【イベント報告】「難民と共に生きる」を支援現場の最前線から考える 「世界難民の日」特別シンポジウムを開催
PR TIMES / 2017年6月20日 12時57分
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン(東京都中野区)と、日本に暮らす難民の定住支援を行う公益財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部(東京都港区)は、「世界難民の日」を前にした6月17日(土)に特別シンポジウムを開催しました。
「世界の難民危機と私たちにできること~支援現場の最前線から~」と題した本シンポジウムは、定員を超えた約120人が参加し、日本での難民受入れの現状や、世界で今起きている難民危機を包括的に捉え、「難民と共に生きる」ことについて一人ひとりが考える機会となりました。
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【難民支援に関わる実務者と日本で暮らす難民が一堂に】
第1部では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所・古本秀彦さん、ファーストリテイリング・幸あかりさん、アジア福祉教育財団難民事業本部・伊藤寛了、ワールド・ビジョン・ジャパン・大井光一が、それぞれ取り組んでいる難民支援事業について報告しました。
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第2部では、スペシャルゲストとして、日本で暮らす難民が登壇。ユニクロに勤めるミャンマー難民のチン・ハウルンさんと、難民事業本部に相談員として勤める元ラオス難民の新岡史浩さんが、母国を離れてから、難民として日本に定住するまでのストーリーや、故郷と日本への想いを語ると、来場者は胸を打たれた様子でした。
第3部のパネル・ディスカッションでは、ロンドン大学難民法イニシアチブ博士アフィリエイト・橋本直子さんがモデレーターを務めました。第1部に登壇したパネリストは、異なる現場で体験している苦労と喜びを、第2部に登壇したハウルンさんと新岡さんは、自分にとっての「ホーム(安心できる場所)」について語りました。最後に全員が、「私とあなたが難民と共に生きること」について、一言ずつ想いを共有しました。
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【第1部 難民支援の活動報告 概要】
<国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所 渉外担当官 古本秀彦>
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難民とは、 自発的に他国への移動を選択した人々ではありません。人種、宗教、国籍、政治的意見、または特定の社会集団に属するなどの理由で、迫害を受ける、またはその恐れがあるために他国に逃れた人々です。その人々は、「難民」という言葉で一括りにされがちですが、私たちと同じ人であり、私たちと同じように生きる権利があります。現在、世界では難民となる人々が、毎年、記録的に増え続けています。UNHCRのみによる難民保護と人道支援活動には限界があります。各国政府、人道支援組織、開発援助機関、市民社会、企業、大学等、世界中のアクターが共に力を合わせ、難民支援、そして難民問題の解決に取り組むことが求められています。
<株式会社ファーストリテイリング サステナビリティ部 幸あかり>
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(株)ユニクロでは、難民支援活動の一環として、2011年より国内ユニクロ店舗で難民雇用を開始しました。入社前から入社後、業務に慣れるまでを本部社員がサポートし、本部主導の日本語研修や店舗内の特別訓練を複数回実施することで、文化・価値観・言語の違いによるミスコミュニケーションを防いでいます。この取り組みの結果、「個人の強みを最大限に活かし、弱みはチームでカバーする」という意識がスタッフ間で芽生え、店舗の団結力が強まる他、顧客サービスの向上にもつながっています。現在は、国内39名、海外6名の計45名が、ユニクロで難民スタッフとして働いています。
<(公財)アジア福祉教育財団難民事業本部 企画第一係長 伊藤寛了>
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これまで日本で12,130人の難民が受け入れられてきたことをご存知ですか。難民事業本部(RHQ)は1979年の発足以来、政府の委託を受けて、インドシナ難民・条約難民・第三国定住難民の日本への定住支援を行って参りました。日本語教育・生活ガイダンス・就職斡旋からなる「定住支援プログラム」を実施し、プログラム修了後も、生活相談や継続的な日本語教育の支援、就労支援などのアフターケアを行っています。言葉の壁や生活習慣の違いなど、様々な苦労がありながらも、懸命に生きる難民の方々に寄り添い、これからも真心のこもった支援を行って参ります。
<(特非)ワールド・ビジョン・ジャパン 緊急人道支援課 南スーダン担当 大井光一>
