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日本の技術をコアとしたビジネスモデルについて-LIXILの取り組み

PR TIMES / 2014年12月1日 20時33分

イノベーションワークショップ2014「グローバル競争を勝ち抜く企業経営~変革への挑戦」第3回開催

フューチャー イノベーション フォーラム(略称=FIF、代表=牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャーアーキテクト株式会社会長兼社長)は、11月12日にイノベーションワークショップ2014の第3回を開催しました。
本ワークショップは次世代リーダーの育成と業界を超えた企業同士の交流を深める場として2007年にスタートしました。本年は、「グローバル競争を勝ち抜く企業経営」をテーマに全4回をつうじ、グローバル企業のビジネスモデルや人材、ITの活用事例などを学び、議論を重ねています。
第3回は「日本の技術をコアとしたビジネスモデルの可能性について」と題し、LIXIL総合研究所が取り組むケニアでの次世代エコサニテーション事業とICTを活用したスマートハウスの実証実験についてご紹介いただきました。



【開催概要】
 講演者:株式会社LIXIL 常務執行役員 総合研究所長 小田方平
 テーマ:日本の技術をコアとしたビジネスモデルの可能性について-LIXILの取り組み
 コーディネーター:明治大学 経営学部 教授 大石芳裕
 日 時:2014年11月12日(水) 18:00 ~ 20:50
 会 場:フューチャーアーキテクト株式会社(東京都品川区)

【講演概要】
「世界で最も難しい住生活に関わる課題を解決する」というミッションのもと、LIXIL総合研究所はグローバルインフラや情報化社会における新しい住宅の研究を行っている。ケニアではリバースイノベーションを見据え、都市における超節水型トイレや郊外での無水無電源型トイレの実証実験を行っている。また国内でも様々な企業とともにセンサーやICT技術を活用したスマートハウスの実証実験を行っており、日本の技術をコアにしたビジネスモデルの構築に向けて尽力している。

◆LIXIL総合研究所のミッション
2011年4月に住宅建材・設備メーカー5社が統合し、住まいと暮らしの総合住生活企業としてLIXILグループは誕生した。数多くのカテゴリでトップシェアを獲得しているが、現在は海外売上高を上げるべくグローバル企業への変革を目指し、海外展開を加速している。
LIXIL総合研究所は、豊かで快適な世界の実現に向け「世界で最も難しい住生活に関わる課題を解決する」ことをミッションに、水不足やエネルギー問題、超高齢化や人口爆発など世界中に山積する社会問題や環境変化を新たな事業機会ととらえ、「ゼロエネ建築」、「高齢化」、「資源」、「グローバルインフラ」、「情報化社会」という5つのテーマを中心に研究を進めている。

◆ケニアにおける次世代エコサニテーション事業とその可能性
「グローバルインフラ」の研究では、衛生環境の改善と土壌・水資源の保全に取り組みながら次世代サニテーション事業のグローバル展開を目指している。具体的にはケニアの都市部で超節水型水洗トイレ、郊外では循環型無水トイレを中心としたインフラユニットの実証実験を行っており、2015年中にはアフリカでの本格的な事業展開を目標にしている。超節水型水洗トイレは便器や配管などの構造に工夫を凝らし、配管内の圧送に汚水を使うことで、水の使用量を抑える仕組みになっている。急速な人口増加が見込まれるケニアのナイロビでこの仕組みが普及すれば、15年後も現在の水資源を維持できることがシミュレーションされており、日本でも災害時の設備として注目されている。また循環型無水トイレの実験では、排泄物を良質な肥料に替えて販売することをケニアの大学と共同で研究している。さらにこうした取り組みは、インフラが整備されていない地域だけではなく、米国カリフォルニア州やオーストラリアなどでも注目されている。先進国でも下水道インフラのメンテナンスにかかる莫大なコストは問題となっており、次世代エコサニテーションはリバースイノベーションの可能性を秘めた仕組みとして期待されている。
アフリカでビジネスをするためには、現地での幅広い人脈と現場に精通したパートナーが不可欠であり、現地の雇用をいかに作っていくかを考えながら地域の人たちとともに製品を創りあげ、品質、運搬、製造を確立していかなければならない。しかし、こうしたプロセスには必ず逆風もあるため「世界の人びとの安全・安心に貢献する」という熱い思いが絶対に必要である。

◆スマートハウスの実証実験と未来
「情報化社会」の研究では、オープンイノベーションによって顧客価値の創造と社会問題の解決を目的とした実証実験を行っている。電機メーカーやアプリケーションサービスを提供する企業などと協力し、「住む人」と「住まい」、「社会」とをICTで融合することで「住生活の未来」を創造するための拠点を作っている。U2‐Home(ユースクウェアホーム)と名付けた住宅は、ユビキタスとユニバーサルをコンセプトに100数十ヵ所にセンサーを付け、様々なデータを収集している。たとえば「温度変化に弱い体質の人が冬場の温度変化によって、体調にどのような異変が起こったか」というような環境と生活者の行動、結果の因果関係がデータで解析できれば、今後起こり得る病気のリスクを把握し、早期に対策を取ることもできる。また住宅や関連施設をネットワークで結ぶことで、高齢者への生活サポートや安否確認、コミュニケーションを図ることもできる。
これからのスマートハウスは、暮らしから得られた情報を他の情報と融合させ、生活者にとってより役立つ情報やサービスを提供し、高い付加価値を生み出すものになっていく。だからこそ状況、行動、結果によって総合的な生活価値を向上させていくことが住宅建材メーカーとしての使命だと考えている。またグローバル競争が激化するなか1社だけで社会課題を解決することはもはや困難であり、今こそ全日本の知恵で仕組みを作り、海外に展開していくべきだと強く感じている。

【コーディネーター総評】
新興国におけるビジネス展開には「CSR・慈善事業」、「ソーシャルビジネス」、「BOPビジネス」、「通常ビジネス」、「リバースイノベーション」という5つのカテゴリがある。新興国で社会問題を解決することを主眼としたBOPビジネスには、ユニリーバのインド現地法人HULやボーダフォンの子会社であるケニアのサファリコムがあげられる。HULはシャクティプログラムというBOPを展開しつつユニリーバよりも高い純利益率をあげ、サファリコムもM-Pesaという決済・送金サービスによって10%を超える純利益率を出しながら、さらにこの仕組みをアジアにも拡大しつつある。またリバースイノベーションでは、GEがインドで開発した軽量小型な心電計が、救急車に搭載できるようになったことで世界約170ヵ国に広まったという事例もある。
日本企業の進出は欧米に比べると歴史が浅く、遅れを取っている。しかし新興国の社会問題に対して自社の経営資源の投下の可能性と利益追及という矛盾の実現を模索する過程で「イノベーション」は起こり得る。始まりはCSRだとしても、同じ志を持った他社と協業できる可能性や本来取り組んでいたフィールドとは異なる分野に進出できる可能性もある。こうした試行錯誤のなかから生まれる新しいビジネスの芽が、最終的には日本企業の競争力の回復につながると考えている。LIXILグループの取り組みはこうした日本企業のモデルになるのではないかと大いに期待している。

【本ワークショップに関するお問い合わせ】FIF事務局 TEL:03‐5740‐5817

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