シリア東部デリゾール:病人、負傷者を含む数万人が援助を受けられない状況に
PR TIMES / 2012年12月13日 16時41分
プレスリリース
2012年12月13日
激しい戦闘や空爆が続く中、多くの負傷者を含む数万人の市民が、シリア東部の街デリゾールに足留めされている。国境なき医師団(MSF)は、シリア当局に対し、病人や負傷者を安全な場所へ避難させ、国際医療チームが、助けが必要な人びとに対して公平な援助を行えるよう、正式な活動許可を求めている。
孤立する街
12月12日にシリアからパリへ戻ったMSFのプログラム・コーディネーター、パトリック・ヴィーランドによると、現在、デリゾールには1カ所の仮設病院に医師が4人しかいない状況で、紛争地帯で半年間働きづめだった医師たちは疲弊しているが、同地を離れず、寝る間も惜しんで負傷者の治療にあたっているという。国内の医師団体からの援助はあるものの、医療物資は殆ど入手不可能であり、空爆や地上攻撃によって、患者を避難させることは著しく困難だという。
MSFは11月末、紛争で疲弊し孤立したこの地域のニーズ調査を行うため、デリゾール県を非公式に訪れた。かつては人口60万人といわれた市街地には危険度が高く入ることができなかったが、周辺住民によると、砲爆撃が続いているため数万人が市内に残留を余儀なくされ、多くは移動が困難、または移動を拒否している貧困層と老人たちだという。
MSFは、さらにデリゾールから半径50km内にある公立・私立病院を数カ所視察した。外科的治療や救急医療が極めて困難な状況にもかかわらず、前の週に300人以上の負傷者を受け入れていた病院もあった。負傷者の内40人は、国外で適切な医療が受けられることを期待して、400km以上離れたトルコ国境へと移送された。
この地域に留まっている医療従事者たちは、少ない資源が許す限りの治療をしていた。医療の場が攻撃対象となっているため、血液製剤や他の医薬品を含む医療物資が不足する一方で、負傷者の数は増加し続けている。必要な医療物資は首都ダマスカスでも入手不可能であり、距離、国境、そして治安の問題から近隣諸国からの調達にも厳しい制限がある。
医療援助の受け入れ許可求める
冬を目前にし、デリゾールを逃れた人びとは、周辺地域の家庭に身を寄せるか学校などの公共建物に避難している。地元住民は寛大な援助の手を差し伸べているが、自宅を追われた人びとの差し迫ったニーズすべてに対応できる訳ではない。
多大な人道上のニーズがあるのにもかかわらず、シリア当局は国際社会からの公正な医療援助の受け入れを許可してはいない。しかしながら、MSFは、国内医師のネットワークと協力し、デリゾール県を始めとするシリア各地で活動を拡大し援助を提供する努力を続けている。
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MSFは、シリア北部および北西部の反政府勢力支配下にある3地域の病院で活動を展開し、外科的治療を含む救急医療と診察を実施、今年6月末以降、2,500人以上の患者を治療し、550件の外科手術を行っている。また、隣国ヨルダン、レバノン、イラクにおいても主にシリア難民へ医療を提供しており、シリア紛争に起因する医療ニーズに対応している。
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