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内戦状態が続く南スーダン。これまでに約190万人が難民となり、隣国へ逃れています。過酷な道のりを経て辿り着いた難民キャンプでは、食糧や水の不足、限られた就労・移動・教育の機会、受入れ地域との軋轢の問題も抱えています。WVJは、難民生活を強いられている子どもたちが「失われた世代」とならないよう、教育支援に取り組んでいます。教育により子どもの保護、将来の国の再建を担う人材の育成、また、多民族との平和共存を目指しています。厳しい生活を強いられている中でも、「他の人のために働きたい」という夢を持つ子どもたちのために、引き続き教育環境を整備していきたいと思います。
【第2部 日本で暮らす難民の方による特別スピーチ(抜粋)】
<チン・ハウルンさん(ミャンマー難民、ユニクロ社員)>
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ユニクロのスタッフとして店舗で働くようになり、1番大変だったのは日本語でした。文化の違いに戸惑ったことも沢山あります。けれども、日本に来て、日本人にお世話になり、ミャンマーにいた頃には学べなかったことをたくさん学ぶことができた私は、難民として恵まれていると思っています。今日、難民のことに関心を持ってこのイベントに来てくれた方々に感謝します。一人ひとりが、夢や目標を持って生きることができれば、この世界はもっとよくなると思います。私もがんばります。
<新岡史浩さん(元ラオス難民、アジア福祉教育財団 難民事業本部 職員)>
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1979年35歳の時、妻と娘と息子の一家4人で母国ラオスからタイの難民キャンプに避難しました。ラオスで日本語の通訳をしていたので、日本への定住を希望しました。来日後は難民事業本部(RHQ)が運営する姫路定住促進センターで定住支援プログラムを修了し、民間企業に就職しました。今はRHQの職員として、自分の経験を活かし難民相談員をしています。日本語や仕事、子育てなどの苦労がありましたが、日本語学校の先生や地域の方々に支えられ、来日して38年が経ちます。これからも難民が安心して日本に暮らせることを願っています。これからもご支援とご指導をお願いします。
【第3部 パネル・ディスカッション 「私が、あなたが、難民と共に生きるということ」】
<ロンドン大学難民法イニシアチブ博士アフィリエイト 橋本直子>
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第3部では、登壇者全員にいくつかの共通テーマでご発言頂きました。「ホーム(安心できる場所)」について、新岡さんは、「ラオスと日本の両方が故郷」、ハウルンさんは「自分を温かく迎えてくれるところ」とお答えになりました。また「(難民と)共に生きること」について、第1部のパネリストからは、「知る」「考える」「伝える」「共感力を高める」ことが鍵を握っているのではないか、という意識が共有されました。短い時間でしたが、会場からも大変鋭い質問や建設的なコメントが寄せられ、シンポジウムは熱気とともに幕を閉じました。
<開催概要>
「世界難民の日」特別シンポジウム 世界の難民危機と私たちにできることー支援現場の最前線からー
日時:2017年6月17日(土)10:30 – 13:00
会場:ワールド・ビジョン・ジャパン事務所、大会議室
参加費:無料
主催:(特非)ワールド・ビジョン・ジャパン/(公財)アジア福祉教育財団 難民事業本部
協力:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所/株式会社ファーストリテイリング
<スケジュール>
開会挨拶(10:30~)
木内 真理子(ワールド・ビジョン・ジャパン 事務局長)
第1部:難民支援の活動報告(10:45~)
・「世界の難民問題とUNHCR」古本 秀彦(UNHCR駐日事務所)
・「南スーダンの難民支援~現状と課題~」大井 光一(ワールド・ビジョン・ジャパン)
・「日本の難民受入れの歩み~難民と共に1979-2017~」伊藤 寛了(アジア福祉教育財団 難民事業本部)
・「ユニクロの難民雇用~難民と共に働く~」幸 あかり(ファーストリテイリング)
第2部:日本で暮らす難民の方による特別スピーチ(11:45~)
・チン・ハウルン(ミャンマー難民、ユニクロ社員)
・新岡 史浩(元ラオス難民、アジア福祉教育財団 難民事業本部 職員)
第3部:パネル・ディスカッション(12:00~)
・「私が、あなたが、難民と共に生きるということ」
モデレーター 橋本 直子(ロンドン大学難民法イニシアチブ博士アフィリエイト)
質疑応答 (12:40~)
閉会挨拶(12:55~)
瀬尾 正嗣(アジア福祉教育財団 難民事業本部 次長)
【主催団体】
■ワールド・ビジョン・ジャパン
キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。詳しくは www.worldvision.jp へ。
■公益財団法人アジア福祉教育財団 難民事業本部
インドシナ難民の日本受入れをきっかけに、1979年アジア福祉教育財団内に発足した、日本に暮らす難民の定住支援を行う団体。現在は第三国定住難民、条約難民、インドシナ難民の日本での定住促進と自立のため、日本政府より委託を受け、難民支援に関する様々な事業を行っています。また、難民認定申請者に対する援助事業、難民問題の広報・啓発活動も行っています。詳しくはwww.rhq.gr.jp へ。
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