資生堂・花王、日化協 第46回技術賞(技術特別賞)を受賞 共同開発した皮膚感作性試験代替法「h-CLAT」

PR TIMES / 2014年5月30日 14時46分

資生堂と花王の共同研究によって開発した、実験動物を用いることなく、ヒト由来の細胞株を用いて化学物質のアレルギー性を、正確、迅速かつ低コストで調べることができる皮膚感作性試験代替法「h-CLAT(エイチ・クラット)※1」は、地球の未来を支える日本の化学技術表彰制度である第46回日化協※2 技術賞の「技術特別賞」を受賞しました。
表彰式は5月29日(木)に開催の第23回日化協定時総会(於:パレスホテル東京)において、受賞講演は6月2日(月)に開催される「日化協シンポジウム2014」(於:経団連会館)でおこなわれる予定です。

※1 human Cell Line Activation Test
※2 一般社団法人 日本化学工業協会


《日化協 技術賞について》
優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業ならびに経済社会の発展に寄与した事業者を表彰する制度で、毎年、化学に関連する事業者から業績を公募し、総合賞、技術特別賞、環境技術賞の3つの分野でそれぞれ受賞事業者を選定しています(本年で46回目)。
【総合賞】
独創性に富んだ優れた技術で科学技術の進歩に寄与したもので、技術として確立しており産業上の価値が高いもの
【技術特別賞】
独創的技術・改良技術で、科学技術の進歩に寄与したもの
【環境技術賞】
独創的技術・改良技術で、環境負荷低減に著しい効果があり、科学技術の進歩に寄与したもの

<今回の受賞理由>
近年、動物愛護や効率性の観点より動物を用いない化学物質の安全評価方法の開発が期待されている。両社は企業の枠を超えて共同研究を行い、皮膚感作性試験代替法h-CLATを開発し、その有用性を検証してきた。この試験方法はヒト単球細胞株THP-1を被験物質と共に培養したのち、細胞膜表面のタンパク質CD86及びCD54を定量することで、被験物質の皮膚感作性の正確かつ迅速な判定が可能となる。本技術の特長は、細胞株を用いることで動物やヒトの血液を用いる必要が無いことだけでなく、試験条件を最適化することで実用化に足る信頼性と効率性の高い試験方法を確立した。なお、h-CLATは化粧品原料のみならず医薬品や医療材料などの評価やアレルギーの基礎研究などで幅広い応用が始まっている。また、本技術は、欧州代替法評価センターでの妥当性検証を終了し、2015年にOECD※3ガイドライン化を目指している。

※3 経済協力開発機構


《受賞した皮膚感作性試験代替法「h-CLAT」について》
皮膚感作(皮膚アレルギー)とは、皮膚に化学物質が接触し体が異物として認識すると、次に接触した時に起こる遅延型炎症反応です。原因物質は天然物由来化合物から合成化合物、金属まで様々で、代表的なものとしてはニッケル、プラチナなどの金属や、うるし、サクラソウなどの植物があります。
皮膚感作性試験とは、皮膚に化学物質が接触し体が異物として認識すると、次に接触した時に皮膚アレルギーが起こるかどうかを調べるものです。これまでは、国際標準の試験法として、実験動物を用いた以下の2試験が主に行われていました。
・モルモットを用いるGPMT (Guinea pig Maximization Test)
・マウスを用いるLocal Lymph Node Assay (LLNA)
昨今、動物愛護などの考え方が広まり、化粧品開発での動物実験に対する厳しい見方も世界的に広まっています。一方、化学物質の安全性評価は必然・必須であるうえに、企業としてもコストや時間を効率化できる、実験動物を用いない代替試験法は、時代の要請ともいえます。
資生堂と花王は、それぞれ独自に皮膚感作性試験代替法の研究を進めていました。ほぼ同時期に、ヒト単球細胞株のひとつである“THP-1細胞”が、アレルギー物質と接触すると、T細胞にアレルギー物質の存在を提示するタンパク質の「CD86」と「CD54」を増やすことを発見しました。これにより、“THP-1細胞”が皮膚感作性試験代替法に用いることができることを見出し、2003年1月より共同研究を進めてきました。その結果、従来の国際標準であるLLNAと同等の精度で感作性を予測できるh-CLATの開発に成功しました。h-CLATは、厚生労働省や他企業などの支援も受けて試験法の有効性と有用性を検証がなされました。その後、欧州委員会が主導するバリデーション(妥当性検証)を経て、現在、国際標準であるOECDガイドライン収載に向けた活動をしています。
h-CLATは、実験動物を用いる方法に比べて、サンプル量が20~30分の1、コストが50分の1、時間が14分の1と、少量のサンプルで低コスト、短時間で高精度な感作性の予測ができる試験法です。化粧品にとどまらず、すでに医薬品や医療材料などの安全性評価、アレルギーの基礎研究など幅広く応用されています。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
PR TIMES

トピックスRSS

ランキング