「世界一受けたい授業」出演子供の本気を引きだす感動の講義で話題沸騰平岡和徳氏に聞く「子供たちの未来に触れる」スポーツ指導・学校部活動

PR TIMES / 2018年10月9日 15時40分

平岡和徳氏(熊本県立大津高校サッカー部総監督・宇城市教育長)が、9/29放送の「世界一受けたい授業」に出演。子供の本気を引き出す教育論が大きな反響を呼び、平岡氏の教育論・育成哲学に迫った「凡事徹底――九州の小さな町の公立高校からJリーガーが生まれ続ける理由」(井芹貴志著)が今年10月に1万5千部を超えるベストセラーとなっている。
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サッカーの指導者でありながら宇城市の教育長も務める教育者である平岡氏に、昨今、話題となっているスポーツ指導の現場における体罰・パワハラ問題・長時間の練習、さらには現場の教員が置かれている状況について話をうかがった。(聞き手・井芹貴志)

◆日本のスポーツのあり方をリセットするチャンス

――昨今問題になっている、スポーツ界の体罰やパワハラについてどう受け止めていますか。

平岡 社会のなかで、日本のスポーツの根本を揺るがすテーマとしてこれだけハラスメントの問題が取り上げられたのは、私が生きてきて初めてのことです。みなさんもそうでしょう。以前はアバウトだった「やってはいけないこと」のラインが明確になり、文科省も「児童生徒への懲戒はあっても体罰は許されない」と打ち出しています。

暴力だけでなく、暴言もです。若い指導者の多くは、自分が選手だった頃に接した指導者がお手本になっていると思いますが、学校部活動まで含めて「人に関わるというのはどういうことなのか」日々勉強し、自分が預かっている空間の安心、安全を構築することに、もっとフォーカスしなければいけないと思います。

起きたことに対してきちんとした初動調査や対応をしないと、組織の権力闘争などが報道されて論点がずれ、アスリートファーストの考えはどこかに行ってしまいます。本来なら、アスリートと指導者を第三者的に見て、不適切な言動や暴力的な行為が起きる前に、しっかりとブレーキをかけるリーダーがいなければいけない。ですから、こういう時こそスポーツ庁がリーダーシップをとって、選手達が指導を受ける環境を整えて欲しいと思います。

パワハラの問題はピンチではなく、ここから新しいものを生み出し、オリンピックに向けて日本のスポーツのあり方をリセットするチャンスではないかと思います。これを機に、これまでの悪しき習慣を変えられる優秀な指導者はたくさんいるのではないでしょうか。

―― サッカーの場合はいかがでしょうか?

平岡 サッカー界ではいち早く「暴言、暴力はやめよう」というバナーを作って試合前に流したり、日本サッカー協会の指針としてインターナショナルな感覚を持ちましょうと呼びかけ、指導者に対しても「アスリートファースト」と「オープンマインド」が指導の柱だと教育してきています。日本人が使っていなかった「相手をリスペクトする」という言葉や握手の文化を早くから取り入れるなど、世界のスタンダードをお手本にしてきました。

最近、パワーハラスメントが問題になっている競技には、そういったお手本が少ないように思います。また、表面化していないだけでこうした問題がくすぶっているところがあるかもしれません。ですから、各競技団体でリーダーシップをとって、指導者を集めた臨時の会議を開いたり文書を出したりして、「私たちの競技ではこういうことがないようにしましょう」と呼びかけなくてはいけない。未然防止、早期発見、早期対応に取り組み、サッカー界も含めて対岸の火事で終わらせてはいけないと思います。
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◆キーワードは3K――「可視化」「協働化」「効率化」

―― 各競技団体のトップだけでなく、学校の部活動においては顧問や学校長にもそうした役割が求められますね。

平岡 危機管理については盛んに言われていますから、文科省が管理する義務教育や県立学校の部活動の現場では、そうした問題はどんどん減っていくでしょう。しかし、部活動に対して教員の関心が減っていくことには危機感があります。これからの部活動では、「可視化」「協働化」「効率化」という「3K」が必要ですし、新しい時代の指導者のあり方を作りながら、教員の働き方自体も変わっていかなければいけないと思いますね。

―― 都市圏の自治体では教員が足りないという問題があるようです。部活動への関わりかたも含め、教師という職業の待遇改善も必要でしょうか?

