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家から出ない、仲間外れ、孤立・・・困窮家庭の子どもたちが苦しむ“体験格差”の現状を調査 :ひとり親家庭へのアンケート

PR TIMES / 2024年7月4日 18時15分

「夏休みの絵日記が地獄」「友達関係が良好に築けない」

様々な体験活動を通じて自己を発見したり、問題解決力を養ったりすることは、子どもたちの成長や発達において非常に重要です。しかし、家庭の経済状況により、子どもたちの体験機会に格差が生じることが懸念されています。
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(本部:東京都大田区、会長:福井玲)は、当団体によるひとり親家庭への食品支援「グッドごはん」を利用する家庭にアンケートを行い、低所得のひとり親家庭の子どもにおける体験機会の状況を調査しました。その結果、主に経済的理由で保護者が子どもに体験活動をさせることが難しい実情が明らかとなったほか、子どもたちが周囲との体験の格差に直面し苦しむ声が多く寄せられました。



文部科学省の調査[1]によると、子どもの頃に自然体験や文化的体験等の体験活動を多くしていた子どもほど、その後長い期間を経た時に、高い自尊感情や外向性、精神的な回復力などをもちやすい傾向がみられます。また、同調査では、収入等の家庭状況により、子どもの体験機会に格差が生じることが示唆されています。
グッドネーバーズ・ジャパンは、低所得のひとり親家庭へアンケートを実施し、子どもの体験機会(学校行事を除く)の内容や、保護者が子どもに体験活動をさせることの困難状況などについて調査しました。

アンケート概要
「ひとり親家庭の子どもの体験機会に関するアンケート」
実施日程:2024年6月1日~6月10日

対象者:「グッドごはん」の食品受取に申し込んだ首都圏・近畿・九州の利用者(ひとり親家庭の保護者)のうち、小学生~高校生の子どもをもつ保護者
※首都圏は主に東京・神奈川・埼玉・千葉 / 近畿は主に大阪・京都・兵庫・奈良 / 九州は主に佐賀・福岡
※利用者は、ひとり親家庭等医療費受給者証保有者に限る(ひとり親家庭等医療費受給者証とは、18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証)

回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)

回答者数:3,137名(首都圏1,544名 / 近畿1,221名 / 九州372名)

回答者の子ども(小学生~高校生)の年齢内訳<回答者の子ども(小学生~高校生)の人数全体に占める割合>:6歳~11歳<42.6%> 12歳~14歳<29.0%> 15歳~17歳<28.4%>


[1]文部科学省 (2021)「青少年の体験活動の推進に関する調査研究」


●ひとり親家庭になった後、子どもの体験機会が減少
ひとり親家庭になって以降、子どもに体験活動をさせる頻度がどのように変化したかを質問した結果、「かなり減った」と回答した人が55.9%、「やや減った」が20.8%にのぼりました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/5375/86/resize/d5375-86-56bbb6964b8e937ce5b5-0.jpg ]


ひとり親家庭となり経済状況や家庭内の環境が変化し、子どもに体験活動をさせることをやむなく断念するケースがみられます。回答者からは、下記のような声が上げられました(自由記述回答)。
「不登校でしたがプロを目指すほど習い事に夢中になっていました。しかしひとり親になって経済的な理由でやめてから、家を出なくなってしまった」


「春はお花見、夏はキャンプで海水浴、冬はスキーなど季節を感じる活動をしてきたが、ひとり親家庭になった後は全く出来ていない。子供に申し訳なく思っている」


「以前は習い事をしていたが、ひとり親家庭になってからは習い事に通わせられない。ピアノやそろばんで上位級を目指して頑張ってきた本人には申し訳ない」



グッドネーバーズ・ジャパンが2024年2月にグッドごはん利用者へ行った収入状況に関するアンケート調査[2]では、回答者全体[3]の6割近くが世帯年収200万円未満(各種社会手当・養育費・同居家族の収入含む)で生活していることがわかりました。
厳しい暮らしの中、子どもの体験活動に必要な費用を工面できずに苦悩するひとり親家庭がいます。

[2]アンケート概要
「ひとり親世帯の収入に関するアンケート」
・実施日程:2024年2月2日~2月18日
・対象者:グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンク事業「グッドごはん」の利用者
・回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)
アンケート調査結果プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000005375.html
[3]有効回答数:2207名


●子どもに体験活動をさせることが困難な回答者の約9割「経済的理由で難しい」
「お子さんに学校の外での活動を体験させることに対して、どの程度の難しさを感じていますか」という質問に対し、19.7%が「非常に難しく、全く体験させていない」、51.0%が「やや難しく、あまり体験させていない」と回答しました。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5375/86/resize/d5375-86-10e9aa603d8770b1d1e7-1.jpg ]


上記の質問で「非常に難しく、全く体験させていない」「やや難しく、あまり体験させていない」を選択した回答者に対し、体験活動をさせることが難しい理由を尋ねたところ、約9割が「それらの体験をさせるための経済的余裕がないため」と回答しました。さらに、61.1%の回答者が「それらの体験にかける時間的余裕が保護者にないため」を選択しました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/5375/86/resize/d5375-86-caea6c748c26eb0cfa9a-3.jpg ]


