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国際NGOプラン・インターナショナル 日本の若者が直面するジェンダー課題「早すぎる妊娠」「デートDV」「性的同意」に関する調査を実施

PR TIMES / 2020年7月21日 12時40分

解決すべきは「周囲とのコミュニケーション不足」と「性に対する恥ずかしさ」

国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、ジェンダー不平等、偏見からなる性暴力や早すぎる妊娠といった若い女性の権利の実現が阻害されている現状を把握するため、「日本国内ユース世代のジェンダー課題」に関するアンケート調査を実施し、報告書にまとめました。



調査を実施したのは、15歳~24歳の高校生から社会人で構成されているプラン・ユースグループです。性暴力や早すぎる妊娠など、日本の女の子や若い女性には、ジェンダー不平等や、ジェンダーバイアスに起因する問題が身近に存在するのではないかと考え、本調査では、「早すぎる妊娠」「デートDV」「性的同意」を取り上げた結果、日本の若者が直面しているジェンダー課題についての認知度や普及度、若者の思考が浮き彫りになりました。

【調査背景】
2017年度の内閣府男女共同参画局の調査によると、「デートDV」は、20 代の女性の3 人に1 人、男性の6 人に1 人が経験しているとの報告があります。また近年減少傾向にあるものの、主に10代の女の子たちの「早すぎる妊娠」の件数も毎年一定数報告されており、プランが活動する途上国だけではなく、日本国内においても若い女性たちの権利の実現が阻害されている状況が散見されます。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で、休校や外出自粛のため自宅にいる時間が長期化している高校生を含む若者の間では、望まない妊娠に至るケースが急増しており、デートDVなどの性被害に遭う危険性が高まっているとの指摘があります。虐待や家庭内の不和によって、家庭に居場所が無い若者は、友達や恋人の家に滞在し、カラオケをはじめとした密室に逃れる傾向にあり、そこから、性被害やデートDVなどに発展する可能性が高いことも危惧されています。

【調査概要】
調査タイトル: 「日本国内ユース世代のジェンダー課題」に関する調査
調査期間: 2020年4月20日~5月17日
調査対象: 15歳~24歳の若者 544人 ( 女性348人、その他4人、男性192人、)
[画像1: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-655275-10.jpg ]



調査方法: インターネット
実施機関: 公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン プラン・ユースグループ

【調査結果サマリー】
● 早すぎる妊娠を経験した場合、同性の親に相談する傾向がある。相談機関は若者にとっては遠い存在
相談先として母親を選ぶ女性回答者が72%、父親を選ぶ男性回答者が48%と多く、同性同士だと相談しやすい傾向がうかがえます。また、外部の相談窓口を選んだ人は全体の29%と少数で、若者にとって相談機関は遠い存在であることも明らかになりました。

● 性的同意について77%が学校で学ぶ機会があったとするが、10%以上が誤った解釈をしている
多くの人が中学校・高校の授業で性的同意について学んでいると回答しましたが、10%が「家に泊まるのは、性行為をしてもいいサインだ」、16%が「付き合っていれば、性行為をするのは当たり前だ」と誤った考えを持った人がいることが明らかになりました。

● 59%が性的同意を取ることに恥ずかしさを感じている
性的同意を行う際の壁として、「恥ずかしさ」「雰囲気を壊す」などが挙げられ、性について話すことへのタブー意識が見受けられました。

● 89%がジェンダー課題解決のために「教育が重要」と考えている
教育を通して性について学ぶことを回答者の多くが求めているが、すでに学校教育を通じて「性的同意」を学んだ場合でも性的同意への理解が不十分であり、今後丁寧な教育が求められます。

● メディアによる表現がジェンダー観念に大きく影響している
課題解決にあたり「メディアが重要」と回答した人は52%で、ジェンダー課題を周知する役割だけでなく、デートDVや性的同意を取らないことを助長するような表現の廃止を求める声も多く上がりました。

【調査結果】
1. 早すぎる妊娠について

[画像2: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-990338-1.jpg ]

「パートナーや家族に避妊や妊娠について話すことができているか?」との質問に対して、「まったくできていない」「少ししかできていない」と答えた人が56%を占めており、若者の間に話し合いの土台ができていないことが課題として浮き彫りになりました。

[画像3: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-387097-2.jpg ]


早すぎる妊娠を経験した場合の相談先としては、母親を選ぶ人が70%(女性回答者の72%、男性回答者の68%)と最も多く、一方で父親に相談する人は22%(女性回答者の11%、男性回答者の48%)と少なさが目立ちました。男性は父親に相談する傾向が強いことから、同性の親のほうが相談しやすいことが考えられます。また、相談窓口を選ぶ人は29%で、回答数は3番目に多かったものの、若者にとって依然遠い存在であることが分かります。

2.デートDVについて

[画像4: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-767817-3.jpg ]

[画像5: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-612542-4.jpg ]

