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食料自給率に対する、母親たちの意識を探る 9割が「上げるべき」、その裏側には“食の安全”を求める声 自給率向上の秘策とは!?

PR TIMES / 2013年9月18日 17時46分

先日、農林水産省から2012年度の食料自給率(カロリーベース)が39%と発表されました。3年連続で横ばいとなり、食料自給率の向上は、重要な課題の1つと言えます。
そこで、今回、トレンド総研(東京都渋谷区)では、生活者の視点での食料自給率について調べました。普段、食品を購入する機会の多い主婦、特に食品に対する意識が高いと想定される子供を持つ主婦にとって、食料自給率に関する問題はどのように映っているのでしょうか。アンケート調査や専門家への取材を通じて、その意識・実態が明らかになりました。



■ レポート内容

1. 母親たち500名に調査、食料自給率と食の安全に関する意識が明らかに

2. 女性のための会社ハー・ストーリィ社長・日野 佳恵子氏に聞く、母親目線での食料自給率とは!?

3. 料理研究家・土井善晴先生に聞く、食料自給率を上げやすい食事づくりとは!?


1. 母親たち500名に調査、食料自給率と食の安全に関する意識が明らかに

今回は、食に対する意識が高いと考えられる、子供を持つ主婦を対象に、食料自給率と食の安全について調査を実施しました。


◆ 問題意識の高さが明らかに! 母親の9割が「食料自給率を上げるべき」。一方向上策への理解は今一つ。

まず、母親たちに食料自給率への関心度について聞きました。その結果、「日本の食料自給率に対して関心がある」という母親は73%、「日本の食料自給率は低いと思う」という人は93%にもなりました。続いて、「日本の食料自給率の今後」について聞いたところ、およそ9割(87%)が「上げるべき」と答えました。食料自給率に対する母親たちの問題意識は、非常に高いと言えます。
ところが、先日の農林水産省の発表によると、2012年度の日本の食料自給率(カロリーベース)は39%でしたが、「日本の食料自給率はどの程度だと思いますか?」と選択肢式の質問を行ったところ、「約40%」と正解を選んだのは、わずか16%。日本の食料自給率について正しく認識している母親は6人に1人もいないということになります。
また、「食料自給率の向上のために効果的だと思う取り組み」を複数選択形式で選んでもらったところ、「効果的だと思う」という母親が最も多かったのは「地産地消を心がける」(93%)。以下、「国産の野菜を優先的に利用する」(92%)、「国産の穀物を優先的に利用する」(92%)、「旬の食材を食べる」(91%)、「国産の肉を優先的に利用する」(88%)などの順で、地産地消や国産の穀物の優先的な消費や旬の食材を食べるなど、正しい理解をしている項目が多い一方、例えば大豆はほぼ外国産のため必ずしも食料自給率向上には寄与しない「大豆を使った和風の調味料を利用する」(71%)が効果的だという人が多く、一方で効果的な「ご飯をお代わりする」(45%)が過半数を割るなど、食料自給率の向上策について十分な理解にはいたっていないようです。
「食料自給率が低いことにより起こりうる問題」について、自由回答形式で聞いても、最も多かったのは、「よく分からない」でした。
漠然とした理解ながら、何とか食料自給率を向上させるべきだと考えているというのが、母親たちにとっての食料自給率問題だと言えそうです。


◆ 子供が生まれると食への意識は変わる ー「安全性」最重視の結果、国産品に注目があつまる。

母親たちの食料自給率への問題意識の高さは、やはり子供がいることに大いに関係があります。「子供が生まれてから、食品の選び方は変わりましたか?」とたずねたところ、88%もが「はい」と回答。さらに、子供が生まれてから重視するようになった食品を選ぶ時のポイントを聞くと、「安全性」(83%)に最も支持が集まる結果となりました。一家の食卓を預かる母の立場としては、家族の健康は最も気になることだと言えるでしょう。 “食の安全”は母親たちにとって食に関する最も重要なテーマであることが明らかになりました。
なお、「子供の安全のためには、どのような食品を選ぶべきだと思いますか?」と聞いたところ、「無添加食品」(55%)、「無農薬・低農薬の食品」(52%)といった回答を抑えて、「国産食品」(73%)がトップで、母親にとって安全な食品は何より国産品ということが分かります。

