獣医療におけるリアルワールドデータの活用促進へ:自然発症モデルによるトランスレーショナルリサーチ実施体制(One Health Platform)の実現に向けて
PR TIMES / 2024年11月13日 17時15分
-ヒト医療と獣医療におけるノウハウのシナジーによる獣医療の診療体験の更なる向上とヒトと動物の垣根を超えた新しい医薬品等開発体制の実現を目指して-
健康な社会の実現を目指すシミックホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO 中村 和男、以下シミック)とアニマルヘルスケア領域の事業を展開するグループ会社であるanimo株式会社(本社:山梨県北杜市、代表取締役CEO 寺島 正美・COO 栗田 敦志、以下animo)、国内シェアNO.1*1のペット保険事業を中核にペット関連事業を展開するアニコム ホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役小森 伸昭、以下アニコム)は、ペットと飼い主の健康共生寿命*2延伸を目指して以下の協業について基本合意したこと(以下 本合意)をお知らせいたします。
*1 シェアは、各社の2023年の契約件数から算出。(株)富士経済発行「2024年ペット関連マーケティング総覧」調査
*2 健康共生寿命:animoでの造語。人(飼い主)とペットが共に健康上の問題で日常生活が制限されることなく共に生活できる期間を指す。
1. 獣医療界の適切な情報連携およびリアルワールドデータ(以下RWD)活用促進を目的としたシステム連携
2. 1.で構築したプラットフォームを活用した製薬およびフードメーカー等に対する新たなサービスの開発・提供
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/51375/77/51375-77-8f3501bdf9fb08d506ee623c26a0f353-1280x560.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
■本合意の背景
現代の日本においては犬と猫の飼育頭数が15歳未満のこどもの数を上回り、また家族の一員として完全室内での飼育が増えるなどにより犬や猫の平均寿命は延伸を続けています。そのため、ペットもヒトのように疾患の多様化、専門性が進み、“人医療と獣医療の連携”・“動物病院間、動物病院-飼い主間の情報連携”が求められています。人医療においてはPHR(Personal Health Record)の利活用およびEHR(Electric Health Record)/EMR(Electric Medical Record)との連携に関する議論が開始されて久しく、患者-病院間の情報連携およびPHRデータを活用した個別医療の最適化(Precision Medicine)への検討が活発に進んでいます。*3,4,5
獣医療の現環境ではPHR-EHR/EMR連携が今はまだ取りやすい環境であり、且つヒトと違って言葉を話さないペットを対象とする獣医療の環境下では、多様なデータを活用した治療成績の分析や治療方針の判断を実施する重要性はより高いと想定されます。
シミックグループのヒト医療における多数の医薬品開発および製薬会社等に対するサービス提供の実績・ノウハウと、アニコムグループの国内最大のペット保険事業に加え全国の動物病院の約25%に普及している「アニレセクラウド」を含むペット業界におけるノウハウとのシナジーにより、animal PHR-EHR/EMR連携による診療体験の向上、RWDの活用および製薬メーカー等へのサービス開発・提供により獣医療の発展に貢献したいとの想いから、本合意に至りました。
*3 グローバルにおけるEHR・PHR 環境の特徴:https://www.jpma.or.jp/opir/news/068/07.html
*4 電子カルテ情報共有サービスの運用等にかかる課題について:
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001263740.pdf
*5 専門家インタビュー 九州大学 中島 直樹 先生:https://chugai-pharm.jp/ma/phc/06/02/
■本合意による具体的な検討事項
1. 獣医療界の適切な情報連携およびRWD活用促進を目的としたシステム連携
animoが開発中のanimo platform(animo owner appおよびanimo for VET)と、アニコムグループのアニコム パフェ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 安宅 快、以下 アニコム パフェ)が提供するアニレセクラウド等のシステム連携を通じてanimal-PHRとEHR/EMR連携を実現し、動物病院とペットオーナー間の円滑な情報共有による新たな診療体験の提供と、RWD活用の促進による個別医療の最適化を目指します。
<現時点で想定するプラットフォームのイメージ>
- アニコム パフェが運営する飼い主向けアプリ「aniLife」を基盤として、animoが開発中のanimo owner app*6の主要機能(症状や投薬・摂取等のライフログ記録、オンライン診療/相談機能 他)を内装することで、ペットのあらゆるライフステージで利用可能なAll-in-oneのowner appを早期に構築する。
- 上記機能の他、飼い主側はOwner appを通じ、アニレセクラウドに蓄積された検査結果や処方情報を閲覧可能とする。
- アニレセクラウドから今後直接アクセスが可能となるanimo for VET*6を通じ、飼い主がOwner appに記録した情報を動物病院側が閲覧可能となる。
- 上記プラットフォームの医療データを統合管理することにより、当該データ群(RWD)を活用した多様な分析をリアルタイムで実施可能なシステムを構築する。
*6 animo platform (animo owner app & animo for VET) については以下のプレスリリースを参照ください。
