11月19日「世界トイレの日」に、報告書「衛生作業員: コロナ禍の最前線で人知れず働くエッセンシャルワーカー」を発表
PR TIMES / 2021年11月19日 19時15分
国連が定める11月19日「世界トイレの日」にあわせ、水・衛生専門の国際NGOウォーターエイドは、衛生作業員(Sanitation worker)に関する新たな調査を実施し、報告書「衛生作業員:コロナ禍の最前線で人知れず働くエッセンシャルワーカー」を発表しました。 この調査により、新型コロナウイルス感染症によって、世界中の衛生作業員(sanitation worker)が置かれている過酷な状況をいっそう悪化していることが明らかになりました。
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衛生作業員は、排せつ物をトイレから取り除いて安全に処分する重要な役割を担っています。国によっては「マニュアルスカベンジャー」と呼ばれ、原始的な道具や素手で排せつ物のくみ取りをしている人たちもいます。また、衛生作業員は、ゴミ収集者、清掃人、埋め立て作業者など、住宅、学校、会社、医療施設で働く廃棄物作業員のことも指します。世界中の衛生作業員は、私たち全員をさまざまな感染症から守ってくれています。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックのなか、一部の国では衛生作業員が「コロナ戦士」と呼ばれ、称賛されたりしていました。一方、ウォーターエイドが行った調査によると、開発途上国の衛生作業員の多くが、労働条件が危険なものであること、PPE(感染リスクを軽減するための個人用の防護具)が危険なほど欠けていること、トレーニングと法的保護が不十分であること、数百万人の収入が減っていること-このような厳しい状況に置かれていることが明らかになりました。
11月19日の「世界トイレの日」にあたり、南アジア、ブルキナファソ、ナイジェリアでの調査結果を紹介します。
インドではインタビューに応じた衛生作業員の40%、バングラデシュでは39%が、仕事場に手洗い設備がありませんでした。
ネパールでインタビューに応えた衛生作業員の3分の1は、雇用主から個人防護具(PPE)をいっさい支給されていませんでした。
ブルキナファソでインタビューを受けた衛生作業員の80%が、支給されたPPEは適切ではなく、むしろ事故の可能性を高めていると考えていました。
バングラデシュでは、インタビューを受けた衛生作業員の3分の1が、ロックダウン中に仕事を休むと職を失うかもしれないという不安を抱えていました。
インタビューの回答者の約半数(バングラデシュ:66%、インド:44%、パキスタン:50%、ネパール:61%)が、日々の生活費に苦労していると回答しました。
バングラデシュでインタビューした衛生作業員の48%が、パンデミックの影響で収入が減少したと回答しました。
衛生作業員の多くは、国全体のロックダウンの最中でも、そして病院や検疫所、安全な水や適切な衛生設備が不足しているコミュニティなど、パンデミックの最前線で働いています。人間の排せつ物を安全に処理するという重要なサービスを提供しているにもかかわらず、衛生作業員はその仕事のために疎外されたり、差別や偏見の対象となったり、敬遠されたりすることが多くあります。
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バングラデシュの道路清掃人であるコナ・ナグモニ・ラタさん(34歳)は話します。
「仕事で排せつ物に触れてしまっても、布で拭きとるしかないということもあります。私が働いている場所には手洗い設備がないので、事務所に帰って手を洗うまで我慢しないといけないんです。」
多くの衛生作業員がウォーターエイドに語ったところによると、仕事を失うことを恐れて、体調が悪くてもロックダウンの間は仕事に行かざるを得ないと感じていることがわかりました。インドでは、インタビューに答えた衛生作業員の23%が、パンデミックの間、より長い時間働かなければならず、1日に2時間から6時間の超過労働を余儀なくされていました。
また、仮にウイルスの脅威がない場合でも、衛生作業員の仕事は多くの危険と隣り合わせです。衛生作業員は、人間の排泄物に直接触れてしまうこともあり、さまざまな健康被害や病気の危険にさらされています。くみ取り作業をするトイレのピットの中に瓶やガラス、注射器、ナイフなどの危険物が紛れ込んでいることもあります。トイレの構造が脆弱で、倒壊する危険性もあります。有毒ガスによって、衛生作業員が意識を失い、死に至ることあります。
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ナイジェリアのピット式トイレ・腐敗層くみ取り作業員イリヤス・アバスさん(50歳)は話します。
「仕事で怖いのは、嫌がらせ、けが、手足あるいは生命を失うことです。2年ほど前、夜にピットのくみ取り作業をしているときに、トイレの建物が壊れてコンクリートのブロックが頭の上に落ちてきたんです」
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衛生作業員が、社会的・構造的差別や偏見を受けることも少なくありません。ダリットと呼ばれるインドで最も疎外されているカーストに属し、路上の清掃をしているヴィシャル・ジーンワルさん(26歳)は、事務職に就きましたが、雇用主が彼のカーストを知った途端、仕事ができなくなったと話します。
「私のような者は他の仕事では成功しないと言われました。他の仕事をいくつか試してみましたが、結局、自暴自棄になって、家族がずっとやっていた掃除の仕事に戻りました」
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カムレッシュ・ターンクさん(55歳)は、インドの首都デリー近郊の町で、35年前から乾式トイレの掃除やくみ取りをしています。 仕事中、あまりにも臭いので鼻と口は覆っていましたが、パンデミックになっても防護服を着たり、人との距離を確保することを気にしたりすることはありませんでした。
「カーストの高い人たちは、私のような人には近づきたがりません。雇い主とは常に『ソーシャルディスタンス』を置いていたと言えるでしょう」
ウォーターエイド・イギリスのチーフ・エグゼクティブ ティム・ウェインライトは、次のように話します。
「新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、衛生作業員がコミュニティで果たす重要な役割を浮き彫りにしましたが、同時に、過小評価され、見過ごされがちという脆弱性も明らかになりました。多くの衛生作業員が必要な支援や保護を受けられずに仕事をしていることは容認できません」
「水・衛生は公衆衛生の維持に不可欠であり、今回のパンデミック、そして今後起こりうるパンデミックを乗り越えるためのいわば基盤です。しかし、衛生作業員がいなければ水・衛生のアクセスは、効果を発揮できません。公衆衛生のためだけでなく、経済のためにも、すべての人が適切な衛生設備にアクセスできるようにすること、そしてそのために、衛生作業員の支援に力を入れることが重要です」
報告書はこちらからご覧いただけます。
https://www.wateraid.org/jp/media/sanitation-workers-forgotten-frontline-workers-covid-19-world-toilet-day
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