また、「国産食品」と「輸入食品」のイメージを聞いてみても、自由回答で5つあげてもらう聞き方で、「国産食品」のイメージとしてあがったのは「安全」、「安全性」(55%)、「安心」、「安心感」(32%)、「価格が高い」、「高価」、「高級」(17%)など。「輸入食品」については「安価」、「安い」(30%)、「安全性に不安」、「心配」、「信頼性に欠ける」(11%)でした。国産食品に対しては、「安全」、「安心」、だが「高価」といったイメージが、輸入食品については、安価なイメージが強く、安全イメージは低いようです。実際、国産食品と輸入食品とを比較した際、「安全性が高いと思うもの」については、9割近く(88%)が「国産食品」と回答しました。逆に、「値段が安いと思うもの」は、「輸入食品」と回答した人が8割(79%)を占めます。母親たちは、国産食品には「安全性」、輸入食品には「価格」と、異なるメリットを感じているようです。


◆ 高い“安全”志向と裏腹…、現実は「安全より価格」な人も4割、「安全な食品を選べている自信がある」は1%未満

食品を選ぶ際、「安全」と「価格」のいずれを重視しているかを聞くと、「安全重視」という人は59%、「価格重視」という人は41%。子供ができて安全を重視するようになったと言っても、実際は価格重視で選んでしまう人も4割いることが分かります。なお、「金銭的な制約を考慮しなければ、もっと食の安全性にこだわりたい」という人は98%にのぼり、理想では安全を重視したいのに、経済的な理由でそれができていないようです。
なお、このような理想と現実のかい離を反映してか、「安全な食品を選べている自信はありますか?」とたずねると、「ある」と答えた人はわずか1%のみ。「どちらかと言えばある」という人も16%にとどまり、合わせても2割に達しませんでした。また、安全性という観点から、自身の食品の選び方を100点満点で評価してもらったところ、「100点」とした人は500人中わずか2人で、平均点は「62.2点」。“食の安全”に対する意識の高さとは裏腹に、母親たちは自身の食品の選び方にあまり自信がないように見受けられます。

こうした背景には、放射性物質や異物混入や遺伝子組み換え品、残留農薬など、“食の安全”を脅かす存在もあるようです。近年、メディアなどでも話題になることの多い、これらの脅威に関する情報ですが、「実際に見たり、聞いたりしたことがある」という人は92%。また、こうした情報により、「“食の安全”に不安を感じた」という人は、79%にのぼります。具体的には「放射性物質」(45%)、「化学物質」(30%)、「輸入食品」(29%)などに特に不安を感じています。自由回答では「農薬や添加物などを完全に取り除くことは難しく、入ったものを買ってしまっている。(千葉県・28歳)」、「安全なものを選んでいるつもりだが、その基準となる表示も信用できないことがある。(北海道・33歳)」などの意見もあげられました。
こうした母親たちにとっての救いとなっているのが、国産食品のようです。「“食の安全”を考えた際、どのような食品を選んでいますか?」と自由回答で聞いたところ、「国産食品で自分なりに安心して買える商品を選ぶようにしています。(東京都・39歳)」、「産地や成分を見て選んでいます。その結果、国産食品を多く買うようになりました。(神奈川県・36歳)」というように、国産食品を選ぶ母親たちの姿を垣間見ることができました。


2. ハ―・ストーリィ社長・日野 佳恵子氏に聞く、母親目線での食料自給率とは!?

今回の調査では、食料自給率に関心を持ち、国産食品に対して、“安全”、“安心”といったメリットを感じている母親たちの様子が、明らかになりました。また、母親たちの食の安全への意識は非常に高い一方で、十分に安全な食品を選べていないのではないかという悩みも抱える母親も非常に多く見受けられました。

そこで、女性のための株式会社ハー・ストーリィの代表取締役を務め、主婦の消費者心理に精通するマーケッターとしても知られる、日野 佳恵子氏に、食料自給率や食の安全について、お話をうかがいました。


◆ 一家の“食卓”と“お財布”を守る母親たち、重要なのは安全性と価格のバランス

Q. 母親の消費者心理を考慮した上で、食の安全について、お考えをお聞かせください。

主婦というのは、食卓を守る責任者です。過去に私たちが行ってきた調査でも、多くの主婦が、「買い物は私の責任」と答えています。そして、母親たちにとっての最大の関心事は、自身のおなかを痛めて産んだ子供のことです。その次に、夫、自身のお父さんやお母さんのこと。子供の、そして、家族の口に入る食の安全に対して、母親たちの意識が高いのは当たり前のことです。
その一方で、家計の財布を握るのも、主婦たちです。母親たちは、子供たちの健やかなる健康と合わせて、幸せな将来についても責任を持たなければなりません。体は食品でできていますが、生活はお金でできています。消費者というのは、合理的なものです。安全性と価格、その両方のバランスを見て、母親たちは食品の選択を行います。


