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ヨーロッパで漁業資源の健全性がリスクにさらされる中、大手水産企業が南米に注目

PR TIMES / 2022年5月13日 14時15分

タイセイヨウサバ、タイセイヨウニシン、ブルーホワイティングを巡る政府間協議は継続



北東大西洋のタイセイヨウサバ資源の過剰漁獲が続いているため、欧州の大手小売業者やメーカーは、南米チリから持続可能なチリマアジの調達を開始しました。

欧州の漁業国間で持続可能な漁獲枠の割当てに関する合意に至らないために、北東大西洋のタイセイヨウサバが過剰漁獲され(注1)、2019年にはタイセイヨウサバ漁業に対するMSC(海洋管理協議会)の持続可能な漁業のための認証が停止されました。 これを受けて、一部の欧州水産企業は、持続可能な水産物に対する消費者の需要に応えようと、MSC認証のタイセイヨウサバの代替物を南米に求めています。

ドイツの大手水産ブランドFollowfoodは、ドイツでチリマアジの缶詰の販売を開始する予定です。スイスのMigros、ベルギーのDelhaize、オランダのAlbert Heijnといった大手スーパーでも、タイセイヨウサバに代わる持続可能な魚として、チリマアジの販売を始めました(注2)。

持続可能な代替物を求める欧州市場
ドイツにおけるサステナビリティを牽引しているFollowfood社の戦略・ブランド担当のユリウス・パーム氏は次のように述べています。「私たちはこれまで一貫して、妥協することなく、持続可能な水産物の調達に取り組んできました。水産物を調達する際に最も重視しているのがMSC「海のエコラベル」です。北東大西洋におけるヨーロッパのサバ漁業は管理が不十分であり、MSCラベルを製品に付ける資格が失われてしまいました。つまり、私たちの調達基準をもはや満たしていないということです。チリマアジという持続可能な代替物を見つけられたことをうれしく思っています」

水産ブランドFirst Stateのオーナーで、水産ブランド Fish Talesのサプライヤーでもあるベルギーのメーカー、 Charlier-Brabo Group(CBG)は、北東大西洋の漁業に対する MSC認証の停止が小売市場に混乱を招いたとしています。CBGの水産・畜産部門のマネージャー、Raf de Smet氏は、次のように述べています。「MSC認証ではないタイセイヨウサバの提供を完全に停止せずにいたところ、残念なことに、このことが消費者に誤ったメッセージを送ることになってしまいました。CBGはこの事態を収拾すべく、MSC認証のチリマアジに着目しました。この価値ある代替物が、ヨーロッ パ市場でより広く受け入れられることを望んでいます。私たちは、MSC認証の水産物が欠かすことのできないものであると明言できます」

MSCは各国政府による具体的な行動を求める
世界における健全な水産資源の保全に取り組む国際的な非営利団体であるMSCは、5月に予定されている国家間交渉において、漁獲枠の割当てに関して各国政府が具体的な行動を取るよう求めています。

MSC北欧地域ディレクターのエリン・プリドルは次のように述べています。「漁業は持続可能性を高めるために真摯に取り組んでいますが、政治的な枠組みが不足していると、漁業による努力だけでは管理が不十分となってしまいます。サバのような種では、分布パターンが大きく変化し、複数の国の管理区域に広くまたがっているために資源管理は一筋縄ではいきません。このような資源は、国益に基づいて管理することはできず、科学的な勧告に則った、国際的な合意と国境を超えた管理の枠組みが必要なのです。現在そして未来の世代のために、北東大西洋の小型浮魚資源を確実に守っていくためには、適切な管理を行うことが不可欠なのです」

資源管理において南米がヨーロッパに比べて優れている点とは?
タイセイヨウサバとは異なり、チリマアジは持続可能な管理がなされています。南太平洋でチリマアジを漁獲する15カ国は、持続可能な漁獲枠の割当てに合意しており、その資源量も健全な状態にあります。そして何よりも重要なことは、総漁獲量が科学的勧告に則っていることです。チリの漁業者にとって、持続可能な取り組みが、水産資源や環境の保全だけでなく、ヨーロッパという新たな市場の出現により、経済的な面でも実を結んでいるのは喜ばしいことです。一方、欧州のサバ漁業者は窮地に立たされています。各国が合意に達しない限り、漁業の持続可能性と重要な市場を失うリスクにさらされています。

※タイセイヨウサバの漁獲枠に関する国際交渉は、2022年5月11日から13日にかけて行われます。
※北東大西洋小型浮魚資源の割当て合意の緊急性に関するファクトシートは以下からダウンロードできます(英語)。
https://www.msc.org/docs/default-source/default-document-library/media-centre/msc-north-east-atlantic-pelagics-quota-factsheet.pdf?sfvrsn=b0909202_8

注記
注1. EU、ノルウェー、アイスランド、フェロー諸島、イギリス、ロシア、グリーンランドは、これまでのところ、北東大西洋のタイセイヨウサバ、ブルーホワイティング、タイセイヨウニシンの漁獲枠の持続的な割当てについて合意できず各国別の漁獲枠を設定しているため、それらを合計した漁獲量は、国際海洋探査委員会(ICES)が勧告する持続可能な漁獲量を大幅に超えています。2021年、これら3種の総漁獲枠は、最大持続可能量をそれぞれ41%、35%、25%増しで設定されました。2019年にはタイセイヨウサバ、2020年にはタイセイヨウニシンとブルーホワイティングを対象とするすべてのMSC認証漁業の認証が停止されました。

注2. チリマアジ製品は、ヨーロッパの大手スーパーであるMigros、Delhaize、Albert Heijnといったヨーロッパの大手スーパーの棚に並んでいます。ヨーロッパへの総輸出量はまだ少ないものの、現在増加してきており、将来的にはさらに増加する可能性があります。2019年と2020年に異なるチリマアジ漁業がMSC漁業認証を取得し、年間総漁獲量は60万トンに達しています。チリマアジは、味と食感、そしてオメガ3の含有量において、タイセイヨウサバと非常によく似ています。

MSC(海洋管理協議会)について
将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所を置き世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は世界約100カ国で51,000品目以上、日本では1,000品目以上が承認・登録されており、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、西友、ライフ、マクドナルドなどで販売されています。
持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新かつ確実な科学的根拠に基づき策定されたものです。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、独立した審査機関による審査を通じて実証することが求められます。

詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp

MSC「海のエコラベル」について
MSCの厳格な規格に適合した漁業で獲られた水産物にのみ認められる証、それが「海のエコラベル」です。


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[画像2: https://prtimes.jp/i/59178/46/resize/d59178-46-9f6c91ea5280c0f04945-1.png ]


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