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BPO放送人権委員会、NHK秋田放送局の「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」事案で、「名誉毀損も放送倫理上の問題もない」との「見解」を公表

PR TIMES / 2019年10月30日 17時5分

https://www.bpo.gr.jp/



 対象番組は今年1月21日に秋田県内で放送された『NHKニュースこまち845』。情報公開請求等によって明らかになった過去5年間の県内の国公立大学における教員のハラスメントによる処分に関するニュースを伝えた中で、匿名で、ある男性教員に対してハラスメントが認められ「訓告の処分を受けた」と報じた。
[画像1: https://prtimes.jp/i/4559/48/resize/d4559-48-300482-0.jpg ]

 この放送に対して男性教員が、氏名は公表されていないが、関係者には自分だと判断される内容であり、「不正確な情報を、あたかも実際に起きたかのように間違って報道された」と主張し、「大学で正常に勤務できない状況が作られた」として、NHKに謝罪を求めBPO放送人権委員会に申立てを行った。
 これに対してNHKは、「情報公開請求で開示された内容を、各大学で改めて取材を行い、内容に誤りや変更がないことを確認した上で概要を説明した」と反論したうえで、「処分をされた教員は、いずれも匿名で、役職や年齢に触れていないなど、個人が特定できないよう、十分配慮している」と説明した。
 委員会は2019年10月30日に「委員会決定」を通知・公表し、本件放送は申立人に対する名誉毀損に当たらず、放送倫理上の問題もないとの「見解」を示した。

決定の概要は以下の通り。
 NHK秋田放送局は2019年1月21日午後8時45分から秋田ローカルのニュース『ニュースこまち845』で、秋田県内の国公立大学で過去5年間に行われた教員によるセクシャルハラスメントやアカデミックハラスメントなどによる処分に関して、情報公開請求を通じて得た情報をもとにしたニュース(以下、「本件放送」という)を放送した。
 申立人は、2016年9月、学生へのアカデミックハラスメントを認定され、大学当局から訓告を受けている。本件放送は、同じ大学でのセクハラの事例の後、「さらに別の男性教員(申立人を指す)は、複数の学生に侮辱的な発言をしたことなどがアカデミックハラスメントと認定され、平成28年9月に訓告の処分を受けています」と報じた。このナレーションと重なるかたちで、大学構内を歩く学生の映像や「A大学(本件放送では実名)の男性教員 アカデミックハラスメントと認定」というテロップと、NHKが得た文書中の「学生への侮辱的な発言、威圧的な行動」、「小中学生でもできる」という文言を接写して拡大したものが画面に表示された。
 申立人は本件放送について「事実と異なる内容」と主張し、ハラスメントを認定した大学当局の措置の不当性を強く主張しているが、事実認定の当否は別にして、申立人が大学当局からハラスメントを理由に訓告措置を受けたこと自体は、申立人も認めている争いのない事実である。
 申立人に対する訓告措置は教授会で報告されたほか、匿名で大学内のイントラネットで教職員・学生に告知された。申立人の研究室の所属学生の1年間募集停止の措置を伴っていたこともあって、対象者が申立人であることは大学教職員だけでなく当時当該学部に在籍していた学生の多くに知られることになったと考えられる。しかし、それは訓告措置が公表された結果であって、本件放送に起因するものではない。
 本件放送の内容は、不祥事ゆえに所属大学から不利益措置を受けたことを意味するから、放送された「男性教員」が特定できるとすれば、その者の社会的評価を低下させる。しかし、本件放送には、大学名と男性教員であるということ以外、申立人に関する個人情報は含まれていない。当時、申立人が訓告措置を受けたことを知っていた大学関係者・学生を超えて、本件放送を見た不特定多数の一般視聴者が「男性教員」を申立人と特定する可能性は考えられない。したがって、申立人に対する名誉毀損は成立しない。
 ただし、本件放送中に申立人の社会的評価をさらに低下させる新しい情報があったとすれば、名誉毀損が成立する可能性がある。本件放送では、「小中学生でもできる」という訓告措置を学内に伝えた文書中にはなかった表現がある。しかし、「小中学生でもできる」という表現は、威圧的な言動の具体例としてとりわけ新たに申立人の社会的評価を低下させるものとは考えられない。したがって、この点でも申立人に対する名誉毀損は成立しない。
 本件放送は、前述のように情報公開請求を通じて得た情報をもとにニュースとして伝えたものである。国民の知る権利に応える観点から、報道機関はこうした制度を積極的に活用すべきだろう。もっとも情報公開請求によって得た情報とはいえ、その内容をそのまま報道するだけであれば、発表報道とさして変わらない場合もある。報道することの公共的な価値の判断に加えて、疑問点を質すなど事実の吟味も必要である。
 本件放送について言えば、NHKの担当記者は訓告措置に変更がないかどうかなどの追加取材を、メールや電話で大学当局に数回にわたって行っている。放送倫理に求められる事実の正確性と真実に迫る努力などの観点に照らして、本件放送に放送倫理上の問題はないと、委員会は判断する。
[画像2: https://prtimes.jp/i/4559/48/resize/d4559-48-592251-1.jpg ]


■委員会決定の全文はこちら
 https://www.bpo.gr.jp/?p=10084&meta_key=2019

■委員会決定の「見解」とは
 https://www.bpo.gr.jp/?page_id=1124#gradatio

「申立てから『委員会決定』までの流れ」
 https://www.bpo.gr.jp/?page_id=1124

「放送人権委員会」運営規則
 https://www.bpo.gr.jp/?page_id=1141

■ 放送倫理・番組向上機構 概要
名称:放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送事業の公共性と社会的影響の重大性を踏まえて、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とした非営利・非政府の団体。言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対応する独立した第三者機関で、民放連およびNHKによって設置され、以下の三委員会から構成される。

委員会:
放送倫理検証委員会
放送と人権等権利に関する委員会(放送人権委員会)
放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)

住所:
東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館

理事長:
濱田 純一

URL:
https://www.bpo.gr.jp/

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