◆ 日本ブランドの安全性は、海外での方が人気!? 食料自給率UPのポイントは、母親の国産品への理解

Q. どうすれば、日本の食料自給率は向上すると思いますか?

消費者は自給率のことばかりを考えて食品を選ぶわけではありません。あくまで、子供の、家族の安全を考えて、食品を選びます。現在の食料自給率の低さは、国産食品の安全性に、価格以上の価値を感じてもらえていない結果だと考えます。国産食品が安全なものだときちんと理解されれば、より国産食品が選ばれるようになるでしょう。食料自給率の向上というのは、その結果としてあると思います。
例えば、台湾では、それこそ3倍ほどの値段がするにもかかわらず、日本ブランドの食品がこぞって買われているそうです。日本国マークの食品が大量にあふれていて、特に、子供に飲ませるミルクなどは、給料が安い人までもが、日本製のものを買うことに必死になっていると聞きます。このように、海外では日本以上に、日本の食品の良さを評価しています。日本の母親たちに、いかに国産品の安全性を知ってもらうことが大事かが分かります。国産食品も、産地の偽装だったり、賞味期限を偽ったりした際には、大きな問題になりました。こうした問題をクリアにして、国産品であれば安全だと思ってもらえるようにしなければなりません。
また、作り手の顔が見えると、国産品の安全性の理解を促進すると思います。例えば、オーガニックやロハスといった言葉への消費者の共感は非常に根強いものがあります。実は、私はオーガニックワインバーを経営していますが、オーガニック野菜には、多くのご支持をいただいています。

でも、このオーガニック食品を手に入れるまでが大変でした。一生懸命探して、人づてで、やっとの思いで千葉県の生産者の方を紹介いただけました。ところが、今度は、その生産者の方も手が足りないということで、実は私たち自身で、週末に野菜を採りに行っているのです。そこで、オーガニック野菜を採りにいくバスツアーを企画したところ、このツアーは大人気になりました。つまり、土いじりや野菜に触れたいというニーズはあるものの、どこに行けば実現できるのかが、誰も分からなかったというのが現状なのです。こうした「作り手の顔が見える」取り組みを上手く取り入れることが、国産食品のニーズにつながる重要なポイントでしょう。


日野 佳恵子(ひの かえこ)
株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役

株式会社ハー・ストーリィ:http://www.herstory.co.jp/
ブログ「日野の思いつき日記」:http://www.herstory.co.jp/corp/blog/hino/


3. 料理研究家・土井善晴先生に聞く、食料自給率を上げやすい食事づくりとは!?
テレビ番組にも多数出演されている、料理研究家の第一人者である土井善晴先生にも、食料自給率についてのお考えや、家庭で出来る食料自給率向上策について、お話をうかがいました。

◆『食の安全、栄養や健康をみちびく食料自給率の向上を望むならば、日本の伝統、日本人のアイデンティティを築いた日本の食文化を学び、再認識することが、結果として食料自給率につながる。』

Q. 土井先生ご自身は食料自給率向上をどのようにお考えなのかをお聞かせくだ
さい。
食料自給率という数字は、日本が食においてどれだけ自立できているかを表します。調査ではお母さんたちのほとんどが食料自給率は高いほうがよいと考えているようですね。それは政策的な側面よりも、食料自給率が、より身近な家族の食の安全につながるものと理解しているからだと思います。私自身も、食料自給率向上は、日本の食の安全確保、日本人の自立、自分が食べる物・家族が食べる物に責任を持つことにつながり、日本の食文化を守ることにつながると考えています。ゆえに食料自給率は高ければ高いほど、日本の伝統が守られているということだと思います。
今、食の安全、栄養や健康をみちびく食料自給率の向上を望むならば、私は日本の伝統、日本人のアイデンティティを築いた日本の食文化を学び、再認識することが大切だと考えています。そのためには、学生や生徒への食文化教育が必要です。そうすれば食料自給率という数字は後からついてきます。