「デートDV」 という言葉を認知している人は71% (女性回答者の77%、男性回答者の60%)で、学校でデートDV について習ったことがある人は42%(女性回答者の46%、男性回答者の37%)でした。学校で習う機会があった人は、男女ともに半数未満であり、言葉の認知、学習ともに男性のほうが低い結果となりました。理由として、男女別の教育カリキュラム、あるいは男性はデートDV に関する啓発を受ける機会が少ないことが、考えられます。


3.性的同意について

[画像6: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-322646-5.jpg ]

性的同意について「中学校・高校の授業」で学んだと回答した人が77%で、多くの人が学ぶ機会があることが明らかになりました。しかし、「家に泊まるのは、性行為をしてもいいというサインだ」は10%、「付き合っていれば、性行為をするのは当たり前だ」は16%などの回答から、誤った解釈をしていることが見受けられました。他にも「キスをする、クラブへ行く、イヤと言わないなどの言動が、性行為をしても良いというサインである」という考えを持っている人がいまだに多いことが分かります。

[画像7: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-683398-6.jpg ]

性的同意を行う際に感じる壁として、「恥ずかしさ」「雰囲気を壊す」をあげた人が半数以上いました。性について話すことに後ろめたさを感じており、充分に意思疎通が図れないことが、望まない妊娠にもつながっていると考えられます。

4.  3つのジェンダー課題(早すぎる妊娠、デートDV、性的同意)に共通する課題

[画像8: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-845275-7.jpg ]

[画像9: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-345596-8.jpg ]

89%の人がジェンダー問題解決のために「教育が重要」と回答しており、教育を通して性について学びたいと感じている人の多さが分かります。

「メディアが重要」と回答した人は52%(女性回答者の58%、男性回答者の43%)に上りました。加えて、メディアでの「性的同意を取らないことを助長する表現を廃止すべきだ」と答えた人が45%(女性回答者の50%、男性回答者の29%)であることは、メディアから受ける影響に関して、女性の方が男性よりも意識が高いことを示唆しています。男女別データを見ると、女性の半数が表現の規制を望んでいる一方、男性は3割弱にとどまり、性的同意の課題そのものに対する認識不足がうかがえます。

ジェンダー教育とメディアによる表現が、若者のジェンダー観念に大きな影響を及ぼしていることが分かりました。

【調査結果から見えた課題と解決の方向性】
● タブー意識
ジェンダー課題について自由に語れる場が不足しているため、安心して語り合うことができる場所、プラットフォームやSNSサービスなどが必要

● 教育機会の不足
3つのジェンダー課題に対する適切な知識と自分ごととして課題を捉えられるような教育カリキュラムが普及していないため、知識の格差、予防と実践をサポートできる教育機会の拡充が求められる。特にデート DV の認知度には男女差があり、男の子と男性への啓発を強めることが必要

● 支援の不十分さ
相談機関は認知されているものの、いまだユースにとって遠い存在であるため、相談しやすい環境整備が必要。相談機関やサービスのあり方ついては若者の意見を積極的に取り入れていくことが重要

● メディアの役割
メディアはジェンダー規範の固定化に大きな影響を及ぼしており、3つの課題について発信し、問題提起をしてほしい。番組制作にあたっては、固定観念を助長させない表現を意識することが重要


詳細については、以下をご覧ください。
日本国内ユース世代のジェンダー課題 調査報告書
https://www.plan-international.jp/news/yap/pdf/200721_Youth_Repor.pdf

アンケートを実施したユースグループ 佐藤さん(大学3年生)、土田さん(大学2年生)のコメント
私たちは、性別に関係なく誰もが自分らしく生きられる社会を望んでいます。今回のアンケート調査の実施からすでに多くの若者がジェンダー課題に直面している状況にあることが明らかになりました。この現状をまずは1人でも多くの若者に知ってもらい、解決に向けた議論を広げていくために、今後も活発に活動を続けていきたいです。

アドボカシーチーム 澤柳 孝浩のコメント
ジェンダー不平等に起因するユース世代(15~24歳)の国内課題について、グループメンバーと話し合いました。その結果、グループとして取り組むべき課題としてあがってきたのが、早すぎる妊娠、デートDV、性的同意でした。グループメンバーは1年かけて課題について学び、啓発活動を続けています。今回の調査結果から、ユース世代の各課題に対する理解のばらつきが見えてきました。課題を認知していても本質を理解していなければ、気がつかずに加害者・被害者になってしまいます。これらの課題について、引き続き啓発活動やアドボカシーを続ける必要があると感じています。
[画像10: https://prtimes.jp/i/12939/140/resize/d12939-140-706373-9.jpg ]

プラン・ユースグループとは
子どもの貧困、女の子、女性への差別がない公正な社会を実現するために活動するNGOプラン・インターナショナルのユースグループです。主な活動としては、日本国内のジェンダー課題への啓発活動、アドボカシー活動、団体内のアドバイザリー活動を軸とし、過去にはワークショップや、アンケート調査の実施、企業や東京都への提言、プラン・インターナショナルの組織改善のためのアドバイジングなどを行っています。


[表: https://prtimes.jp/data/corp/12939/table/140_1.jpg ]


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