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アストラゼネカ、日本初の卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異保有率に関する大規模調査を実施

PR TIMES / 2019年7月9日 22時40分

進行卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性日本人の保有率は24.1%と判明

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、卵巣がんにおけるBRCA1/2(以下、BRCA)遺伝子変異の保有率に関する大規模調査:Japan CHARLOTTE study(以下、CHARLOTTE)を国内63の医療施設で実施しました。日本人症例における初の大規模な調査であり、婦人科領域のがんゲノム医療を推進する貴重なデータとなります。なお、CHARLOTTE調査の結果は、2019年7月1日付でInternational Journal of Gynecological Cancer電子版に掲載されています。

CHARLOTTEは、国内における新規診断を受けた上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、卵管がん症例のBRCA遺伝子変異の保有率を把握することを目的に、2016年12月から2018年6月までに登録された666症例のうち、BRCA遺伝子検査を実施した634症例を対象に調査しました。

日本人における卵巣がん患者さんのBRCA遺伝子変異の保有率については、これまでデータが限られていました。しかし、本調査の結果から新規診断を受けた卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性の割合は14.7%と欧米人を対象とした研究報告 (1)(14.1%)と同程度であることが明らかとなりました。また進行卵巣がん(FIGO分類III期またはIV期)における陽性の割合は24.1%と、早期卵巣がん(4.9%)より高い保有率でした。

BRCA1およびBRCA2は損傷したDNAの修復を担う遺伝子であり、細胞のがん化を抑制する働きがあります。これら遺伝子のいずれかに変異があることで、DNAの正常な修復が妨げられ、卵巣がんや乳がんになりやすくなると考えられており、一般の方に比べて卵巣がんの発症率がBRCA1に変異がある場合は39~60倍、BRCA2に変異がある場合は16~27倍高くなると言われています (2,3)。

CHARLOTTEの共同研究者である、新潟大学医学部 産科婦人科学教室の榎本 隆之先生は次のように述べています。「日本人におけるBRCA遺伝子変異の保有率が明らかになったことで、患者さんが遺伝子検査の目的を理解し、より納得して検査を受けていただけることを期待しています。遺伝子変異の有無を確認することにより、われわれ医師も患者さんにとってより最適な治療を選択することが可能となります」。

アストラゼネカの執行役員 メディカル本部長の松尾 恭司は、調査結果を受け、次のように述べています。「CHARLOTTEは日本の卵巣がん患者さんを対象とした最大規模の調査であり、この調査によって日本人のBRCA遺伝子変異の保有率や日本人固有の組織型を把握することができました。今回得られたデータが、卵巣がんのプレシジョン・メディシンの実践にあたり重要なエビデンスとして活用され、より多くの患者さんにBRCA遺伝子検査の機会が提供されることを期待しています」。

【Japan CHARLOTTE studyの主な結果 】
・進行卵巣がん(FIGO分類III期またはIV期)におけるBRCA遺伝子変異の割合は24.1%(78例/BRCA1: 16.3%、 BRCA2: 7.7%)でした。

・卵巣がん全体(FIGO分類I期~IV期)のBRCA遺伝子変異の割合は14.7%(93例/BRCA1: 9.9%、 BRCA2: 4.7%)で、欧米保有率と同程度であることが確認されました。

・診断名別のBRCA遺伝子変異は、上皮性卵巣がんで12.7%(68/534例)、卵管がんで29.2%(14/48例)、原発性腹膜がんで21.2%(11/52例)でした。

・組織学的分類別では、短期間で発症し、進行がんが多い高異型度漿液性がんにBRCA遺伝子変異が最も多く、その割合は28.5%(78/274例)でした。

・BRCA遺伝子検査を受けた患者さんの96%以上が、実施前のカウンセリングに対して実施者の職種*にかかわらず、「十分満足している」または「満足している」と回答しました。

* 臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー(R)または担当主治医

BRCA遺伝子検査に関する見解が日本婦人科腫瘍学会から公表 (4) されるなど、検査の重要性が認識されはじめています。アストラゼネカは、CHARLOTTEから得たデータの活用を通じて、患者さんが安心して検査が受けられるよう、そして、婦人科領域におけるがんゲノム医療の推進に貢献できるよう尽力してまいります。

以上

*****

BRCA遺伝子変異について
BRCA1およびBRCA2は損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成する遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。これら遺伝子のいずれかに変異があるとBRCAタンパクが生成されないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞はがん化につながるさらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたオンコロジーをアストラゼネカの4つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DDRおよび抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター @AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社については https://www.astrazeneca.co.jp をご覧ください。

References
1. Alsop K 2012, JCO
2. 国立がん研究センターがん情報サービス:「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2014年データに基づく)」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
3. HBOCコンソーシアム『遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(Ver.4)』
http://hboc.jp/downloads/pamphlet_ver4_1.pdf
4.日本婦人科腫瘍学会『卵巣癌患者に対してコンパニオン診断としてBRCA1あるいはBRCA2の遺伝学的検査を実施する際の考え方』 https://jsgo.or.jp/opinion/01.html

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