中規模オフィスビルの新築から解体までの工事に伴うCO2排出量を35%削減
PR TIMES / 2024年11月1日 17時40分
鹿島(社長:天野裕正)は、建材の製造、運搬、施工、更新・修繕、その後の解体に伴い発生するCO2排出量(以下、エンボディドカーボン)の削減に積極的に取り組んでいます。
当社が開発を進める中規模オフィスビル「名古屋伏見Kフロンティア」(以下、本物件)は、旧建物の地下躯体の山留利用や低炭素建材の適用拡大など、当社が蓄積してきたCO2排出量削減のノウハウを活用した、環境配慮型オフィスビルです。本物件の実施設計段階におけるエンボディドカーボンを基本設計段階のものと比較した結果、35%の削減を実現しました。なお、算定には当社が開発したCO2排出量を正確に算定するシステム「Carbon Foot Scope(R)」(カーボンフットスコープ)を活用しています。
鹿島は今後、様々な用途や規模の建物においてCO2排出量の削減に向けた合理的、かつ具体的なプランをお客様に提案し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/116603/107/116603-107-624a90adff8a6d28175085a950aa9844-1200x687.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
「基本設計」と「実施設計」のエンボディドカーボン算定結果の比較
【CO2排出量削減の具体的な取組み】
当社は、本物件を建築部材や設備機器の製造、運搬、施工、更新・修繕の各段階における合理的なCO2排出量削減プランを検討する実証モデルと位置付け、当社のCO2排出量削減ノウハウを活用するとともに、低炭素材料の適用や最適な設備機器の選定を行いました。
本物件では、基本設計から実施設計に至る段階で、CO2排出量をさらに削減すべく検討を進めました。その結果、実施設計時に算定したエンボディドカーボンが基本設計段階と比較して35%削減(1.35t- CO2e/平方メートル 削減※1)されることを確認しました。この削減量は、当社が「鹿島環境ビジョン2050plus」で2030年のサプライチェーン排出削減の目標としている25%を上回る結果です。算定にあたっては、当社が開発した、正確にCO2排出量が算定できるシステム「Carbon Foot Scope」を活用しました。
なお、本物件は、高いエネルギー効率の建物として「ZEB Ready※2」だけでなく、建築環境総合性能評価システムCASBEEにおける環境配慮・省エネルギー建築物の最高ランク「CASBEE-建築 Sランク」、さらに、健康性・快適性の指標である「ウェルネスオフィス」の最高ランク「CASBEE-ウェルネスオフィス Sランク」、これらの第三者認証・評価を取得しております。
※1 評価期間を建替周期60年として算出
※2 従来の建物で必要なエネルギー消費量を省エネで50%以下に削減したエネルギー効率の高い建築物
●実施設計時における削減プラン
・旧建物の地下躯体を山留として有効利用し、基礎杭および掘削・山留数量を削減
・高効率な照明設備および空調設備を採用した省エネ設計
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/116603/107/116603-107-3c44ef1cc5e34fac3626923153489041-656x266.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
旧建物の地下躯体を利用した現場施工状況
●調達時における削減プラン
・CO2排出量が少ない高炉セメントコンクリート※3の一部採用
・当社独自の環境配慮型コンクリート(エコクリート(R)R3※4、エコクリート(R)ECM※5)の一部採用
・高炉鋼材※6から電炉鋼材※7への一部置き換え
※3 普通セメントに高炉スラグという副産物を混ぜたセメント。一般に流通している高炉セメントB種、高炉スラグ混合量40~45%のセメントコンクリート
※4 製造過程で大量のCO2が発生するセメントの代わりに、戻りコンから骨材を取り除いた後、脱水・粉砕して製造するスラッジ 再生セメント「Cem R3(R)」を原材料とするコンクリート
※5 高炉スラグ混合量約60~70%のセメント。一般に流通している高炉セメントよりも発熱量が少なく、熱ひび割れが起こりにくい、抵抗性に優れた特徴を持つコンクリート
※6 溶鉱炉で鉄鉱石を溶かし、転炉で不純物除去などの成分調整を 行った鋼材
※7 鉄スクラップを電気炉で溶解し、不純物を除去して再利用した鋼材
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/116603/107/116603-107-1a83510e5ed55ade98fbb314a2b957c2-467x425.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
エコクリートECMプレキャスト床版部材
●施工時における削減プラン
・フォークリフトに軽油代替燃料Renewable Diesel※8を一部採用
・鉄骨溶接作業時の可搬式発電機燃料に軽油代替燃料B5軽油※9を一部採用
・一般の商用電力から再生可能エネルギー由来の電力に切替え
※8 廃食油や廃動植物油等を原料とする次世代型バイオ燃料
※9 軽油に5%以下のバイオディーゼル燃料を混合した軽油と同等の燃料
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/116603/107/116603-107-7193a8386c87ab2027559692bfcf658d-613x421.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
Renewable Diesel利用のフォークリフト
●更新・修繕における削減プラン
・OAフロアは更新・修繕の頻度が高い建材であるため、CO2排出量が少ない樹脂製を採用
・個々の建材及び設備機器の長期修繕計画に基づき、最適な更新・修繕プランを策定
【今後の展開】
鹿島は今後、本物件で得られた知見を、様々な用途や規模の建物においても活用し、合理的で具体的なCO2排出量削減プランをスピーディーにお客様に提案し、脱炭素社会の実現に積極的に貢献してまいります。
【物件概要】
事業主 : 鹿島 開発事業本部
所在地 : 愛知県名古屋市中区錦二丁目
用途 : 事務所
敷地面積: 2,442平方メートル (約739坪)
延床面積: 25,811平方メートル (約7,808坪)
階数 : 地上13階・地下1階
構造 : S造、一部SRC造
駐車台数: 131台(地下機械式)
竣工 : 2025年10月(予定)
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/116603/107/116603-107-61c528cd942434f5b5ca5057396e96b3-340x280.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
完成予想パース(南西から見た全体図)
(参考)
・本物件のCO2排出量算定条件
日本建築学会「建物のLCA指針(2013年度改訂版)」を用いて、建物が60年ごとに建て替えられると仮定し、新築時に排出するCO2とフロンガスを評価しています。評価の範囲は、資材の製造(A1-A3)、建設作業(A4-A5)、建物の使用(B1-B5)、そして解体(C1-C4)までを含んだものとしています。
・鹿島環境ビジョン2050plus
https://www.kajima.co.jp/sustainability/policy/vision/index-j.html
・名古屋伏見Kフロンティア
https://www.kajima.co.jp/tech/development/real_estate/office_commerce/kuwana/index.html#pagetop
・名古屋伏見駅至近のハイグレードオフィスビル「(仮称)錦通桑名町ビル計画」着工
(2023年12月1日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202312/1a1-j.htm
・建物の脱炭素化をライフサイクル全体で支援するシステム「K-ZeX(TM)」を構築
(2024年6月19日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202406/19a1-j.htm
・AIを活用し建物のライフサイクル全体のCO2排出量を正確に算定
(2024年8月29日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202408/29e1-j.htm
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