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【カスタマーハラスメント実態調査(2023年)】直近1年間でカスハラを受けたことがある担当者は64.5% 研修実施は9.4%、マニュアル未策定は68.1%

PR TIMES / 2023年8月17日 15時45分

~認知は広まったが、対策は不十分。組織的な対応が求められる~

企業の危機管理を総合的に支援する株式会社エス・ピー・ネットワーク(本社:東京都 代表取締役社長:熊谷信孝)は、2019年、2021年に引き続き、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」についての実態調査をインターネット上で行いました。

2022年2月には厚生労働省より「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が公表されたこともあり、「カスハラ」への認知度は高まる一方で、今回の調査では、カスハラに対する企業の対応が進んでいないことが明らかになりました。企業のカスハラ対応には、研修の実施のほか対応方針の明確化など、企業としての方針を示すことで従業員を守る、組織的な対応が求められています。

また、今回の調査に関して、2023年8月24日(水)に「実践的かつ実戦的なカスタマーハラスメント対策とは 1,000人のアンケート結果からみるカスハラの実態と企業の対応レベル」と題した無料Webセミナーも開催予定です。




【主な調査結果・ポイント】
直近1年でカスハラを受けたことがある担当者は64.5%。6回以上も1割超

「男性からカスハラを受ける方が多かった」との回答が約8割。カスハラをしてくる相手の年代は40歳代から60歳代が合計8割を占める

卸売・小売業(百貨店・スーパー・コンビニ)と交通インフラでは回答者の50%以上が「執拗な言動」(55.6%)「威圧的な言動」(55.6%)のカスハラに遭った経験あり

約半数が法人顧客からカスハラを受けた経験あり

不当要求やカスハラの影響として従業員のメンタルやモチベーションの低下が約半数。次いで本来の仕事への圧迫が約3割

カスハラ対策の方針の無い企業が55.3%、マニュアルの無い企業が68.1%

不当要求やカスハラ対応の研修を実施しているのは1割未満

約7割がカスハラ対策に課題を感じており、カスハラ対策としてトップや経営陣の意識改革を求める声が最多

土下座の要求や3時間以上の拘束など厳しいカスハラ行為も多数発生



【調査概要】
調査期間:2023年7月14日~16日
調査対象:全国の20代から60代の男女
調査対象職種:営業・販売、一般事務、専門職、総務・人事、カスタマーサポート、顧客管理・品質管理、技術・設計、情報処理システム、生産・製造等
対象条件:企業でクレーム対応を行った経験のある会社員1,030人
調査方法:インターネット
調査協力会社:マクロミル


[表1: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_1_2ab6e227341c48f62ee5d4c485d52b54.jpg ]


【調査結果・ポイント】
1. 直近1年でカスハラを受けたことがある担当者は64.5%。6回以上も1割超


直近1年で1回以上カスハラを受けたとの回答が64.5%。1回~5回と受けたという回答が53.1%となったほか、6回以上受けたと回答した人も合計11.4%にのぼった。

[表2: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_2_d58ce968072db8494f7323944bf2cfea.jpg ]


[画像1: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-8c16b9b6f014e1a966cf-0.jpg ]


1年に11~15回以上カスハラを受けた方の中ではサービス業が約4割を超える


業種別の傾向として11~15回受けたという回答の44.4 %をサービス業が占めた。16回以上受けたとの回答については総回答数が24件と少ないものの、そのうちサービス業が33.3%であり、金融業・保険業が16.7%であった。サービス業の現場では、かなりの数のカスハラが行われている可能性が示唆される結果となった。

[表3: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_3_51d16318fb37689d8a09f48b0fc1b3aa.jpg ]

[画像2: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-699acc9753f8ea03942a-11.jpg ]

2.「男性からカスハラを受ける方が多かった」との回答が約8割。カスハラをしてくる相手の年代は40歳代から60歳代が合計8割を占める


どのような相手がカスハラをしてくるのかについて、男性から受けることが多かったと回答した人が約8割(81.1%)、年代では40歳代~60歳代から受けることが最も多かったとの回答が約8割(80.1%)を占めた。

[表4: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_4_f988a847a49df241ad42dd163b288bd5.jpg ]

[画像3: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-877170557bf6b1593bf8-2.jpg ]

男女ともに50歳代からカスハラを受けたとの回答が最多(男性40.0%、女性43.0%)


性別と年代を掛け合わせた結果、50歳代が男女ともに全体の約4割を占めていた。

[表5: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_5_5691973ce631a7323d79de5bb26d02bc.jpg ]

[画像4: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-df459e29a61938341f7e-2.jpg ]


3. 卸売・小売業(百貨店・スーパー・コンビニ)と交通インフラでは回答者の50%以上が「執拗な言動」(55.6%)「威圧的な言動」(55.6%)のカスハラに遭った経験あり


調査の回答母数の差はあるものの、業界ごとで多いカスハラの類型について、大まかな傾向が見られることが確認された。

卸売・小売業(百貨店・スーパー・コンビニ)では回答者の半数以上が「執拗な(しつこい)言動」(55.6%)、「威圧的な言動(大声を出すなど)」(55.6%)、「責任がないにも関わらず商品の交換や金品を要求」(51.9%)のカスハラを受けたことがあると回答した。

