バングラデシュ人民共和国の子どもたちの健康状態・食習慣・衛生環境の関連性についての調査結果のご報告
PR TIMES / 2020年10月22日 19時15分
野菜や肉などの摂取頻度と、飲み水の煮沸や石鹸使用の習慣が、子どもの健康状態に影響する
株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充)は、バングラデシュ人民共和国(以下、「バングラデシュ」)の首都ダッカのスラム街に住む小学生の健康状態と食習慣・衛生環境について調査を行い、当社が「ユーグレナGENKIプログラム」(https://euglena.jp/genki/)を通して実施している、健康状態の向上へ向けた活動の有効性を研究的側面から確認することが出来ました。
これまで当社は、「ユーグレナGENKIプログラム」の活動として、バングラデシュのスラム街の学校に通う子どもたちに対して、ユーグレナ入りの栄養価の高いクッキーを配布してきました。そして、この問題解決には栄養を補うだけでなく、食習慣や衛生環境の改善が必須と考え、現地の実態を把握しながら、食習慣や衛生環境に関する啓蒙活動を実施してまいりました。
そして今回、「ユーグレナGENKIプログラム」や啓蒙活動の有用性を確認すべく、健康状態と食習慣・衛生環境の関連性について調査を実施しました。必ずしも衛生状態が良いとは言えない環境の下、調査を行った結果、栄養バランスの維持につながる生野菜、肉、フルーツ、牛乳などの摂取頻度と、細菌等の除去につながる飲み水の煮沸や、石鹸の利用などの衛生環境が、子どもたちの健康状態を左右していることを示すことを、改めて確認いたしました。
なお、今回の研究成果は、2020年10月20日~22日に開催された「第79回日本公衆衛生学会総会」で発表し、ポスター賞を受賞しました。
■研究の目的
微量栄養素の欠乏は「隠れた飢餓」とも呼ばれており、全世界で20億人もの人々が直面しているとされています。バングラデシュでは、5歳以下の子どもの3人に1人、約550万人が発育不全状態であり※1、0~5歳児の33.1%、6~10歳児の17.1~19.1%に貧血が見られます。
当社では、2014年4月から、「ユーグレナGENKIプログラム」を開始して、栄養改善が必要なバングラデシュの子どもたちに対してユーグレナ入りクッキー(現地名「Euglena Nutrition Biscuits」)を給食として配布しています※2。現在に至るまで、合計1,000万食を超えるクッキーを子どもたちにお届けすることができました※3。
また、健康状態に影響するのは、栄養状態だけではありません。とくに所得の低い家庭では、水道が整備されていないため、不衛生な水をそのまま飲んでいることや、手洗いの習慣が不十分であるといった環境要因によって健康を害している可能性も考えられます。例えば、衛生環境が悪いと、細菌や寄生虫などへの感染リスクが高まり、炎症や下痢を介して慢性的な出血が起こることで、貧血の発症につながることが考えられます。
そこで今回、バングラデシュの首都ダッカにある2つの小学校において、「ユーグレナGENKIプログラム」や食習慣と衛生環境に関する啓蒙活動の有用性を確認すべく、健康状態と食習慣・衛生環境の関連性について調査を実施しました。
※1 同国では、5歳以下の子どもの3人に1人、約550万人が発育不全状態で、特にビタミンA、鉄分、ヨウ素、亜鉛等が不足しがちです(「WFP Bangladesh Country Brief(国際連合世界食糧計画)」より)
※2 2019年3月28日のリリース https://www.euglena.jp/news/20190328-2/
※3 2020年9月30日のリリース https://www.euglena.jp/news/20200930-2/
■研究の内容と結果
本研究では、バングラデシュの首都ダッカにある2つの小学校において、7~9歳の子どもたちを対象として調査を行いました(L小学校:43名、T小学校:43名)。グラミン・コミュニケーションズ(Grameen Communications)※4との提携により、本研究の対象校にて健康状態を把握するための血液検査と、住んでいる環境の衛生状況や、食習慣について聞き取り調査を行いました※5。
※4 グラミン・コミュニケーションズは、グラミン組織の1つで、農村部における情報通信サービス、IT教育などを複合的に展開しています
※5 対象となる子どもたちの両親に⾎液検査の意義や目的を十分に説明し、関係当局からの許可や両親からの同意書を得て実施しています
