スタンダード市場における役員報酬決定の実態と考察ー過半数の企業が報酬委員会を導入、しかし最終決定は社長に集中ー
PR TIMES / 2025年1月18日 17時40分
組織・人事コンサルティングファームであるセレクションアンドバリエーション株式会社(以下、当社、東京都千代田区丸の内、大阪市西区、名古屋市西区 / 代表取締役社長:平康慶浩/ URL:https://sele-vari.co.jp/ )はスタンダード市場上場企業のうち時価総額上位100社を対象に、役員報酬の「最終決定機関」および「報酬委員会の設置状況」を分析することで、ガバナンス体制の現状と課題を明らかにするため、スタンダード市場における役員報酬決定プロセスの実態について調査を実施しました。
・調査結果概要
1. 機関設計の違い
調査対象企業のうち、64%が「監査役会設置会社」となっており、スタンダード市場の多くの企業が伝統的なガバナンス体制を採用していることがわかりました。一方、監査等委員会設置会社が34%、指名委員会等設置会社はわずか2%にとどまっています。特に指名委員会等設置会社では高い透明性が期待されるものの、導入に伴うコストや専門知識の必要性が課題となっています。
2. 役員報酬の最終決定機関
58%の企業で、役員報酬の最終決定権が代表取締役や会長に集中しており、迅速な意思決定が可能な反面、透明性や客観性が十分に確保されていないリスクが指摘されます。特にオーナー企業では、この傾向がより顕著であることが調査から明らかになりました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/83936/136/83936-136-7ae18d6fd50d1cf53d967f9111b45cdf-863x511.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
3. 報酬委員会の設置状況
調査対象企業の59%が報酬委員会を設置しており、そのうち35%の企業では代表取締役が委員会の議長を務めています。多くの企業で報酬委員会を通じた外部視点の活用が進んでいますが、一部の企業では、その議長は内部取締役が務めるなど、実効性の観点で真の独立性が担保されていない可能性が懸念されます。なお、報酬委員会の平均構成人数は4名で、その62%を独立社外役員が占めていることが分かりました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/83936/136/83936-136-1914bc4e04c4826de3dc83bcea3afa80-750x450.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/83936/136/83936-136-4dc3c9e580199aaa130ce6c2e4ee7913-763x450.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
4. 本レポートのまとめ
本調査を通じて、スタンダード市場における役員報酬決定プロセスには以下のような特徴が存在することが明らかになりました。
・迅速性と透明性のトレードオフ
スタンダード市場の企業は、中堅企業ならではの迅速な意思決定を重視する一方で、代表取締役や会長への権限集中が透明性や独立性の低下を招く要因となっています。特にオーナー経営型企業において、この傾向が顕著であり、意思決定プロセスがブラックボックス化するリスクが指摘されます。
・報酬委員会の独立性と実効性の確保
報酬委員会を設置する企業が59%に達している一方で、代表取締役が議長を務めるケースが35%存在するなど、独立性が十分に確保されていない事例が見受けられます。ガバナンスの形骸化を生む前に、外部視点を取り入れた実効性のある委員会運営などの重要性が増しています。
・透明性の欠如が生む市場からの懸念
スタンダード市場では柔軟なガバナンス基準が許容されているものの、透明性や公平性の不足が株主や投資家からの信頼を低下させる要因となりかねません。報酬決定プロセスにおける説明責任を果たし、長期的な企業価値向上につながる仕組みの整備がますます重要といえます。
これらのポイントから、役員報酬決定プロセスの透明性と公正性を強化するために、報酬委員会の実効性を高め、取締役会の監視機能を強化することがスタンダード市場企業にとっても重要な課題であることが明らかになりました。
・セレクションアンドバリエーションの思い
本レポートでは、スタンダード市場特有の現状と課題を整理し、それらが企業価値や市場評価に与える影響を明らかにしました。特に、迅速な意思決定を求められる中堅企業が抱える課題として、ガバナンス体制の独立性や透明性の不足が浮き彫りとなり、これらの改善が企業の持続可能な成長にとって重要であることを再確認しています。
私たちは、スタンダード市場の企業が持続可能な成長を遂げるためには、企業内外の視点をバランスよく取り入れ、効果的なガバナンス体制を整備することが鍵であると考えております。本レポートが、その一助となり、多くの企業の成長を後押しすることを願っています。今後も、報酬委員会の独立性強化や、外部視点を積極的に活用した体制の確立など、具体的な取り組みを通じて、企業の持続可能な発展と市場信頼の向上に貢献することを目指します。
本調査レポート、「スタンダード市場における役員報酬決定の実態と考察」については、こちら( https://sele-vari.co.jp/knowledge/report/ )をご覧ください。
レポートでは、より詳細な調査結果や提言も記載しております。
・調査概要
各社の有価証券報告書、コーポレートガバナンス報告書より分析を実施。
セレクションアンドバリエーション株式会社について
「組織・人事領域」に特化した高い専門性を持つ人事コンサルティングファーム。東証一部上場企業から従業員数数十名規模の中小企業まで多様な業種、規模の企業に対して戦略実現と業績向上に資する変革を支援。
企業の人事戦略策定、人事制度設計、人事制度運用、組織風土改善、その他経営幹部教育など、人と組織にかかる変革を促進している。
■「ジョブ型雇用」にいち早く対応した実績をもとに改革を支援
代表の平康は、90年代の成果主義人事制度が広がっていた時代にいち早く大手電機メーカーに対し、ジョブ型雇用に対応した人事制度導入を実現しました。以来、新卒一括採用、年功序列昇格、定期昇給、終身雇用に対し「本当に企業は成長できるか」「事業を伸ばし利益を出すために人事にできることは何か」を問いかけつつ200社以上の変革を支援してきました。
今私たちはコロナショックによる働き方の変化、ライフスタイルの変化をもとに、ピンチをチャンスとして伸ばすためのマネジメント変革を支援しています。
■2020年度以降のご支援実績企業の一部
製薬業(東証プライム上場)
ITプラットフォーマー(東証プライム上場)
専門商社(東証プライム上場)
システム開発業(東証プライム上場)
監査法人系コンサルティングファーム
通信建設業(東証プライム上場)
その他非上場企業(製造業、サービス業等)
【会社概要】
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/83936/136/83936-136-f79bf4e8fde606c8478d2b530c0908a0-1280x670.gif?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ミッション: 企業と個人の成長をあたりまえにする
会社名: セレクションアンドバリエーション株式会社
本社所在地: 〒550-0005 大阪府大阪市西区西本町1丁目2-17 本町グランドビル 7F
事業内容: 組織・人事コンサルティング
設立: 2006年3月有限会社として設立(2011年6月株式会社化)
会社HP: https://sele-vari.co.jp/
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