子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが新報告書「運に任されるいのち:すべての子どもに生きる可能性を」を発表
PR TIMES / 2015年2月9日 13時27分
~子どもの生存率の改善を目指す世界的な取り組みから、最も不利な立場に置かれた子どもたちが取り残されています~
[画像: http://prtimes.jp/i/5097/57/resize/d5097-57-742786-0.jpg ]
ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)が掲げられて以来、防ぐことが出来る子どもの死亡をなくす努力が世界中で行われた結果、何千万もの子どもの命が救われました。しかし、この進歩は一方で国内における大きな不平等を覆い隠しています。
開発途上国の4分の3以上の国において、構造的に不利な立場に置かれた社会、経済、あるいは民族集団の子どもたちは、より有利な集団から取り残されています。
過去10年に渡り、すべての集団において衡平に子どもの死亡率削減が達成された国々の方が、平均して6%早く子どもの死亡率を削減している。
過去15年間の、5歳未満の子どもの死亡率削減に向けた世界の歴史的な取り組みにも関わらず、子ども支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが行った最新の調査によると、依然として大勢の子どもたちが、住む場所や、生まれて来た環境のためだけに、取り残されてしまっていることが明らかになりました。
農村部に住んでいる、不利な立場に置かれた民族集団に属しているなどの多様な要因が、子どもの生存の機会を大きく左右しています。セーブ・ザ・チルドレンは、この状況を「運に任される命」と表現します。
本報告書は、世界87の中低所得国で社会・経済集団別のデータ分析に基づいて作成されました。その結果、87カ国中の4分の3以上の国において、子どもの生存率の不衡平は現実的に悪化しており、より有利な集団の子どもたちに比べてはるかに遅い進歩を示す結果となっている集団もあることがわかりました。
調査対象国の78%において、少なくとも一つの社会あるいは経済集団が劣後しており、結果として子どもの死亡率削減のスピードを遅らせてしまっています。
調査対象国の16%において、データを取ったすべての集団において、集団間での子どもの死亡率の不均衡が拡大していました。
セーブ・ザ・チルドレンの分析は、もし変革のための行動を起こさなければ、「運に任される命」の傾向は今後も継続し、防ぐことの出来る子どもの死亡をゼロにするという最大の目標の達成が遅れることを示唆しています。
しかし、この不衡平への取り組みは可能です。実際に、調査対象国の内、ルワンダ、マラウイ、メキシコ及びバングラデシュを含むほぼ5分の1の国では、特定の社会・経済集団の子どもたちを取り残すことなく、子どもの死亡率を早期かつ包括的に削減することに成功しています。
セーブ・ザ・チルドレンは、国際社会に対し、防ぐことが出来る子どもの死亡を2030年までに終わらせることを求めています。
MDGsを継承する新しい開発の枠組みが、2015年9月の国連総会で合意されます。この枠組みは、子どもと母親の生存に関する意欲的な目標を設定し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage: UHC)の漸進的な実現を約束するものでなければなりません。
またその枠組みは、2030年までに5歳未満の子どもの生存率を改善する世界的な取り組みの目標の中に、社会の最も貧しい集団、最も周縁化された不利な集団の子どもたちも含まれることが明確に示されるものでなければなりません。
「今日この時代において、世界中のあまりに多くの子どもたちの生存の機会が、単に質の高い保健医療サービスが身近にある裕福な家庭に幸運にも生まれて来たか否かで決定されてしまうということは、あってはならないことです。
この状況を変えることは可能です。変化を起こすための好機は到来しています。世界の指導者の方々は、この好機を両手でしっかり受け止め、その影響力を行使して、最善を尽くさなければなりません。」セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー・マネージャー 堀江由美子
各国の事例紹介:
ニジェールでは、2012年、乳幼児死亡率が最も高い地域に生まれた子どもは、最も低い地域に生まれた子どもと比較すると、5歳の誕生日を迎えられずに亡くなる可能性が5倍近く高かったことが分かっています。この生存可能性の不衡平は1998年から倍増しています。
インドネシアでは、2012年、40%の最貧困層の家庭に生まれた子どもの死亡率は、10%の最富裕層の家庭に生まれた子どもの死亡率の2.5倍となっており、この不衡平は2002年から倍増しています。
ホンジュラスでは、2012年、イスラス・デ・ラ・バイア県に生まれた子どもの死亡率は同国の最も発展した地域に比べて3.5倍高く、2006年以降この不衡平は大幅に拡大しています。
ベトナムでは、2010年、多数民族であるキン族の子どもの死亡率は、キン族以外の少数民族の子どもに比べて3.5倍低かったことがわかっています。
「運に任されるいのち」に関する他の重要な調査結果:
不利な立場に置かれた民族集団および地域集団は、取り残される可能性が高くなっています。子どもの死亡率に関して、調査対象国の59%において地域集団間の格差が、また76%において民族集団間の格差が拡大しました。
一方、子どもの死亡率削減の改善面では、2013年時点で、5歳未満で亡くなる子どもの一日あたりの数は、1990年から17,000人減少し、世界の乳幼児の死亡率は1,000人あたり90人から46人へ、およそ半減しました。
調査対象のおよそ5分の1の国では、過去10年の間に、前項の世界の死亡率改善の実績に関して、各国実績の中間値以上の改善実績を達成すると同時に、いかなる集団の子どもも取り残さずにその実績を達成することに成功しています。
報告書概要(PDF日本語)
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/1868/1423202949259.pdf
報告書全文(PDF英語)
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/1868/1423202309685.pdf
以上
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