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行動経済学を実生活に活用するために、身近な具体例と実証例で「わかりやすく」「ロジカルに」解説する。『いますぐできる実践行動経済学』5月29日発売!

PR TIMES / 2024年5月29日 10時45分

日常のちょっとした選択が人生を大きく変える!

ナッジを使ってよりよい意思決定を実現



東京書籍株式会社は、2024年5月29日に書籍『いますぐできる実践行動経済学』(大竹文雄/著)を発売いたしました。
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解説


感染症からスポーツ、飲食などに関する身近な具体例と実践例、興味深いエビデンスとともに、サンクコスト、社会規範、補完と代替、ナッジなど行動経済学の知恵をいかにして実生活に応用していくかをやさしく解説します。中高生を対象におこなった授業がもとになっているので、とにかくおもしろくて、わかりやすい!
はしがき


 20年ほど前から中学生や高校生に経済学の出張授業を毎年続けています。毎回、どのような話題なら関心を持ってもらえるか悩みます。中学生や高校生は、経済学と言われても実感がわきません。需要と供給で価 格が決まる、価 格が変化するおかげで品不足が発生しないと言われても、そのような現場を目にしたことがないのです。
 スーパーマーケットにはいつも商品が並んでいます。商品の価 格はそれほど変動していません。いつもうまく機能しているもののありがたみは、なかなか理解できないものです。特別、経済のことを知らなくても生活に困らないのなら知る必要もありません。
 実は経済の仕組みは、まさに社会になくてはならないインフラです。しかし、インフラがうまく機能している限り、私たちはインフラに特別に注意を払わないのです。中学生や高校生なら、経済には関心がないのも無理ありません。
 そこで、私が中学生や高校生に経済学の授業を始めた頃は、次のようなテーマを話していました。スポーツ選手や人気歌手の所得と普通の職業の年収はどうして違うのか。人気の職業はなぜ賃金が高いのか。賃金が高いから人気なのか。美男美女は得なのか。夏休みの宿題を最後にしていた人は大人になってどうなるか。コンサートチケットの転売問題はなぜ起こるのか。
 こうした話題は、中高生にも関心を持ってもらえたと思いますが、もともと彼らが疑問に思っていたことではなかったように思います。当たり前に思っていたことを、経済学で説明されて、なるほど、と理解するだけだったのではないでしょうか。
 私たちは、鉄道、道路、電気、水道といったライフラインの重要性は、それがうまく機能している限り、当たり前のことで、その重要性に気がつきません。経済も同じです。生活に困るような事態にならない限り、経済に関心を持つことはないのです。

 インフラのありがたさに気がつくのは、台風、地震、豪雨・豪雪などの自然災害でインフラがストップしたときです。災害時に、停電で電気が使えなくなったり、断水で水が使えなくなったりして初めて、私たちは電気や水が自由に使えることのありがたさを知ります。
 同様に、大不況や品不足の発生は、人々に経済の重要性を認識させてくれます。2020年から2023年までの新型コロナウイルス感染症の流行とその感染対策は、中学生や高校生の生活にも大きな影響を与えました。2020年3月から5月までの臨時休校とその後のさまざまな行事の制限、マスク着用や黙食が典型的です。
 また、2020年春には、マスクやトイレットペーパーが店頭から消えるという品不足を誰もが経験しました。中高生にとっては、いつも普通に売ってあったものが手に入らない、スーパーに行っても商品がない、という状況は初めての経験だったと思います。
 中学生や高校生に「品不足になったもので思いつくものは?」と聞くと、かならずマスクとトイレットペーパーだと答えてくれます。では、「どうしてマスクとトイレットペーパーが店頭からなくなったのですか」と聞くと、「マスクは感染対策で需要が増えたからです」という返事が返ってきます。「なるほど。でも、需要が増えたのなら供給を増やして品不足にならないように調整すればよかったのではないでしょうか。そうならずに店頭から消えたのはどうしてでしょう?」と聞くとみんな考え込んでしまいます。
 「マスクは、感染対策で需要が増えましたが、トイレットペーパーの需要は増えたのでしょうか? トイレに行く回数が増えたのでしょうか?」と聞くと、「トイレットペーパーがなくなるというデマが理由でみんな買ったのではないでしょうか。トイレットペーパーがデマのために手に入らなくなったことが昔あったと聞いたことがあります」という発言をしてくれる生徒がいます。

 マスクとトイレットペーパーがなくなって困ったという経験は、中高生にとって強烈な記憶として残っています。その理由を経済学で説明してもらえると、彼らはとても納得してくれます。おそらく、どうしてこんなことが起こるのだろうと疑問に思っていたからでしょう。経済学者から見れば、トイレットペーパーがなくなる現象と銀行取り付けが発生する理由は同じです。そのことを説明すると彼らの興味は高まります。単に、歴史の教科書で知っていた銀行取り付けが、自分たちが経験したトイレットペーパー不足と本質的に同じだと知ったことの喜びは大きいのです。
 新型コロナウイルス感染症の流行による影響は、マスクやトイレットペーパー不足だけではありません。新型コロナ感染症対策で、行動制限が要請されたために、経済も大きなダメージを受けました。失業率は上昇し、自殺者も増えました。中高生も将来に対する不安を強く感じたと思います。
 私自身が経済に関心を持ったのは、中学生の頃の第一次オイルショックの経験が大きかったからです。トイレットペーパーの不足、物価の急上昇、失業者の急増を身近に感じたからです。どうしてこのようなことが生じるのか、なんとかできないのか、と思ったのです。新型コロナ感染症の時代を経験した中高生たちの中には当時の私と同じような問題意識を持っている人たちもいるように思います。

