ASEANにおける潜在的な人間開発指数(HDI)に対する達成率は82%のみ ~日本アセアンセンターがヘルス関連及び社会サービス貿易に関する研究成果を発表~
PR TIMES / 2020年3月2日 16時55分
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国際機関日本アセアンセンター(所在地:東京都港区、事務総長:藤田正孝)は、2020年2月、ASEANにおけるヘルス関連及び社会サービス貿易に係る研究成果を発表しました。本研究は、ASEANにおけるヘルス関連及び社会サービス貿易についての分析に加え、政策策定者に対し実践的な政策提言を行うものです。貿易自由化により、基本的な健康及び社会サービスへの公平かつ手頃なアクセスの促進と、最新のテクノロジーを活かした同部門の近代化を両立させるための施策を提示しています。
今回発表した「Promoting Services Trade in ASEAN: Second Phase (Social Services) Trade in Health Related and Social Services / ASEANにおけるサービス貿易の促進:第二弾(社会サービス)ヘルス関連及び社会サービス貿易」と題する論文の中で、センターは既存の社会政治的及び制度的硬直性故に、ASEANにおける潜在的な人間開発指数(HDI)に対する達成率は82%に留まっていると報告しています。言い換えれば、ASEAN諸国は適切な改革措置を実行し、既存の資源を活かすことにより、HDIを18%向上させる余地があり、まずは各国におけるHDIの平均値を上げることが必要不可欠と示しています。また本研究は、ヘルス関連及び社会サービス分野におけるさらなる貿易自由化の必要性を示唆しています。
なお、本論文は、センターが作成しているASEANにおけるサービス貿易の促進に係る一連の論文のうちの一本で、社会サービスに焦点を当てた第二弾の一本目となります。第一弾(2017-2018)では、サービス貿易の中でもプロフェッショナルサービス、R&Dサービス、遠距離通信・電気通信サービス、コンピュータ及び関連サービス、クーリエサービス、運送サービス並びに観光サービスを取り上げた論文をそれぞれ発表しました。第二弾では、本論文に続き、教育サービス及び環境サービスを取り上げた論文を順次発表する予定です。
本論文(英語)は、以下よりダウンロード可。
URL: https://www.asean.or.jp/ja/trade-info/pst2_papers/
本論文の要旨は、以下の通りです。なお、サービス貿易の4態様について、各モードの説明は次の通り。第1モード:国境を超える取引、第2モード:海外における消費、第3モード:業務上の拠点を通じてのサービス提供、第4モード:自然人の移動によるサービス提供。
■近年ASEAN諸国では、貧困が減り、中流階級人口は増加し、乳児死亡率は急激に低下し、平均寿命も向上しているにも関わらず、ヘルス関連及び社会サービスは未発達で不十分である。そのため、関連業界では域内外の現在及び将来の需要を満たすための課題に直面している。
■ヘルス関連及び社会サービス貿易における輸出では、第2モード[1]を通じたサービスの提供が最大となっており、1,196百万ドル又は71%を占めている。サービスの供給では、第3モード[2]が最小となっており、わずか2,600万ドル又は2%しかない。他方、輸入では対照的となっており、サービスの享受は第3モードが最も多く、約5億1500万ドル又は43%を占めている。一方、第4モード[3]での輸入は6400万ドル又は5%で、その割合は小さい。
■第1モード[4]によるヘルス関連及び社会サービス貿易がほとんどのASEAN諸国で活用されていない原因として、技術とR&Dへの投資不足と、域内の同分野における自由度の低さが考えられる。一方、ASEAN諸国は過去10年間、貿易の取引量を増やす努力をしてきた。
■医療ツーリズムといったヘルスサービスは、サービス貿易の成長を促すうえで重要な役割を担っている。そのため、第2モードは輸出・輸入の両面においてASEANで大きな存在感を示している。アジアの医療ハブになるというASEANの目標は、ヘルス関連及び社会サービスにおける第2モードによる地域間及びの域内貿易の促進に繋がる。
■他のモードと異なり、ASEANにおける第3モードを通じたヘルス関連及び社会サービス貿易は赤字を記録している。域内におけるサービスの享受は域外に供給されるサービスの量を上回っている。即ち、ASEANにおける外国企業の存在感は域外におけるASEANの商業的な存在感よりも極めて大きいことを示している。
■第4モードによるサービス貿易は全モードの中で最も少ない。その理由の一つに、ヘルス関連及び社会サービスにおける国境を越えた自然人によるサービスの提供及び享受について、十分な記録がないことが挙げられる。また、ヘルス関連の職種(医者、看護師等)を取り巻く法や規制並びに言語やコミュニケーションといった障害が国境を越えた自然人の移動を阻んでいる。
■実証結果は、教育並びに医療サービスのさらなる自由化は、HDIの大幅な改善に貢献する可能性があることを示している。従って、それが経済全体の改善にも寄与することが期待される。ASEAN諸国における潜在的な人間開発指数(HDI)に対する達成率は82%(平均)に留まっており、自由化措置がより効力を発する余地があることを示している。
[画像2: https://prtimes.jp/i/10699/113/resize/d10699-113-543684-1.jpg ]
[1] いずれかの加盟国の領域内におけるサービスの提供であって、他の加盟国のサービス消費者に対して行われるもの。例:海外旅行/留学/海外治療
[2] いずれかの加盟国のサービス提供者によるサービスの提供であって他の加盟国の領域内の業務上の拠点を通じて行われるもの。例:海外支店を通じた金融サービス・ホテル・建設会社
[3] いずれかの加盟国のサービス提供者によるサービスの提供であって他の加盟国の領域内の加盟国の自然人の存在を通じて行われるもの。例:招聘外国人アーチストによる娯楽サービス/外国人技師の短期滞在による保守・修理サービス
[4] いずれかの加盟国の領域から他の加盟国の領域へのサービス提供。例:市場調査レポート/遠隔医療のアドバイス/遠隔研修
<<国際機関日本アセアンセンター>>
正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
ASEAN10 カ国政府と日本政府により 1981 年に設立。 貿易・投資・観光・人物交流の 4 分野を中心に、ASEAN 商品の輸出促進、日系企業 の進出支援、人材育成、日 ASEAN 間の観光促進等を通して、日本と ASEAN 諸国との 関係促進に貢献する国際機関です。
URL:https://www.asean.or.jp/ja/
<<本リリースについてのお問合せ>>
国際機関日本アセアンセンター
調査・政策分析クラスター
東京都港区新橋 6-17-19 新御成門ビル 1F
電話:03-5402-8004
Fax:03-5402-8005
E-mail: info_rpa@asean.or.jp
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