animo platform:全国の専門獣医師の協力のもとでフルパッケージでのテスト運用開始
https://www.cmicgroup.com/news/20240926_1
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/51375/77/51375-77-04c38c907352e6752c63a1cf2f6996d4-1280x720.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図 システム連携イメージ
2. 1.で構築したプラットフォームを活用した製薬およびフードメーカー等に対する新たなサービスの開発・提供
シミックグループの多数の医薬品等の開発支援実績および臨床試験やヘルスケア領域におけるデジタル化推進のノウハウ、アニコムグループのペット領域における多様な情報と最先端の治療法開発の実績をもとに、1.で構築したプラットフォームおよび統合データを活用し、動物用医薬品開発メーカーやフードメーカー等に対する以下のサービスの開発・提供を進めていきます。
- エビデンス創出支援サービス(検討中)
・ 疾患動物リクルートメント
・ 特定疾患・属性(動物種、薬剤等)の動物における使用成績調査等
・ 特定疾患・属性(動物種、薬剤等)の動物に対するアンケート調査等
- マーケティング戦略立案・実行支援サービス(検討中)
・ マーケット分析による製品使用実態や治療成績等の視覚化
・ マーケティング戦略立案および実行支援
- ダイレクトマーケティングサービス(検討中)
・ 特定疾患・属性(動物種、薬剤等)の動物に対する情報配信
■今後の展望
近年、動物からヒトへ、ヒトから動物へ伝播する感染症(人獣共通感染症)は、全感染症の約半数を占め、医師や獣医師はそのリスクに直面しています。この問題に対し、ヒト、動物、環境の衛生に関わる専門家が協力するOne Health(ワンヘルス)*7という考え方が世界的に広まっています。WHOや厚生労働省においてもOne Healthの普及と分野間の連携を推進しています。
このOne Healthの考えを基に、ヒト医療と獣医療の垣根を超えてそれぞれの成功体験を相互に取り入れつつ、情報管理および相互の情報連携による利活用の高度化により革新的な医療・ヘルスケアサービスを開発していく必要があると考えています。今回の協業では、ヒト医療への応用や自然発症モデルによるトランスレーショナルリサーチ*8の実現も視野に入れ、ヒト医療と獣医療の更なる連携を目指します。
*7 福岡ワンヘルス協議会のHPでは「ワンヘルスとは人の健康、動物の健康、環境保全は一つという考えのもと、人と動物、そしてそれらを取り巻く環境が直面しているさまざまな課題に対して医師や獣医師、研究者だけでなく、行政や企業、市民も一緒になって解決していこうという社会活動」とされており、私たち人が健康であるためには、動物の健康や自然環境を考えていく事が重要とされています。
WHO One health:https://www.who.int/health-topics/one-health#tab=tab_1
福岡ワンヘルス協議会: https://fukuoka-onehealth.jp/
福岡県HP ワンヘルス”One Health”~人と動物の健康と環境の健全性は一つ~:
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/one-health-fukuoka.html
*8 自然発症モデルによるトランスレーショナルリサーチの考え方については、以下アニコムのリリースも参照のこと
アニコム、『がんを含む全ての疾病予防に係る共同研究』募集を開始
https://www.anicom.co.jp/news-release/2024/20240723/
■シミックグループについて
シミック(CMIC)は、1992年に日本で初めてCRO(医薬品開発支援)事業を開始し、今では開発から製造、営業・マーケティングまでの医薬品に関する総合的な支援業務を提供しています。製薬・バイオテクノロジー・医療機器等の海外企業の日本市場参入や、アジアでの臨床試験実施、米国と日本における医薬品開発および製造のサポートなども展開しています。また、シミックは個人や自治体を支援する新しいヘルスケアソリューションを提供しており、製薬企業のバリューチェーンを全面的に支援する豊富な経験と実績を基盤として、“個々人の健康価値を最大化”する事業モデルPHVC("Personal Health Value Creator”)の展開を目指しています。シミックグループは、世界中に7,500人を超える従業員とグループ会社28社を擁しています。詳しくはウェブサイトをご覧ください。https://www.cmicgroup.com
■animoについて
CMICグループがこれまで培ってきた医薬品開発支援およびヘルスケアソリューション開発・提供の実績をもとに、“人と動物の垣根を超えたヘルスケア・エコシステムの構築(One Health Platform)”をMissionとして、「ヒト」と「動物」を医療資源を共有し共に病気に向き合い、寄り添い理解し合えるパートナーと位置付けた上で、医療・ヘルスケア領域における新たなプロダクト、サービスを創造していきます。
HP:https://www.cmicgroup.com/corporate/group/animo/
■アニコム ホールディングスについて
ペット保険を中核に、遺伝子検査に関する取り組みや、共生細菌に関する研究、再生医療をはじめとする先進的な獣医療に関する研究開発などを通じて、どうぶつの各ライフステージに寄り添うサービスを提供することで、ペットの「川上から川下まで」をサポートするインフラカンパニーを目指します。
HP:https://www.anicom.co.jp/
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