世界初、光渦の輻射力が創るシリコンニードルとその形成過程の可視化に成功

PR TIMES / 2016年2月29日 11時6分

新しい表面加工技術の提案

千葉大学の尾松孝茂教授と北海道大学の森田隆二教授らのグループは、 JST戦略的創造研究推進事業の一環として、 「螺旋波面とドーナツ型(空孔を持つ)の強度分布を持つレーザー光(光渦(注1))をシリコン単結晶に照射すると単結晶性のシリコンニードルができる」という新奇物理現象を世界で初めて発見し、その形成過程の可視化に成功しました。




研究の背景 ~レーザーによるシリコン表面加工の課題~

シリコン単結晶は、現在最も普及している電子材料の一つとして知られています。また、ナノ微細加工を施すことでシリコンの潜在能力は飛躍的に向上します。しかしながら、レーザーによる従来のシリコン表面加工では、表面が多結晶性あるいはアモルファス(注2)になることが多く単結晶性のまま表面に微細構造を施すことは極めて困難でした。


研究成果 ~世界初のシリコンニードル発見~

「螺旋波面とドーナツ型(空孔を持つ)の強度分布を持つレーザー光(光渦)をシリコン単結晶基板に照射すると、光渦の持つ特異な輻射力(注3)の効果で単結晶性のシリコンニードルが基板上にできる。」という新現象を世界で初めて発見しました。

[画像1: http://prtimes.jp/i/15177/49/resize/d15177-49-103965-1.jpg ]



実験には、近赤外の光渦(波長1 mm、パルス幅20 ps、エネルギー 0.2 mJ-1.6 mJ)を用いました。使用した試料は単結晶シリコン基板です。基板にできたシリコンニードルは、電子顕微鏡を用いて観察しました(図1:シリコンニードル(照射エネルギー0.6 mJ/pulse、照射パルス数12 ))。
ニードルの高さは 40 マイクロメートル(1マイクロメートルは10-6メートル)を超えます。また、電子線回折法とラマン分光法によって、できあがったシリコンニードルが単結晶であることを明らかにしました。


さらに、ニードルができるまでのプロセスを超高速度カメラで捉え可視化することにも成功しました(図2:シリコンニードルの形成プロセス。200 ns毎フレームの時間で撮影した。レーザー照射から800 ns経過後、ニードル先端からシリコンの液滴が飛び出しはじめることが分かる。)。
光渦照射後、融解したシリコンが光渦の輻射力によって空孔に集められてシリコン基板に堆積することでニードルができあがります。光渦照射後からニードルができるまでの時間は、照射したレーザーのパルス幅(20ピコ秒=20×10-12秒)よりはるかに長い1-2マイクロ秒(10-6秒)でした。この長いプロセス時間がニードルを単結晶化する要因になります。
ニードルができる過程で余剰となったシリコンは光渦の輻射力の効果と表面張力波の効果によって粒径1-2マイクロメートルの液滴として「針の孔」を通すように直線的に指向性良く飛翔します(図2中の拡大図)。通常のレーザー照射では、このような指向性の良い液滴の飛翔運動は決して起こりません。
[画像2: http://prtimes.jp/i/15177/49/resize/d15177-49-709890-7.jpg ]

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