シャーガス病治療と診断の普及拡大へ転機

PR TIMES / 2014年6月10日 17時59分

105年前にシャーガス病が発見されて以来、初めての独自研究により、市場に流通している複数の簡易診断検査に高い信頼性があることが示された。検査施設を利用しなくても患者の診断が可能で、流行地域・非流行地域のいずれにおいても治療を普及拡大でき、シャーガス病対策における大きな転機となる。



<各国で良好な検査精度>

2010年から国境なき医師団(MSF)と世界保健機関(WHO)が進めてきた共同研究の主要な所見では、現在、市場に流通している11種類のシャーガス病簡易診断検査法のうち、6種類は非常に有効で、使用地が変わっても精度に著しい差異は生じない。この研究では、原虫「クルーズ・トリパノソーマ」への感染を従来の方法で検査した血清サンプル474検体を、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、メキシコ、米国、スペイン、フランス、日本の中核検査施設において分析した。

今回の研究で調整役を務めたMSF検査顧問、ローランス・フレボーは「これは大きな転機です。もう、シャーガス病診断の簡易検査方法が存在しないとはいえません。感染者の治療に着手しない理由は、もはやないのです。検査の精度は、日本から欧州、アメリカに至るまで、各国の検査施設で良好な結果が出ています。シャーガス病診断をめぐる通説が覆されました」と語る。

<従来の診断の障壁を打ち破る>

これまで、市場で入手可能な簡易診断検査の精度を示す独自研究がなかったことから、WHOは、従来の2通りのラボ検査を行い、その両者の間に矛盾が生じた場合に第3の検査を行うシャーガス病診断方法を勧めてきた。しかし、これは設備の整った検査室と、検査技術を持つ人材が必要だ。また患者は、血液サンプルの採取後、検査結果が出るまで数週間も待たなければならない。

2010年のWHO総会で採択された「シャーガス病の制御と根絶(Chagas Disease: Control and Elimination)」決議は、急性・慢性期の患者の診療を基礎医療に編入するよう呼びかけたものである。ただ、確定診断のために中核検査施設が必要となる点が障壁となっていた。今回の新たな研究は、その壁を打ち破るものだ。

フレボーは、「WHOのシャーガス病に関する作業部会と共同で行った今回の研究により、数ヵ月後にはWHOの勧告も変わるかもしれません。しかし現状でも既に、4年前にジュネーブで採択された決議にしたがい、各国のシャーガス病対策の診断と治療を大幅に改善することが可能です」と説明する。

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