◆『その土地で作り、食べ継がれてきた食材や料理に自信を持って、「ご飯」を中心に、季節の食材を使って、手作りすることです。加工された食品はなるたけ使わない。素材から作ることがもっとも食料自給率向上に寄与します。』

Q. 家庭の主婦が出来る食料自給率向上策としての、食事づくりや食材選びの工夫について、アドバイスいただきたく。

(1) 地元の食材と遠くから運ばれてきた食材は何が違うのかを、考えてみて下さい。

土地のものと海外から運ばれてきたものの何が違うのかを理解することが大事です。食材はすべて生き物ですから、命を失えばやがて腐っていきます。おいしい状態、美しい状態である鮮度を保つためには、腐らないように加工をしたり保存料を加えた上で、遠くから運ばれてくるのです。そのため、遠くから来た食品が、どのくらい健全であるのか、栄養素が保たれているのか、どんな調味料や添加物が使われているのか、ということに不安を持つのです。また、トレーサビリティが示されていても、それは一部の食品であり、それらが安心だと証明されても100%信頼することはできないというのは、当然な日本人の心理です。
土地のものは、原則として鮮度の良いうちにすぐに食べるのですから、食味を落とさず余計な加工や添加物は不要です。ゆえに、その土地で消費する地産地消は、家族の健康、それに地元の絆をつくり、故郷を愛する豊かな心につながります。安易に値の安いものに飛びつくことは同時にリスクをとることになるのだということも知っていただきたいと思います。

(2) それぞれの土地の暮らしの中で育まれた食文化に自信を持つ。日本人ならではの価値観である“旬”を守ること。

「都会から来た」「買ってきた」もののほうが良いものだというある意味謙虚な認識が日本人にはあるようです。自分が日頃食べている物は恥ずかしくてお客様には出せないらしいのです。隠してしまうものの中に本当にすばらしいものが、おいしい物があるのです。私はそれを食べたいし、それを客に自慢してほしいと思います。
自分達がその土地の食べものに自信を持つことが大切です。昔ながらのその土地の食材をその土地に伝わる調理法で食べることが一番豊かで美味しいものだという考えを、「土産土法(どさんどほう)」と言います。そこに学ぶべき知恵がたくさんあるのです。地元のものというのは、すなわち旬のもの。旬を食べるとは、自然の中に住む鳥や動物とおなじように、自然に深く親しんできた日本人ならではの、感性です。こういった日本人の特徴ある食文化をもっと知って実践すれば、結果として安全、健康、おいしいといった効果がついてきます。

(3) 「ご飯」を中心とした「手作りの食事」を基本とすること。

我々の主食はご飯(米飯)です。稲作は約2300年の歴史があります。稲をつくる1年のサイクルが日本人の暮らしや社会を作りました。「今日の晩御飯は肉にするか、魚にするか」と主菜(おかず)から献立を考えるのではなく、主食(ご飯)を中心に具のいっぱい入った汁物で成立するのが日本の和食です。ご飯のおかずは肉でなくとも同じ主菜である豆腐や納豆で充分な栄養のある献立は成立します。主食のご飯(炭水化物)でエネルギーをとり、少量の魚や豆腐で血となり肉となる脂肪やタンパク質を取る。そして野菜、発酵食品で体調を整えるビタミン、ミネラルをとることで、栄養バランスがよいのです。まずはそういったシンプルな食事の基本を作り上げることが大切です。その上でおかずを後から考えれば、お母さん方の負担も減り、忙しい時も家族の健康を保てます。負担を減らしながら、まずは手作り最優先をできる範囲でお料理して下さい。そしてなによりもまず、素材を求めて、手作りすることが一番食料自給率向上につながります。
子供たちのためにも、是非手作りの食事を作ってあげてください。手作りの食事は想像している以上に価値のあることで、お母さんが用意してくれる食事で子供の体は育ち、立派な大人になるのです。そこには、お腹がいっぱいになるという以上に意味があるのです。ご自身が母親にしてもらったことを最低限として、自分の子供たちにもしてあげて欲しいと思います。手作りの食事は、家族のためになり、日本人としてのアイデンティティとなる。ひいては食料自給率を向上させ、日本人の幸福につながるのだと私は信じています。


土井 善晴(どい よしはる)
料理研究家 フードプロデューサー

おいしいもの研究所:http://infoseek_rip.g.ribbon.to/oishii-web.hp.infoseek.co.jp/index.html


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