シリア紛争に関わる全ての政府および非政府組織にMSFが協力を呼びかけ

PR TIMES / 2013年9月30日 15時9分

ロシアと米国の両政府が仲介した合意を受けて、国際医療・人道援助団体である国境なき医師団(MSF)は、紛争被害を受けた数百万人のシリア人に対する人道援助の大幅な拡大を最優先するよう、両政府に呼びかけている。

シリア紛争には、政府、非政府系団体をはじめとする多様な組織が関与していることから、シリア各地で必要とされている人道援助を大々的に投入するためには、米ロ両政府がそれぞれの同盟国と連携し、解決に向けた戦略を策定する必要がある。





<人道援助の行き詰まりに打開策を>

ただし、人道援助の行き詰まりに対する打開策の要請を、軍事的援助の要請と解釈してはならない。国際人道法にのっとり、人道援助従事者は助けを必要としている人びとのもとへ赴く自由が保障されなければならない。したがって、米ロ両政府は、紛争被害者となった多数のシリア人に対する人道援助の拡大にも、化学兵器に関する合意確保と同等の外交努力を実行すべきである。

内戦勃発から2年半。死亡者数は10万人に上っている。人口の約4分の1が避難を余儀なくされ、さらに210万人が国外へ逃れた。包囲攻撃下にあって医療制度は崩壊し、急性・慢性疾患の別なく、国民の医療ニーズに対応できなくなっている。病院や医療従事者も攻撃対象となった。全国に分布する91ヵ所の病院の内、55ヵ所(60%)が一部破損、あるいは全壊した。

<医療従事者が標的に>

多くの地域では、人びとは恐怖から、たとえ医療を受けるためであっても前線を超えることをためらい、医療従事者は殺害、逮捕、拷問、脅迫などに直面している。内戦勃発以来、22人のシリア・アラブ赤新月社のボランティアが殺害されており、独立した医療援助活動を実施する環境は、悪化の一途をたどっている。9月末には、シリア北部に位置するアル・バーブの仮設病院がシリア空軍による空爆を受け、患者と医療スタッフの合計9人が命を落とした。また、反政府勢力に銃撃された医療従事者もいる。

内戦以前は、シリアの医療制度は十分に機能し、高度な医学的専門知識を持つ人材や、自国の製薬業界も存在した。しかし今日では、こうした医療資源は紛争下でほぼ完全に枯渇している。製薬業界の崩壊、あるいは国際制裁の結果、必須医薬品は大幅に不足している。政府が反政府勢力の支配下にある地域への医療物資の流通を事実上遮断したことで、一部の地域が国家的な制裁を受けた形になっている。大勢の医師が国外へと逃れ、残留しているのは、少人数の医療専門家、研修医、紛争に起因する外傷の治療経験が少ないか全くない外科医のみである。単純な手術は歯科医が執刀し、薬剤師が患者を治療し、若者たちがボランティア看護師として働いているのが現状だ。

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