1. 生野菜、肉、牛乳、フルーツの摂取頻度が高い子どもたちは、健康状態が良好だった
まず、食習慣について子どもたちに聞き取り調査を行い、バングラデシュで日常的に食べられている主要な食品群である16品目の摂取頻度を調べました。生野菜を「ほぼ毎日」食べていると答えた子どもたちは、86名のうち12名、「週に1回」食べる子どもたちでも19人に留まり、残りの55人は、ほとんど口にすることがないと答えました(図1)。貧血の診断に用いられるヘモグロビン値※6と食生活の関連性を調べたところ、生野菜を「ほぼ毎日」食べている子どもたちでは、「1回/月」と答えた子どもたちよりも、ヘモグロビン値が高く、健康状態が良好であることが示されました。同じように、肉と牛乳、フルーツを「ほぼ毎日」食べている子供たちでは、健康状態が良好であり、貧血になりにくいことが示唆されました。
※6 ヘモグロビンは、血液中で酸素の運搬をになうタンパク質です。血中ヘモグロビンの濃度が下がると、酸素が不足して貧血の症状が現れます
[画像1: https://prtimes.jp/i/36462/160/resize/d36462-160-763517-0.png ]
2. 飲む際に水を煮沸、石鹸を使い手洗いする子どもたちは、健康状態が良好だった
飲む際に水を煮沸する習慣があるか、手洗いのときに石鹸を使うかなどの衛生環境の状況について調べました(図2)。水を煮沸すると答えた子どもたちは、86名のうち27名にとどまりました。ヘモグロビン値と衛生環境の関連性を調べたところ、飲む際に水を煮沸する習慣があると答えた子どもは、煮沸しないと答えた子どもたちと比べて、ヘモグロビン値が高いことが示されました。また、石鹸で使い手洗いする子どもたちは、石鹸を使わない子どもと比べて、ヘモグロビン値が高いことが示されました。これらの結果から、飲む際に水を煮沸することや、手洗いに石鹸を使うことで、細菌や寄生虫などへの感染リスクが抑えられ、炎症や下痢を介しての出血を回避できた可能性が考えられます。よって、飲む際に水を煮沸することや、手洗いに石鹸を使う習慣がある子どもたちでは、健康状態が良好であり、貧血になりにくいことが示唆されました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/36462/160/resize/d36462-160-141112-1.png ]
今回の調査から、必ずしも衛生状態の良いとは言えない環境下で、健康状態を改善するためには、生野菜や肉、牛乳、フルーツなどの食品から毎日栄養を摂取すること、飲む際に水を煮沸すること、石鹸を使い手洗いすることが大切であることを確認しました。
そして、今回のようなアンケートによる聞き取り調査は、子どもたちの健康状態を知るうえで有効な手段であり、子どもたちの住む生活環境がより良いものになるように調査を続けていくことが、包摂的な健康問題の解決に役立つものと期待しています。
今回の調査結果により、当社の活動の有用性が改めて確認できました。今後も当社は、「ユーグレナGENKIプログラム」での栄養問題解決と同時に、食育や、健康診断、身体測定を行いながら、バングラデシュの子どもたちの栄養状態改善を目指してまいります。
[画像3: https://prtimes.jp/i/36462/160/resize/d36462-160-298045-2.png ]
<「ユーグレナ GENKI プログラム」について>
ユーグレナ社は、2014年4月に世界の子どもたちに栄養を届けることを目的に「ユーグレナ GENKIプログラム」を立ち上げました。栄養改善が必要なバングラデシュの小学校に給食としてユーグレナクッキーの配布を開始し、66校、約 1 万人の子どもたちに、平均週5日ユーグレナクッキーを配布しています(2020年9月末時点)。https://euglena.jp/genki/
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の生産に向けた研究も行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大。2012年12月東証マザーズに上場。2014年12月に東証一部市場変更。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp
[画像4: https://prtimes.jp/i/36462/160/resize/d36462-160-597683-3.png ]
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