気候変動とコロナ禍の現代、アートはエコロジーをどう扱うか?『美術手帖』6月号は「新しいエコロジー」特集
PR TIMES / 2020年5月6日 11時25分
気候変動の問題に取り組むオラファー・エリアソンや、「デジタルネイチャー」を提唱する落合陽一、動植物などを作品に取り込んできたピエール・ユイグといった国際的に活躍するアーティストが登場。新しい自然観や環境観を提示する、現代美術の最新動向に迫る。
[画像: https://prtimes.jp/i/10983/148/resize/d10983-148-185136-0.png ]
地球温暖化や異常気象、震災や台風、そして感染症による災害が、世界中の人々の暮らしに大きな影響を与えている現代。グレタ・トゥーンベリの訴えが国境を越えて大きな共感を呼ぶなど、気候変動は国際社会において喫緊の課題となっている。
こういった環境に関わる問題について、アーティストたちはどのような表現で応答しているのだろうか。
5月7日発売の『美術手帖』2020年6月号の特集は、「新しいエコロジー:危機の時代を生きる、環境観のパラダイムシフト」。
人間が自然を利用し搾取する近代的・資本主義的なあり方を見直し、新しい「環境観」「自然観」「生命観」を提示するアートの動向を紹介する。
表紙と10ページにわたる巻頭ヴィジュアルは、東京都現代美術館で開催予定の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展で撮影。
モデル・女優として注目を集めるモトーラ世理奈が登場する、スペシャル・フォトセッションが行われた。
世界各地で大規模個展を開催するオラファー・エリアソンは、太陽光や滝、虹といった自然現象を再現するインスタレーション作品で知られる。
本誌のためのインタビューでは、気候変動を初めて中心テーマに据えた今回の個展に込めた思いや、温暖化や新型コロナウイルスの渦中にある現代社会における芸術の可能性について語られた。
メディア・アーティストの落合陽一は、「デジタルネイチャー」という独自の自然観を提唱する。人と機械、物質世界とヴァーチャル世界のあいだにある境界を再編し、新たな選択肢を生み出すような未来志向の実践について、近年の作品を例に解説する。
国際的なアートシーンにおいて大きな影響力を持つアーティストのピエール・ユイグも、拠点とするチリからオンラインで取材に応じた。植物や動物、細胞、インフルエンザウイルス、AI、科学技術システムまでをも作品に取り込むユイグは、人間と自然の分離を超えた「共進化」の重要性を説く。これまでの作品や、アーティスティック・ディレクターを務めた「岡山芸術交流2019」での試みを踏まえ、多種多様な生物/無生物と協働するアートについて語った。
また、キュレーターや哲学者、アーティストなど多彩な顔ぶれによる、アートとエコロジーをテーマにした論考も多数掲載される。
東京都現代美術館参事を務めるキュレーターの長谷川祐子は、アマゾンでのフィールドワークや専門家への取材をとおしてリサーチを続けてきた、エコロジカルな領域におけるアートについて論文を寄稿する。
哲学者・科学人類学者として世界の思想哲学をリードするブリュノ・ラトゥールの翻訳論考、環境哲学者ティモシー・モートンの国内への紹介者としても知られる哲学者の篠原雅武の論考、著書『現代美術史』(中公新書)で注目を集める山本浩貴による寄稿「エコロジーの美術史」も掲載。
さらに「ノンヒューマン:非人間中心主義とアート」と題するパートでは、「海洋」「地層」「植物」「動物」というテーマごとに、ノンヒューマン(人間ならざるもの)を扱うアートの取り組みを紹介する。
日本でも著書『植物は〈知性〉をもっている』(NHK出版)が大きな反響を呼んだ、植物学の世界的権威であるステファノ・マンクーゾや、2019年に第58回ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞したリトアニア館のキュレーター、ルチア・ピエトロイウスティ、ファッションにおける「ポスト人間中心」を掲げるスペキュラティヴデザイナー・川崎和也へのインタビュー、アーティスト藤浩志と芸術人類学者・石倉敏明の対談など、多分野における重要人物の思考と実践に迫る。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにともない、ますます見直しが迫られる自然と人間の関係性。本特集ではアートをとおして、来たるべきエコロジーの可能性を模索する。
また、第2特集「アーティストと香港デモ」では、チョウ・チュン・ファイ、クララ&ガムのインタビューに加え、「キーワードで読み解く キュンチョメが見た『香港デモ』」を掲載する。
__
特集
新しいエコロジー
