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収蔵庫から続々新発見!X線CTによる縄文土器の再発掘で判明日本ではめずらしい貝殻混入の縄文土器・九州最古級のマメ類圧痕の発見熊本大学と福岡市埋蔵文化財センターのコラボで判明

PR TIMES / 2024年12月12日 13時15分



[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/124365/192/124365-192-fbc57f863e1fc3a2717740126fb00bfb-540x304.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


【記者発表のご案内】
日時:令和6年12月17日(火) 10時00分~11時00分
場所:熊本大学黒髪北地区文法学部本館2階 共用会議室(熊本市中央区黒髪2-40-1)
※参加いただける際は、以下PDFの参加申込書を12月13日(金)までにご提出願います。


d124365-192-4c0f8f64a6873dbbb0a62fa261e1638b.pdf<研究の内容>
熊本大学大学院人文社会科学研究部・国際人文社会科学研究センター・小畑弘己(おばた・ひろき)教授らは、2023年より福岡市埋蔵文化財センターと協力してX線CTスキャナーによる福岡市内出土の縄文土器の混和物の調査を行ってきました。その過程において、東アジアでも二番目に古く、日本では珍しい貝の殻を混入した縄文時代早期の土器群、さらには九州地方では最古級となる同時期のダイズ属やアズキ亜属の種子圧痕を検出しました。これは、一旦発掘調査や報告書刊行が終了し、収蔵庫に眠った状態の土器をもう一度最新技術で調査(発掘)することで新たな発見が可能であることを立証したもので、福岡市埋蔵文化財センターのようなすべての出土遺物を収蔵管理する設備と体制が整備された機関ならではの発見といえます。
本研究は文部科学省科学研究費補助金研究・学術変革領域研究(A)「土器を掘る」の支援を受けて実施したものです。

<発見の経緯>
先史時代の土器の中にはさまざまな有機混和物が含まれています。土器表面に現れた「籾圧痕」はその典型です。これらは土器製作時に粘土内に紛れ込んだゴミ(食料加工の残滓)や意図的に土器強化のために入れられた植物性もしくは動物性の混和材の痕跡がほとんどです。たまたま土器表面に現れたタ
ネやムシが「圧痕」と呼ばれてきました。よって土器内部にも潜在圧痕があるはずですが、これまでの肉眼観察では土器中の空気の穴としてしか認識できず、あまり注目されてきませんでした。しかし、小畑教授らは、
2020年度より開始した文部省科学研究費補助金研究・学術変革領域研究(A)「土器を掘る」のプロジェクト研究(HP: http://www.fhss.kumamoto-u.ac.jp/archaeology/earthenware/)において、これらの消えてなくなった(見えない)タネやムシなどの当時の生物の痕跡を土器中から検出するために、X線CT技術を用いて検出、復元するという手法を考案し、数多くの発見をしてきました。そして、この効果的な調査手法を埋蔵文化財行政の整理システムの中へ装備できるか否かを検証するために、各地の埋蔵文化財行政機関に機器を設置し、実装実験を行ってきました。今回の発見は、2023年より福岡市埋蔵文化財センターの協力を得て、実施してきた調査の成果です。

<学術以外の意義:新学術領域設立ための成果>
今回の発見の意義は、大きく2点あります。1点は縄文土器としてはきわめて珍しい1万年前の貝殻混入土器や九州地方で最古級のマメ類圧痕を発見したという点。さらにもう1点、既報告資料を再度調査して、新たな発見をもたらしたことは、小畑教授らの研究プロジェクトの意図に合致した発見であり、まさにねらい通りの成果であったといえます。
普通、考古遺物(土器)は発掘調査報告書が刊行された後は未報告遺物も含めて収蔵庫に収蔵され、研究や遺物展示のために大切に保管されています。ただし、その利用頻度は遺物の希少性や人々の関心の度合いに左右され、遺物によってはほぼ利用されないものもあります。とくに報告書に掲載されなかった遺物はその典型です。しかし、これは遺物のもつ価値を表すものではなく、現時点での評価による相対的価値づけに過ぎません。将来、再整理を行ったり、その価値を十分に引き出す技術や手法が開発され、それらに適用されれば、これら遺物も重要な研究資源や文化財としての価値が向上するはずです。
今回のX線CTスキャナーによる土器の再調査とその成果は、福岡市埋蔵文化財センターのような整備された遺物の収蔵システムと管理体制をもち、しかもすべての遺物を収蔵管理している組織だからこそ成しえた成果といえます。このような質・量ともに充実した収蔵システムをもつ行政組織は日本、いや世界でも類を見ないといっても過言ではないでしょう。ここに小畑教授らの考古学の新たな資料学の構築を追求する学術変革領域研究の研究コンセプトと技術が組み合わさることで、今回、相乗的な効果が生み出されました。
報告書に掲載されていない、3cm四方の小さな土器片から予想もしていなかった最古級のダイズ属種子と貝殻が一緒に発見されました。この事実が、遺物収蔵の必要性とそれを再活用しようとする新たな遺物分析技術の開発の重要性を如実に物語っているといえます。「土器を掘る」、この行為なくしては、遺跡の発掘は未完であることを、今回の発見が教えてくれました。

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