 こうしたことを、出張授業で伝えて、彼らが経済に関心を持ってくれるようになることは私にとって大きな喜びです。ただし、中高生に出張授業をしても、それを伝えられるのは、授業に出てくれた生徒たちだけです。しかし、授業の様子を本として出版できれば、もっと多くの人たちに伝えられます。そこで、私が中高生に出張授業をしている内容を本として出版することにしました。
 本書は、『あなたを変える行動経済学』(東京書籍・2022年発行)に引き続いて、早稲田塾でのオンライン連続講義を、ライブ感を持ったものとしてまとめました。本書には、授業で質問してくれた石動(いするぎ)さん、落合さん、行武(ゆきたけ)さんという3人の高校生が登場します。この3人は仮名で、実在していません。ただし、発言は実際に高校生が発言したものを編集していますし、3人だけでなくもっと多くの高校生が発言したものを3人が発言したことにしています。高校生たちの質問のおかげで、私の説明も丁寧になったと思います。また、私が気づかなかった論点も議論することができました。

 さて、本書の構成は次のようになっています。
 第1章は、「感染症で学ぶ行動経済学」です。市場競争がうまく機能していたらいいけれど、独占や外部性のように競争がうまく働かないと、政府が介入する必要があることを最初に話します。感染症対策も自由競争に任せておいてはうまくいかない例になります。先ほどの、マスクやトイレットペーパーが店頭から消えた理由についてもここで議論します。間違った情報でも人々が一度信じてしまうとそれが実際に実現してしまって社会規範となり、修正することが難しくなることもここでの重要なテーマです。

 第2章は、桂三四郎さんの創作落語「落語で学ぶ行動経済学」をもとに行動経済学の基本について、具体的な例を使って紹介します。重要な概念は、サンクコスト、損失回避、現在バイアス、現状維持バイアスです。この章での大事なメッセージは「迷ったら変化を選ぶ」です。この章の話は、日常生活で役立つことが特に多いと思います。

 第3章は、「ラグビー日本代表で学ぶ日本経済」です。ラグビーの日本代表はかつては弱かったのに、2015年以降、ワールドカップで活躍するようになりました。選手の構成を見ると、日本代表が強くなった理由が見えてきます。外国出身選手が多くなったのです。そのおかげで、日本人選手も活躍できるようになりました。これは、これからの日本経済を考える上でとても重要なことです。人口減少が続く日本では、これから外国人労働者が増えてきますし、人口知能(AI)やロボットの活用も進みます。その影響をラグビーの日本代表から高校生たちと議論しています。

 第4章は、「風しん抗体検査で学ぶ行動経済学」です。2019年度から2024年度まで、中高年男性(1962年度から1978年度生まれ)に対して、風しん抗体検査とワクチン接種を無料で受けられるクーポンが自治体から配布されています。妊娠初期の妊婦さんが風しんに感染すると先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれてくる可能性があるので、日本で風しんの流行そのものを発生させないようにすることが目的です。しかし、風しん抗体検査の受検率・ワクチン接種率は、日本が風しんの集団免疫を持てる水準までなかなか上がっていきませんでした。どうすれば、抗体検査を受ける気になるのか、行動経済学のナッジを使って私が工夫したことをお話しします。

2024年4月
大竹文雄
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著者情報


大竹 文雄 おおたけ ふみお
大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)特任教授(常勤)。大阪大学大学院経済学研究科教授(兼)。京都大学経済研究所特定教授(クロスアポイントメント)。
1961年生まれ。京都府宇治市出身。京都大学経済学部卒。大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。博士(経済学)(大阪大学、1996年)。専門は行動経済学、労働経済学。日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞、エコノミスト賞、日本経済学会・石川賞、日本学士院賞などを受賞。大阪大学理事・副学長、日本経済学会会長、行動経済学会会長などを歴任。新型インフルエンザ等対策推進会議委員(2021年4月~2023年8月)。

【著書】
『行動経済学の使い方』岩波新書(岩波書店)、『経済学は役に立ちますか?』竹中平蔵・大竹文雄(東京書籍)、『競争社会の歩き方―自分の「強み」を見つけるには』中公新書(中央公論新社)、『経済学のセンスを磨く』日経プレミアシリーズ(日本経済新聞出版社)、『格差と希望―誰が損をしているか?』(筑摩書房)、『あなたを変える行動経済学―よりよい意思決定・行動をめざして』(東京書籍)、『行動経済学の処方箋―働き方から日常生活の悩みまで』中公新書(中央公論新社)など著書多数。
コンテンツ


第1章 感染症で学ぶ行動経済学 ―「社会規範」を考える
1 アダム・スミスが『国富論』で伝えたかったこと
2 感染症を「トレードオフ」で考える
3 マスクはなぜ店頭から消えたのか?
4 トイレットペーパーはなぜ店頭から消えたのか?
5 トイレットペーパー買い占めと銀行の「取り付け」

第2章 落語で学ぶ行動経済学 ― サンクコストを考える
1「高級生食パン」でサンクコストを考える
2「コップに入った水」で「参照点」を考える
3 メッセージの出し方で「社会規範」を考える

第3章 ラグビー日本代表で学ぶ日本経済 ―「代替」と「補完」を考える
1 ラグビー日本代表のメンバーは?
2 技術革新が日本社会に与える影響

第4章 風しん抗体検査で学ぶ行動経済学 ― ナッジを考える
1 風しんという感染症を考える
2 お父さん世代に抗体検査を受けてもらうためには
3 ナッジについての簡単な解説
4 行動経済学のアプローチでナッジ・メッセージを考える
5 動画やポスターを作製
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<概要>
『いますぐできる実践行動経済学』
■大竹文雄/著
■定価1,430円(本体1,300円+税10%)
■小四六判・240頁
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/81771/

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