モーターサイクルの安全性を向上 ボッシュのモーターサイクル用スタビリティコントロール
PR TIMES / 2013年10月4日 10時24分
コーナーでもブレーキングを制御
・コーナーでも最適なブレーキングと加速が可能に
・ドライビングダイナミクスの限界内で安全性を向上
・量産モデルとしてKTM 1190 AdventurとAdventure Rに初めて搭載
ボッシュは、あらゆる走行状況で最大限の安定性を確保する初めてのモーターサイクル用ブレーキコントロールシステムとなるモーターサイクル用スタビリティコントロール(MSC)の開発に成功しました。このMSCは、ブレーキングと加速時、直線およびコーナーの走行時などでライダーをサポートします。また、モーターサイクルの操作性と走る喜びはそのまま保つことができます。このシステムは、KTM 1190 Adventureと1190 Adventure Rの2014年モデルに搭載される予定です。
「生命に危険が及ぶモーターサイクルの事故のほぼ半数はカーブで発生しています」。こう述べるボッシュ・シャシーシステム・コントロール事業部長のゲルハルト・シュタイガー(Gerhard Steiger)はさらにこう続けます「ボッシュのモーターサイクル用スタビリティコントロール(MSC)は、事故の発生件数のさらなる減少のために大きく寄与することができます」。2010年にはヨーロッパだけでも5,000人を超えるモーターサイクルライダーが交通事故で死亡していますが、ABSを装備するだけで、死亡や負傷につながるモーターサイクルの全事故の約1/4を防止できるという調査結果が出ており、新しいスタビリティコントロールによりさらなる防止効果が期待できます。
コーナーでも安全性が向上
「MSCの技術的なベースは、モーターサイクル用ABS enhancedシステムです」 と述べるのは、モーターサイクルの安全性の向上に取り組んでいる日本ボッシュにあるコンピテンスセンター長のフェウゼィ・ユルドゥルム(Fevzi Yildirim)です。「それをベースに、この新しい機能は多数のセンサーと最新のソフトウェアで実現しました」。そしてこのシステムにより、モーターサイクルメーカーや要求水準の高いエンドユーザーに幅広いセーフティ機能を提供できるようになりました。
・傾斜角とピッチ角に応じたABSコントロールにより、あらゆる走行状況で走行安定性が向上するとともに、ブレーキング効果が向上します。
・変化しやすい路面や滑りやすい路面でも駆動力が効率的に路面に伝達され、駆動輪がグリップを失わないよう、トラクションコントロールが最大エンジントルクを調整します。
コーナーで急ブレーキをかけた場合に、直立姿勢に戻ろうとするモーターサイクルの特性をMSCが抑制します。この不随意的なマシンの立ち直りによりコーナリング半径が大きくなり、その結果、モーターサイクルが車線を逸脱することがよくあります。こうした場合に、電子制御式コンバインドブレーキシステム(eCBS)は車輪間のブレーキ力を最適に配分し、コーナリング時にモーターサイクルを安定させます。
・また、MSCは「ローサイド」転倒のリスクを軽減します。これは、車輪がコーナーの外側へスリップし、コーナリング時にモーターサイクルが転倒する事故のことで、コーナリング時にブレーキ力がかかりすぎ、車輪が十分な横力を路面に伝達できなくなると発生します。そして、MSCはローサイド転倒のリスクを検知し、最大ブレーキ力を制限することでこれを防止します。eCBS機能は、利用できる最大限のブレーキ力を車輪に配分し、コーナリング状況下で最適なブレーキ性能を保証します。
・eCBS機能は、ライダーが前輪または後輪のみに誤ってブレーキをかけた場合やブレーキを強くかけすぎた場合でも、いつでもブレーキ力を最適に配分します。
・後輪走行緩和機能はエンジントルクを制御し、前輪が制御不能になって浮き上がるのを防ぐだけでなく、最大加速を可能にします。
・後輪浮き上がり緩和機能は、摩擦係数が高い路面を走行中に前輪の最大ブレーキ力を低減し、後輪を接地させます。また、ピッチレートと縦加速度を考慮し、走行安定性を保ちます。
ドライビングダイナミクスの限界をエレクトロニックシステムが検知
モーターサイクル用スタビリティコントロールは、マシンのドライビングダイナミクスを検知するために多数のセンサーを使用します。車輪速センサーは前輪と後輪の回転速度を測定し、慣性センサーモジュールがマシンの傾斜角とピッチ角を毎秒100回以上の速さで算出します。また、ABSコントロールユニットはセンサーデータ、前輪/後輪の速度差、タイヤサイズ、タイヤ形状、センサー位置などその他のモーターサイクル固有のパラメーターを分析し、傾斜角をベースにしてブレーキ力の物理的限界を計算します。
そして、車輪がロックし始めたことをモーターサイクル用スタビリティコントロールが検知した場合には、ABSコントロールユニットが油圧ブレーキ回路の圧力モジュレーターを作動させます。これによりブレーキ圧は低減され、ほんの一瞬で再び加圧されます。その結果、各車輪をロックさせないために必要な強さのブレーキ圧だけを正確にかけることができます。
モーターサイクルライダーにとって、ボッシュのMSCは命を救う貴重な存在です。とはいえ、ABSと同様、MSCも物理法則に逆らうことはできません。特に、走行状況に関する重大な判断ミスやライダー側に大きなミスがある場合には、こうしたシステムがあっても事故につながる可能性があります。それでもなお、このシステムがきわどい状況下でライダーをサポートし、安全性を高めると同時に、モーターサイクルからライダーがさらに多くのものを得るために大きく寄与するのは間違いありません。
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