横浜ベイブリッジをデザインした大野美代子の研究展示を多摩美術大学アートテークで開催
PR TIMES / 2021年6月7日 19時15分
環境デザイン学科と東京大・法政大との共同研究による成果を発表。大野美代子研究展「ミリからキロまで」(2021年6月21日~7月7日、八王子キャンパス)
多摩美術大学(東京都世田谷区・八王子市 学長:建畠晢)はこのたび、環境デザイン学科の学生らによる大野美代子研究展「ミリからキロまで」を、本学八王子キャンパスのアートテークギャラリーにて開催いたします。
大野美代子(1939-2016)は、横浜ベイブリッジ(神奈川県)や鮎の瀬大橋(熊本県)など全国各地の名橋をデザインし、数々の賞を受賞した橋梁デザイナーです。1963年に本学デザイン科を卒業後、インテリアデザイナーを経て、1977年に蓮根歩道橋(東京・板橋区)のデザインを手がけたことから、土木分野へと仕事の領域を拡大していきました。
本展は、建築・インテリア・ランドスケープ(都市環境)の3分野を横断しながら「空間」のデザインを学ぶ環境デザイン学科の学生が、大野美代子の仕事について、東京大学・法政大学で工学を専攻する学生らと共同研究した成果を発表するものです。現代を生きる学生の目を通して紹介することによって、普段そこにあることが当たり前のように受け止められている街の景観を、新しいまなざしで見直す機会とすることを目的としています。
[画像: https://prtimes.jp/i/34331/47/resize/d34331-47-444335-0.jpg ]
大野美代子研究展「ミリからキロまで」開催概要
会期:2021年6月21日(月)~7月7日(水)10:00~17:00
会場:多摩美術大学 アートテークギャラリー1F(八王子キャンパス内)
〒192-0394 東京都八王子市鑓水2-1723
交通:JR横浜線・京王相模原線橋本駅北口から神奈川中央交通バス「多摩美術大学行」で約8分
または、JR八王子駅南口から京王バスで約20分
休館日:日曜日
入館料:無料
主催:多摩美術大学環境デザイン学科
協力:公益財団法人ギャラリーエークワッド
多摩美術大学学内共同研究 大野美代子研究会 藤塚光政・池上和子
多摩美術大学アートアーカイヴセンター
後援:東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻
法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科
※会期中、公開講評会やギャラリーツアー、学生らによるトークセッションなどの開催を予定しています。詳細が決まり次第、多摩美術大学ホームページやTwitterなどでお知らせします。
※多摩美術大学アートテークギャラリーは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため必要な対策を講じてまいります。ご利用の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。
大野美代子のランドスケープデザインの視点を探るフィールドワークを実施
本展は、大野美代子さんの母校である多摩美術大学で、建築・インテリア・ランドスケープ(都市環境)の3分野を横断しながら「空間」のデザインを学ぶ環境デザイン学科(担当教員:松澤穣教授、吉村純一教授、湯澤幸子教授)の学生有志と、東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻(担当教員:福島秀哉助教)の学生有志、法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科(担当教員:福井恒明教授)の学生有志計34名による共同研究の発表展です。2021年4月、3大学の学生をミックスして6つの研究グループを結成し、横浜ベイブリッジやフランス橋、蓮根歩道橋、陣ヶ下高架橋など、都内近郊にある大野さんがデザインを手がけた橋でのフィールドワークを実施。橋梁をデザインするにあたってその土地にどのような働きかけを行い、その結果どのような魅力ある風景になっているのかを探りました。
「ミリからキロまで」デザイナー・大野美代子のヒューマンスケール感覚
大野さんが椅子や机などのインテリアデザインや病院などの空間デザインを手がける中で得られた「ヒューマンスケール感覚」は、巨大な架構をデザインする時にも有効に生かされました。1977年に完成した東京・板橋区の蓮根歩道橋は、子どもや妊婦、高齢者などの利用者を考慮して、橋の中央にベンチを置き、通路の欄干には高さの低い手すりを設置。景観としての素晴らしさだけでなく、人間の居場所としての付加価値をもたらしています。
今回の共同研究は、まさに「ミリからキロまで」をデザインした大野美代子という一人のデザイナーの仕事を通して、「自分ではない誰かのためのデザイン」について、学生たちが独自の視点で発掘するものです。
美学と工学を融合するユニークな実験
学生たちは、美大の学生の視点と土木工学を学ぶ学生の視点の違いや思考プロセスなどの違いを認識しながら、フィールドワークの中でそれぞれが見つけた「推し」ポイントや「面白い」と思ったポイントなどをグループごとにまとめました。その後、それをどう展示物として表現するか、実制作物のデザインから展示コンセプト、展示構成にいたるまで、約2カ月をかけて、活発なディスカッションとブラッシュアップを繰り返しながら、一つひとつ具現化してきました。コロナ禍のため一堂に会することが困難な中、学校医の指導のもとに対面授業を継続している多摩美の学生は教室で、他大学の学生はオンラインでプレゼンテーションを行うハイブリッド形式で、綿密なミーティングを積み重ねました。
そのユニークな実験の集大成となる本展は、大野さんの軌跡をたどりつつ、蓮根歩道橋の模様デザインや陣ヶ下高架橋の特徴的な橋脚デザインを再現するなど、本学アートテークギャラリーの空間を最大限に生かした学生たちのアイデアにあふれる展示となっています。公益財団法人ギャラリーエークワッドからお借りした横浜ベイブリッジの構造を正確に再現した模型も展示します。また、今回の共同研究活動を記録したデジタルコンテンツによる情報発信も積極的に行います。
本学に寄贈された大野美代子資料を活用
本学は2016年に大野さんが亡くなられた後、大野さんが設立したエムアンドエムデザイン事務所から、幼少期の絵画作品や学生時代のスケッチブック、橋梁デザインの図面、写真原版などの貴重な資料をご寄贈いただき、本学アートアーカイヴセンターにて保存・管理しています。また、学内共同研究「大野美代子研究会」を発足し、次代を担う学生たちに環境デザインの領域の拡張性や可能性など多くの示唆を与えることを目指しています。今回の共同研究でも本資料が活用されています。
<参考URL>
多摩美術大学環境デザイン学科 紹介ぺージ
https://a.tamabi.ac.jp/dept/ed/
多摩美術大学アートアーカイヴセンター
https://aac.tamabi.ac.jp
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