自然災害への対策を進めている企業は36.9%

PR TIMES / 2020年11月18日 14時45分

費用面などの課題により、中小企業の対応状況は低位にとどまる

2020年は、九州地方や中部地方を中心とした「令和2年7月豪雨」や、台風9号・10号などにより各地でさまざまな被害が発生した。自然災害に対して、政府は2018年度に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を策定するなど、国土強靭化に力を入れている。また、企業においても、企業防災や地域社会の一員としての考え方など、さまざまな観点からの取り組みが求められている。

そこで、帝国データバンクは、自然災害に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年10月調査とともに行った。



<調査結果(要旨)>

自然災害の対応状況について、「対応を進めている」企業は36.9%となり、「対応を進めていない」は59.1%だった。企業の約6割が自然災害への対応を進めていない一方で、進めている企業の割合は2019年11月調査から9.9ポイント増加しており、対応状況の向上がうかがえた
自然災害への対応を進めている企業を規模別でみると、大企業の54.9%が「対応を進めている」一方で、中小企業は33.0%、小規模企業は25.7%と大きく差が開いている。とりわけ、小規模企業では69.5%が対応を進めていない結果となった。都道府県別でみると、「高知」「宮崎」がともに47.7%でトップ。また、太平洋側に位置する地域において割合が高い
自社が最も警戒している自然災害は、「地震」が55.0%で最も高い。次いで、豪雨や洪水などの「水害」(19.5%)、台風や竜巻などの「風害」(9.1%)が続いた。地震では南関東や東海地方が特に割合が高いなど、各項目それぞれで地域差が表れている
自然災害への対策(企業防災)としての取り組みでは、「社内連絡網の整備」(61.5%)がトップとなった(複数回答、以下同)。また、「非常時向けの備品の購入」(45.4%)、「飲料水、非常食などの備蓄」(42.8%)も4割超で高い。一方で、自治体や地域内の他企業、地域住民との連携などに関する取り組みでは、低水準にとどまった
自然災害への対応で苦労することでは、「設備の故障」(38.4%)が最も高く、「費用の確保」(36.6%)、「取引先との対応」(34.2%)が続いている(複数回答、以下同)。規模別では、大企業では「人材の確保」や「情報システムのバックアップ」で割合が高い。一方で、中小企業では「費用の確保」が大企業を大幅に上回り、苦労している様子が色濃く表れている


自然災害の対応を進めていない企業が59.1%、進めている企業は前年から大幅増

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自然災害への対応状況を尋ねたところ、「十分に対応を進めている」企業は1.8%、「ある程度対応を進めている」は35.1%となり、合計すると企業の36.9%が『対応を進めている』結果となった。一方で、「あまり対応を進めていない」(41.7%)と「ほとんど対応を進めていない」(17.4%)を合わせると59.1%が『対応を進めていない』ことが明らかとなった。企業の約6割が自然災害への対応を進めていないものの、対応を進めている企業は2019年11月時点から9.9ポイント増加している。自然災害に対する企業の対応状況は向上している様子がうかがえた。


自然災害への対応を進めている割合は、大企業と中小企業に20ポイント以上の差

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規模別でみると、大企業では54.9%が自然災害への対応を進めている一方で、中小企業は33.0%、小規模企業は25.7%と、対応状況に大きく差が開いている。とりわけ、小規模企業では対応を進めていない企業が69.5%となり約7割にのぼっている。企業からは、「必要性は分かってはいるが、中小零細企業では人や時間などの余裕が無く、取り組みが難しい現実がある」(段ボール箱製造、愛知県)や「大企業が中小企業に対してどれくらいの対応力を求めているかに左右されるので、自社だけで進めることは難しい」(金属プレス製品製造、兵庫県)といった声があげられた。


対応を進めている割合は「高知」「宮崎」がトップ、主に太平洋沿岸部で割合が高い

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自然災害への『対応を進めている』企業を都道府県別にみると、「高知」「宮崎」(ともに47.7%)が最も高い。次いで、「和歌山」(47.6%)、「栃木」(45.5%)と続いた。特に高知県はBCPを策定している割合においても全国で最も高く、総じて災害への意識は他地域より高い傾向がみられる。また、大地震の発生が予想されている太平洋側に位置する地域において、割合が高くなる傾向がうかがえた。


