AI医療機器開発のアイリス 咽頭画像から性別を推定するAIを論文報告
PR TIMES / 2024年9月13日 16時15分
咽頭画像データの医学的有用性を実証、広がる可能性
AI医療機器を開発・販売するアイリス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:沖山翔、以下アイリス)は、自社が保有する咽頭画像の医学データベースを用いて、咽頭写真の元となる方の性別をAIアルゴリズムで推定する最新の研究成果を発表し、その研究論文が「Scientific Reports」に掲載されました。
深層学習アルゴリズムを用いた咽頭画像からの性別推定 | Scientific Reports
今回の研究では、咽頭撮影用カメラで撮影した画像から、深層学習モデルが性別を高精度(AUC 88.3%)で推定することに成功しました。AIモデルは特に20~40 歳と 40 歳以上のグループでは極めて高い精度(それぞれAUC 96.5%、AUC 96.3%)を示し、性差が顕著となる第二次性徴以降で高い精度となったことは、医学的にも妥当な結果と考えられました。
画像から性別を推定するAIモデルの先行事例としては、眼底写真が知られています。先行研究では眼底写真からアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脂質異常症、糖尿病、高血圧、うっ血性心不全、心筋梗塞、肝癌、肝硬変、慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、胆石症、肝嚢胞といった疾病の有無またはリスクをAIが判定できたとする学術報告があります。※(1)-(7)
眼底写真と同じく豊富な血管情報を含む咽頭写真には、これら眼底写真と同様のポテンシャルが期待されます。
今回の研究結果は、咽頭写真が診断のための有効なデータであることを示し、診断技術のさらなる進歩に期待を寄せるものとなり得ます。
現段階では性別予測に焦点が当てられていますが、今後は眼底写真と同様に患者の負担が少なく容易に取得できる情報源として期待されています。
アイリスでは、今後もこれまでのAIの開発経験を活かして、様々なAI医療機器の開発や研究活動を通じ、医療現場の課題が解決される未来に向けて注力するとともに、医療の進歩に貢献してまいります。
■論文情報
掲載紙名:Scientific Reports volume 14, Article number: 17954 (2024)
論文タイトル:Identifying sex from pharyngeal images using deep learning algorithm
著者名:Hiroshi Yoshihara, Memori Fukuda, Takaya Hanawa ,Yusuke Tsugawa
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-024-68817-6
■共同執筆者 津川友介先生コメント
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/35813/64/35813-64-05840f3cf6cf954280393708bf21d04c-338x432.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部内科・公衆衛生大学院医療政策学准教授、医師。ハーバード大学博士課程修了(PhD)。
聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード公衆衛生大学院での勤務を経て、2017年より現職。
JAMA Intern Med、BMJ等に原著論文を複数掲載。著書に週刊ダイヤモンドベスト経済学書第1位の「原因と結果の経済学」(ダイヤモンド社、中室牧子氏と共著)、「世界一わかりやすい医療政策の教科書」(医学書院)など。専門は医療政策学、医療経済学。
「AI技術の進歩によって、今まで人間にはできなかったことが次々にできるようになってきています。2018年に米国グーグルの研究者たちが深層学習を用いて、眼底写真からその人の性別を正確に同定できることが報告されたときには、多くの研究者が驚きました。眼底写真は昔から眼科医によって医学的に評価されていたものの、眼底に性差があることは知られていなかったからです。今回の私たちの研究では、世界ではじめて眼底写真だけでなく、咽頭写真においても深層学習を用いることで、性別を同定できることが明らかになりました。咽頭の解剖学的な構造において性差があることは今まで知られておらず、どのような機序で性差が生じるのかなどを評価することで、将来の研究につながる研究であり、医学診断および医学研究におけるAIのポテンシャルを示唆する画期的な研究結果であったと考えます。」
■アイリスについて
「みんなで共創できる、ひらかれた医療をつくる。」をミッションに掲げ、2017年に創業。現役医師である代表・沖山をはじめ、医療従事者、厚生労働省・経済産業省ほかの行政出身者、AI医療領域に特化したデータサイエンティスト、大手医療機器メーカー出身者など多数のプロフェッショナルが揃い、深層学習技術(AI技術)を活用し、医師のもつ匠の技をデジタル化するAI医療機器を開発しています。
【会社概要】
・会社名:アイリス株式会社
・代表取締役:沖山翔
・事業内容:AI技術を用いた医療機器の開発・製造・販売及び人工知能技術の研究開発
・設立:2017年11月
・本社所在地:〒104-0028 東京都中央区八重洲2-2-1 八重洲セントラルタワー7階
・企業URL:https://aillis.jp/
※ 参考文献
(1)Suh A, Ong J, Kamran SA, et al. Retina oculomics in neurodegenerative disease.
Ann Biomed Eng. 2023;51(12):2708-2721.
(2)Huang S, Bacchi S, Chan W, et al. Detection of systemic cardiovascular illnesses and
cardiometabolic risk factors with machine learning and optical coherence tomography
angiography: a pilot study.
Eye (Lond). 2023;37(17):3629-3633.
(3) Diaz-Pinto A, Ravikumar N, Attar R, et al. Predicting myocardial infarction through
retinal scans and minimal personal information.
Nat Mach Intell. 2022;4(1):55-61.
(4) Cheung CY, Ran AR, Wang S, et al. A deep learning model for detection of Alzheimer’s
disease based on retinal photographs: a retrospective, multicentre case-control study.
Lancet Digit Health. 2022;4(11):e806-e815.
(5) Rim TH, Lee CJ, Tham YC, et al. Deep-learning-based cardiovascular risk stratification
using coronary artery calcium scores predicted from retinal photographs.
Lancet Digit Health. 2021;3(5):e306-e316.
(6) Xiao W, Huang X, Wang JH, et al. Screening and identifying hepatobiliary diseases
through deep learning using ocular images: a prospective, multicentre study.
Lancet Digit Health. 2021;3(2):e88-e97.
(7) Sabanayagam C, Xu D, Ting DSW, et al. A deep learning algorithm to detect chronic
kidney disease from retinal photographs in community-based populations.
Lancet Digit Health. 2020;2(6):e295-e302.
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