~「プラスチックが循環し続ける社会」を目指して~三菱ケミカル社と共同プロジェクト開始
PR TIMES / 2020年12月28日 11時45分
ケミカルリサイクルによるペット再資源化に向けた技術検討と実用化を目指す
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典 以下 キリン)は、三菱ケミカル株式会社(社長 和賀昌之 以下 三菱ケミカル)と、ケミカルリサイクル※1によるペットの再資源化に向けた技術検討と実用化を目指す共同プロジェクトを2020年12月より開始します。
両社は、「プラスチックが循環し続ける社会」の実現を目指しています。その一環として、ケミカルリサイクルによりペットの再資源化を可能にし、「廃ペットボトルの回収」、「ケミカルリサイクルによるペットの再原料化」、「再生ペット原料を使用したペットボトル入り飲料の製品化」のサイクルが循環し続ける社会の実現を目指しています。この過程では、「オープンイノベーション」を取り入れながら、「プラスチックが循環し続ける社会」の実現に共感いただける国内外の企業等とパートナシップを構築していきます。
[画像: https://prtimes.jp/i/17850/148/resize/d17850-148-888057-0.png ]
日本での「ペットボトルからペットボトル」への再生率は低く、多くが食品トレーや衣類などのペット製品に再生されています。これらは一度は再生され資源として利用されますが、その後は回収・再生されずに焼却されることが多く、持続可能な再資源化には課題があります。また、回収される廃ペットボトルの一部にはゴミなどが混在しており、良質な廃ペットボトルの安定的な確保には課題があります。さらに、従来のメカニカルリサイクル※2の技術のみでは、リサイクル樹脂から取り除くことが難しい混在成分があり、繰り返し再生することで樹脂の品質が低下すると言われています。
今回、三菱ケミカルとともに技術検討するケミカルリサイクルは、廃ペットボトルを選別、粉砕、洗浄して汚れや異物を取り除いた上で、解重合(化学分解処理)を行い、ペットの中間原料まで分解、精製したものを再びペットに重合(合成)するもので、廃ペットボトルを純度の高いペット原料に再生することができます。
三菱ケミカルは、国内外にペット製造設備を保有し、高い技術力と豊富な知見を活用した事業を展開しています。また、2020年4月にサーキュラーエコノミー推進部を新設し、サーキュラ―エコノミー(循環型経済)に向けた取り組みを強化しており、「プラスチックが循環し続ける社会」を実現したいというキリンの想いに共感をいただいています。
ケミカルリサイクルでは、落としにくい汚れや混入物のあるペットボトルをはじめ、これまでサーマルリサイクル(熱回収)や廃棄に回っていたペットボトル以外のペット製品もペットボトルとして再生可能となります。本プロジェクトでは廃ペットボトル以外の廃ペット製品を回収する仕組みも合わせて構築し、将来的には「ペットボトルやその他のペット製品からペットボトル」へ、さらには「ペット製品からペット製品」への再生を目指します。一方、現在はコストや規模が課題となっていますが、ペットボトルユーザーであるキリンと、ペットメーカーである三菱ケミカルが主要技術をカバーし合い、実用化を目指した技術検討をしていきます。
キリンは、パッケージイノベーション研究所(所長 石田英克)を中心に、2020年12月より三菱ケミカルとの共同プロジェクトを開始し、2019年2月に策定した「キリングループ プラスチックポリシー」の「日本国内におけるリサイクル樹脂の割合を2027年までに50%に高める」目標達成を目指し、2027年までにはケミカルリサイクル技術を用いたプラントを稼働させることも視野に実用化を目指します。リサイクル樹脂は、グループ会社キリンビバレッジ株式会社(社長 堀口英樹)の飲料製品のペットボトルとして使用するほか、将来的には外販も検討していきます。
キリングループは、「食から医にわたる領域」で価値を創造し、世界のCSV※3先進企業になることを目指しています。CSVの「環境」取り組みの一環として、本年2月に社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たなビジョン「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、「容器包装を持続可能に循環している社会」を目指すことを宣言しています。また「キリングループ プラスチックポリシー」では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂にすること掲げています。これらの達成に向け、今後、リサイクル材やバイオマスなどを使用した持続可能な容器包装の展開も検討していきます。
今後もキリングループは、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという思いを、バリューチェーンに関わる全ての人々と共につないでいくために、さまざまな社会課題に対する取り組みを積極的に進めていきます。
※1 ケミカルリサイクル
廃ペットボトルを選別、粉砕、洗浄して汚れや異物を取り除いた上で、解重合(化学分解処理)を行い、ペットの中間原料まで分解、精製したものを再びペットに重合(合成)する方法。
※2 メカニカルリサイクル
廃ペットボトルを選別、粉砕、洗浄して汚れや異物を取り除いた上で、熱や真空により揮発成分の除去や物性調整を行ったペットに調製する方法。
※3 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造
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