交通インフラ業では回答者の半数以上が「執拗な(しつこい)言動」(50.0%)、「威圧的な言動(大声を出すなど)」(55.0%)のカスハラを受けたことがあると回答した。

[表6: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_6_3d9f5f4f3db34183c4342c35ac97160f.jpg ]

[画像5: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-8029179385ca879985d4-2.jpg ]


4. 約半数が法人顧客からカスハラを受けた経験あり


法人顧客からカスハラを「受けたことがない」と回答した人は50.8%。すなわち、回答者の約半数(「受けたことがない」「その他」以外の回答数)が法人顧客からカスハラを受けた経験があることが分かった。法人顧客からの主なカスハラの内容は、「値引きの強要」が16.5%、「サービスの強要」が15.5%、「威圧的な言動」が15.2%であった。


カスハラは今や一般消費者だけでなく法人も加害者となるものである。法人取引においては取引を解除されないために不当な要求に応じざるを得ないケースも存在し、取引先からのカスハラ対策も視野に入れる必要がある。

[表7: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_7_325803de7fff36028696ce03eab4b041.jpg ]

[画像6: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-d984a3c2e679865ee152-2.jpg ]


5. 不当要求やカスハラの影響として従業員のメンタルやモチベーションの低下が約半数。次いで本来の仕事への圧迫が約3割


不当要求やカスハラが与える影響について、「従業員のメンタル低下・モチベーション低下」という回答が49.2%、「対応の手間に伴う本来の仕事への圧迫」が28.3%であった。


メンタル・モチベーションの低下や従業員の離職等、精神的・人的ロスが大きく、従業員の確保にカスハラ対策が大きな影響を及ぼす可能性があることが示唆された。

[表8: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_8_148a73c31635b8b544d22be9b4346864.jpg ]

[画像7: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-2405033487266b646762-2.jpg ]


6. カスハラ対策の方針の無い企業が55.3%、マニュアルの無い企業が68.1%


カスハラ対策に関する方針の策定について問う設問で、「何も策定していない」という回答がトップの28.2%にのぼったほか、「接客対応の基本方針はあるがクレーム全般の方針は無い」との回答が12.6%であった。「クレーム全般の方針はあるがカスハラ対策の方針はない」との回答が14.5%であることから、カスハラ対策の方針を55.3%が策定しておらず、企業の取り組みはまだ進んでいないことが分かる。カスハラ行為も多様化し、単なるクレーム対応では対処しきれない場合もある。組織としてカスハラ対策方針やマニュアルを策定することが望まれる。

[表9: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_9_872e56ef2b375329c84a590bb719a11d.jpg ]

[画像8: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-813e49b265079bffc6b8-2.jpg ]


上記の傾向はマニュアルについても同様であった。マニュアルについての設問でも、「マニュアルはなにもない」がトップ(52.2%)であったほか、クレーム対応についてはあるがカスハラ対策について定めがないとの回答が15.9%であり、7割弱が依然としてカスハラ対策に関するマニュアルを整備できでいないことが明らかになった。

[表10: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_10_2a94f9ddbd3406758b0ab8794617188c.jpg ]

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7. 不当要求やカスハラ対応の研修を実施しているのは1割未満


そもそもクレームやカスハラに関する研修は実施していないとの回答が55.2%であった。一方で、「クレーム対応の研修を実施している」という回答が19.1%、「接客マナーの研修を実施している」という回答が23.4%ではあった。しかし、「不当要求やカスハラ対応の研修を実施している」との回答が9.4%であったことから、クレーム対応や接客マナーの研修は行われていても、依然として、カスハラに対する従業員教育は進んでいないことが明らかになった。

[表11: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_11_05fbd071fb8ba0e4f0a440ff456a1ddf.jpg ]

[画像10: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-9dfd8b7dade37a934910-2.jpg ]


2021年調査の7.6%からは微増


2021年調査における「あなたがお勤めの会社では、カスタマーハラスメントや不当要求対応に関する実践的な研修は行われていますか。」という設問に対する「直近1年間で行った」という回答が7.6%だったことから、前回調査時よりもわずかに改善されていると考えられる。

8. 約7割がカスハラ対策に課題を感じており、カスハラ対策としてトップや経営陣の意識改革を求める声が最多


カスハラ対策に関する課題については「トップや経営陣の意識改革」が31.9%であった。その他の課題としてはマニュアルや事例集の作成(20.2%)、基本方針の策定(20.1%)、定義の策定(19.8%)が上位を占めた。

「何をカスハラとするか」「どのラインで断るか」などに関する会社の方針が明らかになっていれば、現場の従業員も安心して判断・対応することができる。また、フォローの為の人員配置や専門家の活用、研修の実施等、経営トップは、カスハラが人材流出を招くリスクを認識し、従業員を守るための取組を積極的に推進していく必要がある。