危機の時代を生きる、環境観のパラダイムシフト
SPECIAL PHOTO SESSION
モトーラ世理奈×「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展
田中雅也(TRON)=撮影
オラファー・エリアソン インタビュー
清水知子=聞き手
落合陽一 インタビュー
編集部=聞き手 高岡謙太郎=構成
【NONHUMAN AGENTS IN ART/ノンヒューマン:非人間中心主義とアート】
ピエール・ユイグ インタビュー
石谷治寛=聞き手
Part1:海洋
ルチア・ピエトロイウスティ インタビュー
コラム:偏在する水、情報フローとしての世界
四方幸子=文
Part2:地層
対談:藤浩志×石倉敏明
アバロス村野敦子/オトボン・ンカンガ
Part3:植物
ステファノ・マンクーゾ インタビュー
山内朋樹 インタビュー
三原聡一郎 インタビュー
ウリエル・オルロー/ルイス・ゼルビーニ
Part4:動物
川崎和也 インタビュー
ロバート・ザオ・レンフイ/石橋友也
コラム:溶解する地球と感染症時代の動物たち
石倉敏明=文
論考:ハイパーオブジェクト、外縁、境界と辺境──人新世における問いと表現
篠原雅武=文
ヴェルビエ・アート・サミット2020
かないみき=文
エコロジーの美術史
山本浩貴=文
コラム:エコフェミニズムとアート
長倉友紀子=文
論考:新しいエコロジー下のアート、あるいは「まごつき期」の芸術表現
長谷川祐子=文
翻訳論考:
地球に降り立つことへの7つの反対理由
『クリティカルゾーン:地球に降り立つことの科学と政治学』序論
ブリュノ・ラトゥール=文 鈴木葉二=翻訳
第2特集
アーティストと香港デモ
チョウ・チュン・ファイ インタビュー
クララ&ガム インタビュー
キーワードで読み解く キュンチョメが見た「香港デモ」
ARTIST PICK UP
サーニャ・カンタロフスキー
ジョナサン・チャプリン
ARTIST INTERVIEW
ピーター・ドイグ
松井みどり=聞き手
-------------------------------------------------
『美術手帖』6月号 2020年5月7日(木)発売
定価1600円+税
発行元=美術出版社
『美術手帖』公式サイト https://www.bijutsu.press/books/4290/
Amazonサイト https://amzn.to/2S2M7mq
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
この記事に関連するニュース
-
ロレックスの世界観を体現した 1日限りのスペシャルイベント 「PERPETUAL MOMENT」が開催
CREA WEB / 2024年5月10日 11時0分
-
【銀座 蔦屋書店】躍動感溢れる野生動物の姿をテラコッタでかたどる彫刻家・瀬戸優の新作展「星を数える」を5月11日(土)より開催。
PR TIMES / 2024年5月9日 12時40分
-
【京都 蔦屋書店】東金聖の個展「はじめまして、東金聖です。」を5月21日(火)より開催。アート作品として美濃焼の伝統技法を追求する。
PR TIMES / 2024年5月8日 18時45分
-
太宰府天満宮の自然と向き合い、10年の歳月を重ねて描いた清新な世界。日本画家・神戸智行の初の作品集を4月25日(木)より刊行。
PR TIMES / 2024年4月22日 12時15分
-
バイリンガル美術情報誌『ONBEAT vol.20』が、保存版というべき充実した内容で発売
IGNITE / 2024年4月18日 13時30分
ランキング
-
1朝ドラ登場の食堂モデル、岐阜の五平餅店が閉店へ…「寂しい」全国から名残惜しむファン足運ぶ
読売新聞 / 2024年5月10日 15時8分
-
2コーヒー豆高騰の背景に…中国でブーム“悪魔のフルーツ”、ピザや火鍋にも【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月10日 21時10分
-
3三菱製紙子会社でデータ改ざん=耐熱プレスボード、10年以上前から
時事通信 / 2024年5月10日 17時54分
-
4【閉園騒動から再出発】「ラブライブ!聖地」水族館、新社長が語った苦悩「従業員は大量解雇」「マイナスからのスタートです」
NEWSポストセブン / 2024年5月10日 19時20分
-
5「LINEのセキュリティ」は大問題 TikTokと同じ道をたどるのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月10日 6時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください