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「医療的ケア児支援法」が可決 全国医療的ケア児者支援協議会が提言活動を行ってきた医療的ケア児支援が自治体の責務に

PR TIMES / 2021年6月11日 17時15分

2021年6月11日、参議院本会議で「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下、「医療的ケア児支援法」)が可決されました。

「医療的ケア児」を法律上で明確に定義し、日本の歴史上、初めて国や地方自治体が医療的ケア児の支援を行う責務を負うことを明文化した法律で、9月に施行される予定です。

認定NPO法人フローレンス、およびフローレンスが事務局を務める全国医療的ケア児者支援協議会が6年にわたり訴えてきた医療的ケア児者家庭への支援拡充。支援法の成立により大きな一歩を踏み出しました。



[画像1: https://prtimes.jp/i/28029/199/resize/d28029-199-571583-5.png ]




医療的ケア児支援法とは

医療的ケア児支援法は、医療的ケア児を子育てする家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止する目的で作られました。

障害や医療的ケアの有無にかかわらず、安心して子どもを産み、育てることができる社会を目指します。
この法律が施行されることにより、これまで改正障害者総合支援法で各省庁および地方自治体の「努力義務」とされてきた医療的ケア児への支援が、「責務」に変わります。

責務規定とは、これまでの「努力義務」よりはるかに強く、強制力が働くものです。
また、本法律の施行に伴い、各自治体に地方交付税として医療的ケア児支援のための予算も配分される予定です。各自治体が予算を持ち、強制力のある中で医療的ケア児支援事業を進めていくことで、これまで地域によって格差のあった支援体制の是正が期待されます。

【自治体が負う責務】


法律の施行に伴い、各自治体は、保育所、認定こども園※1、家庭的保育事業等(家庭的保育事業※2、小規模保育事業、事業所内保育事業)や放課後児童健全育成事業※3、学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校)での医療的ケア児の受け入れに向けて支援体制を拡充していく必要があります。
具体的には、各自治体は、医療的ケア児が家族の付き添いなしで希望する施設に通えるように、保健師、助産師、看護師若しくは准看護師(以下、看護師等)又は喀痰吸引等を行うことができる保育士若しくは保育教諭(以下、保育士等)の配置をします。



[画像2: https://prtimes.jp/i/28029/199/resize/d28029-199-926026-6.jpg ]


※1 認定こども園・・・教育・保育を一体的に行える施設で、幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持つ
※2 家庭的保育事業・・・保育者の居宅・その他の場所で行われる、小規模の異年齢保育。対象年齢0-3歳。
※3 放課後児童健全育成事業・・・就労している家庭の児童を学校の授業の終了後に預かる事業。




各都道府県に医療的ケア児支援センターが設立されることにより、医療的ケア児とその家族が何か困りごとがあった際には、ワンストップで対応できるようになります。


[画像3: https://prtimes.jp/i/28029/199/resize/d28029-199-163917-7.jpg ]




医療的ケア児支援が不足する背景

たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」は、新生児医療の進歩などを背景に増加傾向にあり、現在全国に約2万人いるといわれていますが、そうしたお子さんをお預かりする施設は極度に不足しています。結果として、保護者が24時間ケアを担うことになり、就労の機会を失っている実態がありました。
施設で医療的ケア児をお預かりするためには、ケアに対応できる専門人材の配置や環境整備などが必要になります。しかし、従来の障害児福祉制度は、医療的ケア児を想定して設計されていないため、事業者はケアや見守りを担う看護師や保育スタッフの配置、環境整備に必要なコストを賄えず、赤字覚悟でお預かりをしなければならない、非常に苦しい状況が続きました。

また、そのような状況で新たな事業の担い手も現れず、結果として医療的ケア児の居場所がいっこうに増えてきませんでした。
全国医療的ケア児者支援協議会の事務局を務める認定NPO法人フローレンスでは、障害のあるお子さんの預け先が極度に不足する問題に取り組むため、2014年に日本で初めて障害児・医療的ケア児を専門的にお預かりする「障害児保育園ヘレン」を開園、翌年にはご自宅でマンツーマンの保育を実施する「障害児訪問保育アニー」をサービスイン。2019年からは「医療的ケアシッター ナンシー」をスタートし、障害児・医療的ケア児の保育・支援領域のパイオニアとして事業を展開してきました。

