ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の未来
PR TIMES / 2020年9月1日 15時45分
―AIとデータを活用した次世代のRPA―
AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、共同創業者/CEO:チハン・ユー、以下Appier)のチーフAIサイエンティストであるミン・スンは、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の現状と将来性について発表します。
1. RPAを次のステップへ
ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の誕生は、人間を単純な反復作業から解放し、よりやりがいのある作業に取り組むことを可能にしました。RPAソフトの普及によって、自動化ツールは非常に身近となり、PCの画面上でアイコンをドラッグ&ドロップするだけで、日常的な作業を自動化できるようになりました。
しかしルーティン業務ではなく、特定の誰かを必要とする作業では、ある程度、人間の勘や知識が必要になります。このような場合、自動化(RPA)ツールは活用できるのでしょうか?
こうした作業であってもRPAでは、作業の各ステップにおいて変数を適用することで対応が可能です。例えば、財務報告書を編集するときにもRPAは活用できます。変数を変更すれば、別の勘定科目コードや金融機関を見ることが可能です。また、検索条件にパラメータや変数を追加することも比較的簡単です。
さらに、AIを使うことで、RPAツールに人間が欲しいものを学習させ、動作を追加することができます。AIは、RPAを進化させ、AIの活用によって、RPAの可能性は広がっています。以下では、AIを活用したRPAの例を見ていきます。
2. データとAIをRPAに活用する
AIを研究する非営利団体のOpenAIが開発した言語モデルGPT-3(Generative Pre-trained Transformer 3)は、インターネット上の膨大な言語データを、AIを使って分析する高度な技術です。ニューラルネットワークを訓練することで、GPT-3は、人間の言語とプログラミング言語の両方を人間とほぼ同様に理解し、生成することができます。
例えば、数種類の法律契約書とシンプルな英語文書が与えられれば、英語で簡単な法律契約書を書く作業を自動化し始めることができます。このような高度な自動化は、最先端のAIとデータを活用することで可能となった技術であり、従来のRPAツールでは想像もできないことでした。
デジタルマーケティングにおけるメール送信にも、AIは活用されています。マーケターが顧客や見込み客に自動配信のメールを送る際、ターゲットのリストを照合し、メールを作成して送信するのがRPAの一般的な使用例です。AIを使うことで、データを分析してメッセージを最適化し、コンバージョンにつながる可能性を最大限に高めることができます。このためには、十分なデータと、誰に何を、最適なタイミングで何を送るべきかのモデルを作成できる強力な分析ツールが必要となります。
これまでは、人間がデータを分析し、メッセージを送信するタイミングについて仮説を立てていました。しかし、AIを使うことによって、分析を行い、仮説を立て、テストを行い、次のキャンペーンをより成功させるために修正することができるようになりました。
3. 次世代RPAはデジタルトランスフォーメーションから成長する
RPAの普及が広がるにつれ、企業はソフトウェアロボットの活用にも目を向けるようになるでしょう。企業はサブスクリプションモデル(定期購入モデル)でRPAを導入し、専門家の支援を受けられるようにする方法を模索しており、「Robot as a Service」の出現が期待されていると指摘する専門家もいます。
また、COVID-19の流行により、企業におけるデジタル化が急速に進んでいます。企業におけるデジタル化の推進は、RPAの最適化においても重要です。企業がデータレイク(多種多様なデータを本来のフォーマットのまま保管する広大な領域)やAPI (Application Programming Interface/ソフトウェアの機能を共有する仕組み)を通じてアクセス可能な新しいデータ収納庫を開発する際、RPAツールが収納庫にアクセスできるようにする必要があります。
しかし、いくつかの課題もあります。自動化は多くのメリットをもたらしますが、すべてのプロセスを自動化すればいいのではありません。企業は、最も価値あるプロセスに絞って自動化を行なうべきです。また、自動化によって仕事を失った人が、新しい役割や活動を見つけるためのサポートも必要です。自動化によって生み出された時間は、より価値の高い仕事の遂行に使われるべきであり、より価値の高い仕事がないとすれば、自動化の意味がありません。
次世代のRPAでは、定型的な作業を自動化するだけでなく、AIや機械学習を活用した最適化によって、作業の質を高めることができるようになります。ニューラルネットワークの応用により、RPAはさらに進化します。顧客により価値のあるサービスを提供しようとする企業にとって、より良い結果をもたらすでしょう。
Appier について
[画像1: https://prtimes.jp/i/25921/85/resize/d25921-85-759679-1.jpg ]
Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するための AI プラットフォームを提供しています。詳細はhttps://www.appier.com/ja/をご覧ください。
※過去の発表はhttps://www.appier.com/ja/news/をご覧ください
ミン・スン プロフィール
[画像2: https://prtimes.jp/i/25921/85/resize/d25921-85-790935-0.png ]
2005年からGoogle Brainの共同設立者の一人であるAndrew Ng(アンドリュー・エン)氏、元Google CloudのチーフサイエンティストであるFei-fei Li(フェイフェイ・リー)氏などのプロジェクトに携わり、AAAI(アメリカ人工知能学会)をはじめ世界トップの人工知能学会で研究論文を発表。
2014年に国立清華大学の准教授に就任。2015年から2017年には、CVGIP(Computer Vision Graphics and Image Processing)Best Paper Awardsを3年連続で受賞。
専門分野は、コンピュータビジョン、自然言語処理、深層学習、強化学習。2018年には「研究者には肩書きよりもデータが必要」と感じ、AIテクノロジー企業AppierにチーフAIサイエンティストとして参画。新製品の開発、既存製品の機能改善のほか、記述的な課題解決を行う。
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