特発性肺線維症(IPF)患者を対象にnintedanib*を検討する2つの重要な第3相試験の患者登録が完了
PR TIMES / 2012年10月1日 9時9分
当プレスリリースについて
当資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月24日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。
* nintedanib は、治験開発中の化合物です。安全性および有効性についてはまだ完全には立証されていません。
2012年9月28日、ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは本日、特発性肺線維症(IPF)患者を対象にnintedanib*(150 mg 1日2回投与)の有効性および安全性を評価する2つの第3相試験への最後の患者割り付けを完了した旨、発表しました。この重要な第3相試験はINPULSISTMと呼ばれ、nintedanib*投与を受けたIPF患者の臨床転帰を評価するため、世界各国の試験施設にて予定通りに進められています。
主任研究者でありモデナ・レッジオエミリア大学希少肺疾患研究センター(イタリア/モデナ)所長のルカ・リケルディ(Luca Richeldi)博士は「特発性肺線維症は進行性の肺機能喪失をもたらす重度の消耗性疾患であり、患者さんの生活の質を確実に低下させます。治療にあたる医師の一人として私は、こうした死に至る疾患の臨床経過を大きく変えうる新しい効果的な治療薬に対する高いアンメット・ニーズをはっきりと認識しています。肺機能の低下を改善することや急性増悪発現率を低下させることは、きわめて明確かつ重要な目標と言えるでしょう」と述べました。
急性増悪はIPFの臨床経過において予測できない部分です。急性増悪を生じると数カ月以内に2人に1人の割合で患者さんが死に至ることもあり、IPFの急性増悪は、他の肺疾患の増悪と異なります。そして最も重要な点は、感染症などの原因がない状態で、患者さんは急性の呼吸困難悪化をきたし、肺の画像に新たな浸潤影がみられるようになることです1。欧州医薬品庁2および米国国立衛生研究所3ではIPFの有病率を10万人あたり14~43人と推計しており、希少疾患に分類しています4。IPF患者の平均生存期間は診断後2~3年です1。
Nintedanib*は、ベーリンガーインゲルハイムが開発する、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)という3つの受容体を標的とする低分子チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)で、これらの受容体は肺線維症の病理学的機序に関与している可能性が示されています5。
この2つの第3相試験の主要評価項目は、約1,000人の登録患者の52週間の投与期間にわたる努力肺活量(FVC)の年間減少率です。副次評価項目は、QOL(Quality Of Life = 生活の質)におけるベースラインからの変化、初回の急性増悪までの期間、呼吸障害による死亡率、全生存率、投与中(on-treatment)生存率などです6。
この試験は欧州、南北アメリカ、アジア(日本を含む)、オーストラリアの23ヵ国で実施されています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と44,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。
ベーリンガーインゲルハイムにとって、社会的責任を果たすことは、企業文化の最も重要な柱の一つです。事業を展開する世界の国々において、社会問題に取り組み、社員とその家族を思いやり、全社員に平等な機会を提供することが、 ベーリンガーインゲルハイムの基盤です。そして、尊重と誠実を重んじ、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて貢献することが、ベーリンガーインゲルハイムの本質であり使命です。
2011年度は132億ユーロ(約1兆4,624億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の23.5%相当額を研究開発に投資しました。
日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約2,700人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。
日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。
References
1Raghu G, Collard HR, Egan JJ, et al. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med 2011;183:788-824.
2Orphanet. www.orpha.net/consor/cgi-bin/Disease_Search.php?lng=EN&data_id=7029&Disease_Disease_Search_diseaseGroup=idiopathic-pulmonary-fibrosis&Disease_Disease_Search_diseaseType=Pat&Disease(s)/group of diseases=Idiopathic-pulmonary-fibrosis&title=Idiopathic-pulmonary-fibrosis&search=Disease_Search_Simple EMA ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/medicines/human/orphans/2011. Accessed September 2012
3U.S. National Institutes of Health. www.nhlbi.nih.gov/resources/docs/raredisrpt01.htm. Accessed September 2012
4Raghu G, Weycker D, Edelsberg J, et al. Incidence and prevalence of idiopathic pulmonary fibrosis. Am J Respir Crit Care Med 2006;174:810-6.
5Selman M, King TE, Pardo A, et al. Idiopathic pulmonary fibrosis: prevailing and evolving hypotheses about its pathogenesis and implications for therapy. Ann Intern Med. 2001;134(2):136-51.
6U.S. National Institutes of Health. Clinical Trials.gov clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01335464?term=bibf1120&rank=14. Accessed September 2012
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