次に、「子どもが直近1年間に一度も体験していない学校の外での活動」について、「習い事(スポーツ等のクラブ・チームへの所属含む)」「旅行」「自然体験」「文化芸術体験」の中からあてはまるものを選択する(複数選択可)形式で質問をした結果、「自然体験」「旅行」が比較的高い割合で選択されました。また、「文化芸術体験」「習い事(同)」を選択した回答者も少なくありません。さらに、2割近くの回答者が選択肢に挙げられた体験活動をすべて選択しており、それらすべての活動を子どもが直近1年間に一度も体験していないことがわかりました。先述の文部科学省の調査では、子どもの体験後に育まれた意識(自尊感情や外向性等)の内容は体験活動の種類によって異なることが明らかになったことから、多様な体験をすることが子どもの成長において重要であることが示されています。したがって、体験の種類が限られることにより、子どもが豊かな感情や幅広い能力を養う機会が不足することが懸念されます。
[画像4: https://prtimes.jp/i/5375/86/resize/d5375-86-9f71690501cef9a6a616-3.jpg ]


●体験格差に直面する子どもたち
自由記述で寄せられた回答者の声から、体験機会において周囲との差異を感じる子どもたちの様子が浮かび上がりました。

周りとの格差に苦しむ子ども
「学校の先生に「お休みどう過ごしてた?」と聞かれても うちの子達だけ「どこにもいってない」という話になり「何で、○○君はお出かけできないの?」とまわりの友達から言われとても恥ずかしかったという話を聞いた」


「周りのお友達はスイミングやピアノ、ダンスなど習い事をしている子がほとんどだけど、どうして私は何も習い事ができないの?と聞かれることがあるけど、送迎できる時間もお金もなく、可哀想な思いをさせてしまっているのが辛いです」


「たまにどこかに出かける提案をすると、その体験自体を喜ぶのではなく、友だちに自慢できる、友だちと対等になれる、という事を喜ぶようになってしまった」



子どもの人間関係に影響も
「お友達家族に遊園地に誘われた、子供だけ一緒に連れて行ってくれると言われたがお金がないので断るしかなく、友達関係が良好に築けないと子供に言われた。
特別な体験をさせられないどころか日々のお小遣いもナシ、おやつもナシ、自転車すら買ってあげられないため、お友達と遊ぶ時に自転車じゃない事を馬鹿にされたり、お小遣いがないので遊んでいる途中にコンビニなどでおやつを買えないことを理由に仲間はずれにされてしまう」


「私にお金の余裕も時間の余裕も無いため、習い事や友達と遊ぶ時とかにお金をあまり渡してあげることが出来ないので、学校外ではあまり外出することがないです。本人は行きたいのにお金のことを考えてお友達に約束を断るなどしていて本当に申し訳なく思うことがあります」


「着ていく洋服がなく、友達に誘われても外食をするお金や交通費などもないため断る事が多く、孤立している」



長期休みに一層深刻化する体験の格差
「夏休みの絵日記の宿題が地獄です。 書くようなお出かけはしないし、みんなの旅行の話を聞いて、どこへも連れて行ってもらえない自分がみじめになるようです」


「年に一回くらいは旅行やキャンプなど体験させたいとは思いますが、金銭的にも時間的にも体力的にも余裕がなく5年以上行けていません。夏休みや冬休みなどの長期休暇でお友達との話が合わないことに不満をこぼされ申し訳なさと辛い気持ちになることがあります」


「連休になると他の家庭は旅行や遠出をするみたいで公園から友だちがいなくなり、子どもが公園しか行けていないことに申し訳なく思います」


「夏休みなどの長期のお休みの時に、家族で旅行やお出かけしたなど色々な話をお友達から聞くたびに娘は羨ましがり、そして娘も行きたいけど今の状況を理解し我慢しているのを感じとても申し訳なくなります。 働いても物価高で余裕がなく、働けば働くほど娘との時間もなくとても難しいです」




●より良い未来のために、今、子どもたちに体験を
「体験」は食事や睡眠などと違い、不足しているからと言って生命の危機にさらされるものではありません。しかし、体験を通して得た他者との関わり方、自分の興味や才能への気づき、問題解決能力などは、複雑化・多様化する社会を生き抜くために欠かせない原動力となります。
本調査では、このような力を培う環境やきっかけを得ることができないひとり親家庭の状況が明らかとなりました。また、体験機会が乏しいこと自体に加え、「周りのみんながしていることを自分はできない」という事実が子どもの疎外感や絶望につながってしまう可能性があり、これも体験格差の憂慮すべき側面であると考えます。

子どもたちは、10年後、20年後の社会をつくるかけがえのない存在です。子どもたちが今様々な体験を通して得る力は、未来の社会を支える土台となります。
家庭環境により体験機会が制限されることのないような公平な仕組みづくりや、困窮家庭が基本的な生活物資等のサポートを受け家計が改善する分子どもの体験に必要な支出を賄うようにできる支援など、具体的な対策を講じながら、長期的な視点で子どもたちの体験機会を支えることが必要だと考えます。


■団体について
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパンは、国際組織グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、2004 年に開設されました。「子どもの笑顔にあふれ、誰もが人間らしく生きられる社会」を目指し、国内外の子ども支援を行っています。公益性の高い団体である「認定NPO 法人」として東京都から認可を受けています。
https://www.gnjp.org/

■ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」とは
「グッドごはん」とは、ひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満のひとり親家庭を対象に、食品を毎月無料で配付する事業です。2017年9月の事業開始以降、のべ82,731世帯に食品をお渡ししてきました*。
首都圏、近畿および九州における約50か所*の配付拠点にて、企業や個人の寄付によって集まったお米や調味料、レトルト食品、お菓子など、約10,000円相当のカゴいっぱいの食品をひとり親家庭に配付しています。
*2024年5月時点
https://www.gnjp.org/work/domestic/gohan/
※通常、配付拠点に直接取りに来られる方を対象に食品を配付しています
※生活保護受給中の方は対象外です

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