企業の半数超が「地震」を最も警戒、「水害」への警戒も高い

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自社が最も警戒している自然災害を尋ねたところ、「地震」が55.0%で最も高く、企業の半数超となった。次いで、洪水や豪雨などの「水害」(19.5%)、台風や竜巻などの「風害」(9.1%)が続いた。地域差も目立ち、地震は南関東や東海地方といった太平洋沿岸部で、水害は北関東や北陸、中国・四国地方で、風害は近畿や九州地方で、最も警戒する割合が高くなっている。

企業からは、地震に関して「震度7以上の首都直下型地震は手の施しようがない」(鉄鋼卸売、千葉県)といった声が聞かれる。また、水害に関しては「甚大化する台風被害について、対策負担が年々大きくなっている」(一般製材、静岡県)や「地震・津波による水害、台風による水害などさまざまな原因により保険が変わり金額が上がることが大変」(コンクリート製品製造、大阪府)などの意見がみられた。


企業防災としての取り組み、「社内連絡網の整備」が61.5%でトップ
企業として、自然災害への対策(企業防災)としてどのようなことに取り組んでいるかを尋ねたところ、「社内連絡網の整備」(61.5%)がトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「非常時向けの備品の購入」(45.4%)、「飲料水、非常食などの備蓄」(42.8%)が4割を超え、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」(33.4%)、「防災・避難訓練の実施」(30.5%)、「ハザードマップの入手」(30.2%)なども高い。

企業からは、「自然災害はいつ何時おこるかわからないため、やはり社員の安否確認のため連絡網の整備には力を入れている」(一般貨物自動車運送、神奈川県)や「想像をはるかに超える災害となった場合に対応できるか心配だが、日頃から災害を想定した勤務体制や連絡網を構築している」(化学製品卸売、千葉県)、「有事に備えて連絡網等を全社員に配布している。社員一人一人に緊急時用グッズを配布して、各デスクの足元に置いてある」(デザイン業、大阪府)といった声が聞かれた。

一方で、企業防災の取り組み割合が低い項目をみると、「地方自治体との連携強化」(7.7%)、「地元企業との関係強化」(4.4%)、「地域住民や学校との関係強化」(2.8%)は低位にとどまっている。自社と他の機関との「共助」における取り組みは、あまり進んでいない結果となった。取り組みを進めている企業からは「行政機関と協定を結んでいるため、災害対策で自発的に動くようになる」(一般土木建築工事、埼玉県)のような前向きな意見が聞かれた。
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対応で苦労することは「設備の故障」がトップ、中小企業は「費用の確保」が目立つ

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自然災害に対応するなかで苦労することを尋ねたところ、「設備の故障」が38.4%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「費用の確保」(36.6%)や「取引先との対応」(34.2%)などが3割台で続いた。規模別でみると、大企業では「人材の確保」や「情報システムのバックアップ」などにおいて苦労している様子がうかがえる。

一方で中小企業は、「費用の確保」をあげる割合が大企業を大幅に上回っている。企業からは、「実際に災害に遭って設備やデータが守られてはじめて費用や労力が報われたことがわかるが、それまでは効果があるかどうか証明できないため、取り組みが難しい」(看板・標識機製造、岡山県)などの指摘があげられている。


企業の自然災害への対応状況は改善も、多くの企業が対応できる支援策が必要
本調査では、自然災害への対応について企業の約6割が対応を進めていない結果となった。しかし、対応を進めている企業の割合は2019年11月調査から10ポイント近く増加しており、企業の自然災害への対応状況は改善していた。

最も警戒している自然災害では、地震をあげる企業が半数を超えたほか、水害への警戒意識も高い。各項目をみると、地震に関しては太平洋沿岸部で高くなるなど、地域によって警戒する災害は異なっている。こうした自然災害に対する取り組みでは、社内連絡網の整備や各種備品の備蓄が進められていた一方で、自治体や地域内の他企業、地域住民との連携など「共助」に関する項目ではあまり取り組まれていなかった。

自然災害への対応が進んでいる割合が増加した点は好材料ではあるが、規模別でみると大企業と中小企業の間には20ポイント以上の大きな差があり、特に小規模企業では約7割の企業が対応を進めていない。その差が生じている原因はさまざまな理由があげられるが、中小企業で鮮明になった費用面の課題が大きな一因といえよう。企業からは「想定する内容があまりにも多く、多額の対応費用も必要。新型コロナウイルスの影響で厳しい時期に、到底手が回らないのが本音」(油圧・空圧機器製造、京都府)といった意見が聞かれる。より多くの企業が自然災害に対応できるような支援策を講じる必要があろう。

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