[表12: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_12_c79b9a9498713e458c8da059f9c1ca33.jpg ]


[画像11: https://prtimes.jp/i/34478/53/resize/d34478-53-1ab4550acb5601d7da50-2.jpg ]


9. 土下座の要求や3時間以上の拘束など厳しいカスハラ行為も多数発生


これまでに遭遇したカスハラに関する設問の自由記述欄では、土下座の要求や長時間の拘束など厳しいカスハラ行為が多数確認された。

【自由記述欄より】
長時間居座る、スタッフ指名で電話してきて商品と関係ない話で1時間以上拘束、自宅に来る、何度も同じ商品について連絡し拘束するなどなど

大きな声で怒鳴る、威嚇する

保証期間が過ぎているにも関わらず因縁に近い言動で無償で交換又は修理させる行為

他の人へのクレームがエスカレートし、毎日、おまえら海に沈めてやるなどの電話が続き、手下らしき人から職場の前で見張られていた。会社は、何かされるまでは対応できないと切り捨てられた。(サービス業(医療・介護・薬事))

不当な欲求で2時間近く居座られ、上司が折れたことで欲求を通した前例ができてしまった。(製造業(その他))

飲食店での事。理不尽な言いがかりでこちらが謝罪しているにもかかわらず、店内で大声で喚き従業員に対して執拗に土下座を強要。料理もサービスも自分が望んだレベルではないのでお金は払わないと言い出す始末。他のお客様にも迷惑だし、他のお客様へのお料理の提供にも支障をきたして困った。なのに、また来店すると啖呵をきってお帰りになりました。(サービス業(その他))

2次対応で謝罪に行ったが、担当者は若いのでミスは糧にしてほしいが、あなたみたいな中年の仕事ができない人は許せないとの年齢による批判や顔がふざけてる、真剣に謝ってないと対応の批判。自分の方が良い大学に行っているとの学歴批判と万が一自分よりも良い大学に行っていても、こんな会社に就職したのかとの会社批判を繰り返し、3時間以上拘束された。(金融業・保険業(銀行・証券・カード))

謝罪しても何度も同じように自宅に呼ばれ謝罪を要求される。解決と思われても、市や県に苦情としてあげるので、また謝罪を重ねる。1年経っても同じ要求が続いているので困っている。対応しているこちら側もさすがに誠意を失っているという悪循環がある。(サービス業(医療・介護・薬事))



【調査を踏まえてのカスハラに対する当社の見解】

報道も増え、厚生労働省からも「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が公表され、カスハラに対する問題意識は高まっている。調査においても約7割の回答者が自社のカスハラ対策に課題を感じていた。しかし、方針やマニュアルの策定、研修などをはじめとする対応はまだまだ進んではいないことが、今回の調査で明らかになった。

不当要求やカスハラは、その対応により本来の業務が回らなくなるという時間的ロスや、不当な返金等に応じることによる金銭的ロスを生む。さらには従業員が対応することによって精神に不調をもたらし退職してしまうという人的ロスも重大な問題だ。

クレーム対応に関しては往々にして対応スキルの向上に注力されがちだが、不当要求やカスハラ対策は、対応スキルの向上だけでは足りず、組織的な体制整備が必須である。具体的には、自社の現場におけるカスハラの実態を的確に把握し、カスハラ対応を従業員一個人に押し付けることなく会社としてカスハラ対策の方針を決めること、決めた方針を浸透させること(方針策定のみならずマニュアルへの反映も含まれる)、浸透させるために従業員に適切な教育研修を行うこと、カスハラ対応を行う従業員のフォロー体制を整備することが求められる。これらの取り組みはトップや経営層の意識無しにはなしえない。経営者はカスハラから従業員を守るという強い決意を持ち、具体的かつ抜本的なカスハラ対策を推進していく必要がある。理不尽なカスハラから従業員を守り、働きやすい職場環境を整備していく上でも、カスハラ対策は必須であり、対策の不備は安全配慮義務違反等の問題にもなりかねないリスクがある。従業員をカスハラから守れない企業という印象を持たれると、人材確保にも大きな影響を及ぼすことも看過すべきではない。

カスハラや不当要求に対する研修がコストを理由になされなかったり、内製化されたりするケースが少なくないが、カスハラ対策はコストではなく、従業員を守るための不可欠な投資である。専門家の知見も積極的に吸収し、従業員にそのノウハウを共有し、組織一丸となって、カスハラに対応していくべきである。働き方改革等で、働きやすい職場の推進が重視される中、従業員を守るために、経営者は強い決意を持って、カスハラ対策を推進していかなければならない。

[表13: https://prtimes.jp/data/corp/34478/table/53_13_bae942576bb8dc16a429f4467719d3c8.jpg ]


【株式会社エス・ピー・ネットワークについて】
株式会社エス・ピー・ネットワークは、1996年に創業した企業危機管理の専門会社です。反社会的勢力排除を始め、法務・広報からITに関する企業危機管理コンサルティングのほか、危機管理の実践対応や身辺警備など、企業に多彩な危機管理ソリューションを提供しています。

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