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吃音の詩人を救った、少年の日の、父からの言葉とは? 絵本『ぼくは川のように話す』

PR TIMES / 2021年7月12日 11時15分

担当編集者も吃音に悩んだ過去が。編集者、訳者の熱量で日本での翻訳が実現

株式会社偕成社(出版社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:今村正樹)が2021年7月14日に、吃音に悩む少年を主人公に描いた翻訳絵本『ぼくは川のように話す』(ジョーダン・スコット 文/シドニー・スミス 絵/原田勝 訳)を刊行します。



[画像1: https://prtimes.jp/i/26693/93/resize/d26693-93-498779-3.jpg ]


▶︎書籍詳細:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034253700


吃音をもつ詩人の実体験から生まれた絵本


バイデン米大統領や故・田中角栄首相も悩んだ吃音症は、幼少期には20人に1人が経験し、成人になっても100人に1人がその症状をもつと言われています。そのことが原因でからかいの対象になったり、コミュニケーションに不安を感じたりすることで、多くの子どもたちや大人が今も苦しんでいます。

そんな吃音のみならず、人と同じようにものごとが「なめらかに」できないことに悩む子どもたちを、「言葉と絵のイメージ」で救ってくれるのが、作者の実体験をもとに書かれた絵本『ぼくは川のように話す』です。
[画像2: https://prtimes.jp/i/26693/93/resize/d26693-93-328419-1.jpg ]

文章を書いたのは、自らも吃音をもつカナダの詩人ジョーダン・スコット。自身の幼いころの体験をもとに書いた、初の絵本です。この作品で、「障害をもつ体験を芸術的な表現としてあらわした児童書」に与えられる、シュナイダー・ファミリーブック賞(米国図書館協会:主催)を受賞しています。

<作者あとがきより>
ぼくがまだ小さかったころ、「口の調子が悪い日」には、ときおり、父がぼくを学校にむかえにきて、川へつれていってくれました。(中略)

ある日のこと、父が、岸を洗う川の水を見ながら言いました。「ほら、あの水の流れを見てみろ。おまえの話し方にそっくりじゃないか」(中略)

川には河口があり、合流点があり、流れがあります。川というのは、永遠に、自分より大きなもの、広い場所をめざして、気負わず、たゆまず流れていきます。ところが、川は流れていく途中でどもることがあり、それはぼくも同じなのです。 (中略)

父が川を指さしたとき、ぼくはそこに、自分にしかわからない恐ろしいものを、言葉にするためのイメージや表現があることを知りました。こうして、父が吃音を自然の中の動きにたとえてくれたおかげで、ぼくは自分の口が勝手に動くのを感じるのが楽しくなりました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/26693/93/resize/d26693-93-104319-2.jpg ]



担当編集者も吃音に悩んだ過去が。編集者、訳者の熱量で日本での翻訳が実現

絵を描いたシドニー・スミスは、寡作ながらも、カナダ総督文学賞、ケイト・グリーナウェイ賞、エズラ・ジャック・キーツ賞と権威ある3つの賞の受賞歴があり、本作を含む4作でニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞している絵本作家。本作でも、その卓抜な表現力と画面構成により、ジョーダン・スコットの詩的な言葉を視覚的なイメージでふくらませ、読者の胸にうったえかけてきます。

担当編集者はこのシドニー・スミスに以前から注目しており、新作を読んですぐに翻訳権のオファーを出しました。1冊の絵本としての素晴らしさに感動するとともに、自身も小学生のころ吃音に悩まされた経験があったことから、自らの手でこの絵本の翻訳を出したかった、と話しています。

また、訳者である原田勝氏は、当初からこの本に惚れ込み、翻訳エージェントに、日本で出版される際は、ぜひとも自分を訳者として提案して欲しいと依頼しており、今回偕成社では初の訳書を刊行することになりました。


おはなし

主人公は、吃音に悩む男の子。

松の木の「ま」は、口のなかで根をはやして、ぼくの舌にからみつく。
カラスの「カ」は、のどのおくにひっかかってでてこない。

ある症状のひどい日、憂鬱な気持ちで迎えた放課後。父親が「うまくしゃべれない日もあるさ。どこかしずかなところへいこう」と少年を川へ誘い出します。黙って、彼を川につれていき、こう声をかけたのです。

「ほら、川の水を見てみろ。あれが、おまえの話し方だ」
見ると、川は……あわだって、なみをうち、うずをまいて、くだけていた。
「おまえは、川のように話してるんだ」

[画像4: https://prtimes.jp/i/26693/93/resize/d26693-93-745224-0.jpg ]

堂々と流れるようにみえる川も、あわだち、なみうち、うずまき、くだけて----そう、どもっている。その言葉が、少年の心に沈殿していた恥ずかしさや憂鬱な気持ちを、根底から変えていきます。


書籍詳細


[画像5: https://prtimes.jp/i/26693/93/resize/d26693-93-498779-3.jpg ]

『ぼくは川のように話す』
文: ジョーダン・スコット
絵: シドニー・スミス
訳: 原田勝
定価1,760円(本体価格1,600円)
判型:26cm×24cm
ページ数:42ページ
対象:小学校低学年から
初版:2021年7月 14日
書籍詳細:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034253700


著者紹介

(文)ジョーダン・スコット
1978年生まれ。カナダの詩人。2018年、これまでの業績に対してThe Latner Writers’ Trust Poetry Prizeを受賞。初めて絵本のテキストを手がけた『ぼくは川のように話す』により、シドニー・スミスとともに、障害をもつ体験を芸術的な表現としてあらわした児童書を対象に選ばれるシュナイダー・ファミリーブック賞を受賞。

(絵)シドニー・スミス
1980年生まれ。カナダの画家。『おはなをあげる』(ジョナルノ・ローソン作)によりカナダ総督文学賞、『うみべのまちで』(ジョアン・シュウォーツ文)によりケイト・グリーナウェイ賞、初めての自作絵本『このまちのどこかに』によりエズラ・ジャック・キーツ賞とカナダ総督文学賞を受賞。上記3作と本書『ぼくは川のように話す』はすべてニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞している。

(訳)原田 勝
1957年生まれ。東京外国語大学卒業。長編の翻訳に『弟の戦争』『ハーレムの闘う本屋』『ペーパーボーイ』『コピーボーイ』『ヒトラーと暮らした少年』『夢見る人』、絵本の翻訳に『夜のあいだに』『セント・キルダの子』などがある。

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