[画像4: https://prtimes.jp/i/28029/199/resize/d28029-199-326301-0.jpg ]


制度が充実していない中でも事業を継続させるために、既存の福祉・保育制度を組み合わせた事業モデルを独自に生み出してきました。しかし、制度ごとに親御さんの申請が必要となるほか、制度の併用を不可とする自治体もあり、事業者にとっても利用者にとってもより使いやすい、医療的ケア児のための支援の拡充が喫緊の課題でした。


永田町子ども未来会議の取り組み

永田町子ども未来会議は、超党派の国会議員や厚生労働省や文部科学省などの官僚、医療関係者、福祉事業者、当事者団体が集まり、医療的ケア児の支援に必要な施策や制度を検討する勉強会です。
荒井議員をはじめとした医療的ケア児への支援に関心の高い超党派の議員が「障害児保育園ヘレン」を視察したことをきっかけに、2015年に設立されました。

[画像5: https://prtimes.jp/i/28029/199/resize/d28029-199-655973-1.jpg ]


フローレンスが事務局を務める全国医療的ケア児支援協議会も、永田町子ども未来会議のメンバーとして参加し、医療的ケア児の支援拡充のために何が必要か、障害児保育園の事業運営をしてきた経験と知見をもとに提案してきました。

永田町子ども未来会議の活動により、2016年に児童福祉法の改正案が成立し、法律の中に医療的ケア児に関する文言が初めて明記されました。しかし、努力義務規定の記載にとどまったため、自治体の取り組み姿勢によってサービスに差が出ることが懸念されていました。また、障害児の預かりを拡充していくためには、法律の整備と同時に診療報酬改定も進めていく必要がありました。

2018年の障害福祉サービス報酬改定に大きな期待が寄せられましたが、医療的ケア児の預け先が拡大するには程遠い改定内容でした。医療的ケア児への支援を拡充するためには、厚生労働省・文部科学省・総務省の力を結集する必要があり、省庁をまとめるための法律の必要性が明らかになりました。

その後、永田町子ども未来会議で超党派議員立法として医療的ケア児支援法案を起草し国会に提出され、2021年6月に医療的ケア児支援法が成立しました。なお、同年4月の障害福祉サービス等報酬改定により、医療的ケア児の受け入れに必要な費用を補うための報酬が施設等へ適切に分配されることになり、動ける医療的ケア児の預かり先の拡大に向けて大きな一歩を踏み出しました。

[画像6: https://prtimes.jp/i/28029/199/resize/d28029-199-603670-4.png ]




医療的ケア児への支援が拡充されるよう、各自治体へのサポートを行います

医療的ケア児支援法はあくまでも理念法であり、今後、施行令・施行規則が検討されます。
医療的ケア児支援協議会は、各自治体が医療的ケア児の支援に取り組みやすいように、自治体向け研修の実施など積極的にサポートを行います。
具体的な研修内容・日程については追ってホームページ等で発信させていただきます。


一般社団法人全国医療的ケア児者支援協議会について http://iryou-care.jp/

日本初の障害児保育園ヘレン、障害児訪問保育アニーなどを運営する認定NPO法人フローレンスは、障害児親子を取り巻く社会問題解決に向け、社会福祉法人むそう 代表 戸枝氏、NPO法人ソーシャルデベロップメントジャパン 代表 矢部氏と共同で2015年に「全国医療的ケア児者支援協議会」を立ち上げました。
2019年、医療法人財団はるたか会/あおぞら診療所 理事長 前田氏、医療的ケア児保護者 山田氏を理事に迎え、一般社団法人化いたしました。当団体は医療的ケア児保護者や関係者1,000名超による日本最大規模の医療的ケア児者 当事者団体です。

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