地熱発電事業のゲームチェンジャーと成り得るカナダのスタートアップ企業に出資
PR TIMES / 2024年2月19日 17時15分
鹿島(社長:天野裕正)は、2023年12月21日に、地熱技術をベースとしたカナダのエネルギー会社であるEavor Technologies Inc.(エバーテクノロジーズ、以下Eavor社)に出資しました。
Eavor社は、クリーンで信頼性が高く、安価なエネルギーが地球規模で供給される未来を創造することを目指し、石油・ガス井掘削技術と同社の新たな独自技術を組み合わせた「Eavor-Loop(TM)」(エバーループ)を開発しました。「Eavor-Loop」は、世界に先駆けた高い拡張性を持つ地球環境に優しい地熱エネルギー技術で、循環する液体の流れを調節することで、低需要時には液体に熱を貯蔵してより高温にし、高需要時に高効率で電力変換する機能を備えています。同社は、この機能を活用することで、柔軟な需給調整が可能なベースロード電力※1供給の実現を目指しています。
※1 季節、天候、昼夜を問わず、一定量の電力を安定的に供給できる電源で、低コストが望ましいとされる。
原子力発電、石炭火力発電、一般水力発電、地熱発電などが該当。「ベース電源」と表記されることもある
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「Eavor-Loop」の特長は以下のとおりです。
1. 従来の地熱発電では地熱貯留層を探し当てられないリスクが存在するが、「Eavor-Loop」は、高温の岩盤層に液体を循環させて地下岩盤の熱を回収するクローズドループ地熱発電システム※2のため、このリスクがない
2. 火山域以外でも適用が可能なため、地熱の開発可能域が広がる
3. 水蒸気・熱水を採取せず、温泉と競合しにくい場所での地熱開発も可能なため、地熱開発地域の関係者間のスムーズな合意形成が期待される
※2 地熱発電に用いられる技術の一つで、地上から水などの液体をパイプ等を通じて地下に送り、地熱によって熱した後に地上に戻して、発電に利用するもの。井戸の掘削後に地下の熱水や蒸気の不足によって開発が中止となるリスクの回避が期待される
Eavor社はカナダで、「Eavor-Loop」の実証施設である「Eavor Lite(TM)」(エバーライト)を4年以上に亘り順調に稼働させています。現在は、ドイツのゲレツリードにて世界初の商用クローズドループ発電施設を建設中です。
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鹿島は、「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」において、持続可能な社会を「脱炭素」「資源循環」「自然共生」の3つの視点でとらえ、2050年までに達成すべき将来像を「Zero Carbon」「Zero Waste」「Zero Impact」と表現しています。
鹿島はこのうち、「Zero Carbon」を達成するための主たる手段の一つとして、使用電力の再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進めており、地熱発電はそのエネルギー源になり得る分野として注力しています。
「Eavor-Loop」は、地熱開発にかかるコストと時間を削減し、開発可能域を拡げる、地熱発電事業のゲームチェンジャーとなる可能性を秘めた技術です。鹿島はEavor社への出資を通して、地下エンジニアリングに強みを持つグループ会社のケミカルグラウト(東京都港区、社長:相河清実)をはじめ、鹿島グループ全体で、地熱発電事業に関する知見や「Eavor-Loop」技術の獲得、およびその展開に取り組んでまいります。
Eavor社の概要
事業概要: クローズドループ方式の地熱発電・熱供給システムを用いた発電所建設、プロジェクト展開、同技術のライセンス権の販売
設立: 2017年(カナダ・アルバータ州カルガリー)
代表者: John Redfern(社長兼CEO)
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