIPを開始し、その3年後の2020年1月にMSC漁業認証の本審査に入りました。今回の認証取得は、MSC認証取得のために持続可能な漁業を目指して意義のある改善を行ううえで、FIPがいかに有効であるかを示すものです。
丹東泰宏食品有限公司の会長、シン・リャンホン氏は次のように述べています。「MSC漁業認証の取得は、当社のサステナビリティへの取り組みを示す最良の方法です。これは当社にとっても、この取り組みに参加したすべての人々にとっても、非常に大きな成果です。認証を取得したことにより、漁業管理の改善をさらに推し進めることができますし、海外および国内市場へのアクセスを強化できるようになります」
本漁業が認証を維持することによって、すべての関係者がこの漁業の持続可能性に確信を持ち、貴重な水産資源と海洋環境を将来の世代のために守っていくことができます。また、アサリにMSCエコラベルを付けて販売することができるため、新たな市場を開拓し、持続可能な水産物に対する国際的な需要の高まりに応えることもできます。
MSCアジア太平洋地域ディレクターのパトリック・カレオは次のように述べています。「この黄海沿岸漁業は、多くの地域コミュニティの暮らしを支えています。黄海沿岸は、中国国内や近隣諸国に水産物を供給する重要な地域であり、中でも最も重要なのがアサリ漁・加工業です。この代表的な漁業が、中国のアサリ漁として初のMSC漁業認証を取得したことをうれしく思います。今後も丹東泰宏食品有限公司やそのほかの企業・団体とのパートナーシップを継続し、この重要な成果が発展していくことを願っています」
MSC漁業認証規格の審査は、独立した審査機関であるSCSグローバルサービスの審査員と海洋科学者によって行われました。透明性の高い審査プロセスにより、漁業が海洋生態系に与える影響や、将来にわたって環境を確実に保護するための管理が適切に行われているかが審査されました。SCSグローバルサービスは、MSC認証漁業に求められる高いレベルの持続可能性をこの漁業が確実に維持しているかを検証するために年次監査を実施し、5年後には認証更新審査を行う予定です。
中国水産加工流通協会(CAPPMA)の会長、崔和氏は次のように述べています。「黄海沿岸の干潟で行われる持続可能なアサリ漁は、同地域のほかの漁業のお手本となるでしょう。この漁業は生態系の保全を率先して行い、持続可能な漁業プログラムが生態系の保全と経済的利益のバランスを取りながら多様な便益を生み出せることを先駆けて実証しています」
アサリ(学名:Ruditapes philippinarum)は、中国東北部の遼寧省丹東市の鴨緑江河口域に生息する主要種の一つです。本アサリ漁の操業地域である「黄海エコリージョン」(YSE)は、生物多様性に富み、渡り鳥の重要な中継地でもあります。昨年のアサリの総生産量は400万トン以上でした。丹東はアサリの主要生産地として持続可能な水産物の市場拡大において重要な役割を果たしています。
注記:
アサリ(学名:Ruditapes philippinarum 異名:Venerupis philippinarum)は、マルスダレガイ科に属する食用二枚貝。一般的な名称としては、和名と同じAsari、Japanese little neckやshort neck、Japanese carpet shellなどがあります。フィリピン、南シナ海、東シナ海、黄海、日本海、オホーツク海、南千島周辺に生息しています。
鴨緑江河口域のアサリ漁業の審査および認証に関する詳細(英語)
https://fisheries.msc.org/en/fisheries/yalu-estuary-manila-clam-fishery/@@view
漁業改善プロジェクト(FIP)について(英語)
https://www.msc.org/for-business/fisheries/developing-world-and-small-scale-fisheries/fips
MSC(海洋管理協議会)について
将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所をおき世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は世界約100カ国で47,000品目以上、日本では約900品目が承認・登録されており、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、西友、ライフ、マクドナルドなどで販売されています。
持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新かつ確実な科学的根拠に基づき策定されたものです。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、独立した審査機関による審査を通じて実証することが求められます。
詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp
MSC「海のエコラベル」について
MSCの厳格な規格に適合した漁業で獲られた水産物にのみ認められる証、それが「海のエコラベル」です。
[画像1: https://prtimes.jp/i/59178/36/resize/d59178-36-1f620896a644b9d663a6-0.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/59178/36/resize/d59178-36-fb5a8b507da08eeadb27-1.png ]
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