平岡 志願者が減って競争がなくなれば、教員の資質も落ちていきます。そうなると、子どもを預ける場所として私立を選ぶ保護者が増え、県立学校や公立の小中学校がパワーダウンしていくのは目に見えています。先生のなり手がいないのはすごく大変なことで、たとえば熊本県では、今の55~60歳の教員が退職する5年間で一気に教員数が減り、管理職に相応しい人間も少なくなっていくのが実情です。宇城市では、35~40歳の教員を対象とした研修会を定期的に開いて、いろんな意味で力をつけてもらおうと取り組んでいます。質を上げるためには効率よく勉強しなければいけないので、先生方も24時間をデザインすることが大切だと思います。

―― 部活動の顧問になることが、教員の負担となっている問題もありますね。

平岡 専門性の高い競技、経験したことがない競技の部活動顧問になってしまったら、大きなストレスになりますよね。「協働化」の観点でいえば、教員はあくまで顧問として全体を見守り、専門的な技術指導は外部指導者に委嘱して、引率もできるようにするとか、国としても文科省が関わりながら、地域と連携して放課後のスポーツをサポートする形を作ろうとしています。一方で、「部活動の指導をしたくて教員になった」という人もいますから、両者の温度差がどんどん大きくなっていることも問題です。児童生徒にとっても教員にとっても、部活動のあり方が変わってきているのは確かですね。
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◆子供が自ら選ぶ環境を

―― 競技志向の強い子もいれば、そうでない子もいますね。

平岡 「プロになりたい」「インターナショナルな選手になりたい」となれば、サッカーでも顕著なように民間のクラブチームを選択する子どもが増えるでしょう。つまりこれからは、選手たちが指導者を選ぶようになっていくと思います。テニスの大坂なおみ選手は、お父さんやいろんなキャリアを積んでいる人に基礎を作ってもらい、最終的に今のコーチを選び、コミュニケーションスキルやリバウンドメンタリティを高めましたよね。サッカーでも、高校入試の段階でクラブのユースチームに行くか、高校に行くか、高校なら県立なのか、私立なのか、指導者や環境などを見て、子ども達が選んでいます。

―― 一方で、家庭の事情、経済的な要因で民間のクラブに入れない子どももいます。部活動はそうした子ども達がスポーツに親しむ機会でもあったと思います。

平岡 小体連がなくなって学童スポーツに移行していくなか、やりたくても家庭の事情でスポーツができないという事例を減らしていく意味でも、部活動はとても重要です。宇城市でもそのことがテーマの1つで、たとえばサッカーのクラブチームが週に3日活動しているとしたら、共通の休みの日を作れば子ども達は校庭で遊んで帰ります。放課後の時間に、いつもは交わらない子達と、普段やらない競技をやることは、とてもいいことだと思います。スポーツを何もやらないより、定期的で適度なスポーツが学習効果を高めるというデータもあります。逆に、休むことも大切ですから、部活動については週に4日以内、16時半から18時半まで、土日のどちらかは休むと決め、先生方の負担感を減らすための取り組みも模索しています。

―― 体の発育にも、適度な運動と休養は必要なのですね。

平岡 義務教育の9年間では、いろんな競技を体験し、中学校で「このスポーツを頑張りたい」と決める。そして高校に上がるところで、自分の力量や将来のビジョンによって次の選択肢を作っていく。大好きな競技を続けるのに、どの進路を選べば一番楽しめて、自分が成長できるのかを15歳で判断し、18歳になったら、もっとこの競技の魅力を感じ、どの指導者から学んだら人生を有意義に過ごせるかを判断する、という風に、段階的にスポーツに関わっていくことが理想的だと思います。

「あの高校にいけば自分は変われる」「あの指導者のもとにいくことによって、自分の未来は充実するんだ」という15歳の決断が、18歳で決断する時の大きなエネルギーになります。自ら選ぶから、次も選べるんですよ。
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◆人間力を上げるツールの一つとして

―― 部活動では、生涯スポーツにつながる土台作りが大切だということですね。

平岡 集団やチームとしての活動を通して、教室や日常の家庭生活では経験できない、組織的な社会性を学ぶことになりますし、個性が発揮され、自己肯定感にもつながるでしょう。私自身、ずっとサッカーに関わってきたなかで自己肯定感を得られたから、苦手な仕事にもチャレンジできていると感じることがあります。

人間力を上げるツールの一つとしてスポーツをとらえれば、勝利至上主義ではなく、スポーツに親しむことが中心になっていくし、先生方も「人を作る」ということを意識して子ども達に関わるでしょう。そこで、やっている子ども逹から「勝ちたい」とか、「もっと強くなりたい」という思いが主体的に発動され始めたら、「じゃあ、今度の日曜に練習試合やってみようか」とか、大人がサポートしていけば良いと思います。

練習で「先生、今日は何をやるの?」ではなくて、「この前の試合で負けたから、今日はこれを練習しましょう」というように、自分たちでプランを構築したりルールを作ったりできるようになれば、その子達は社会で自立できる人間になっていきます。

―― たしかに、そうした主体性はスポーツ以外の場面でも生かされますね。

平岡 素晴らしい判断力がつくということですからね。今はアクティブラーニングといって、各科目の授業でもそうしたことに取り組んでいます。新しい学習指導要領でも、「主体的」で、「対話的」で、「深い学び」が謳われているわけで、授業も部活動も、黙って聞いている時代ではありません。そういう組織体を作っていくことも、これからの部活動では大事なのではないかと思います。

◆お知らせ◆

このインタビューの拡大版が、10月10日からジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」において3回にわたり連載されます。

今回掲載しきれなかった平岡監督の大事なお話しをお見逃しなく!!
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