パレスチナ:ヨルダン川西岸でも紛争の影響――心理ケアのニーズ高まる

PR TIMES / 2014年8月1日 14時13分

パレスチナ・ガザ地区とイスラエルの紛争は一時停戦で合意(7月31日時点)したものの、なお緊張状態が続いている。一方、紛争の影響はヨルダン川西岸地区にも及んでいる。イスラエル軍による強制捜査、逮捕、抗議活動を行う人びととの衝突などが発生し、住民の生活に深刻な影響が出ている。国境なき医師団(MSF)は同地区で、医療援助の一環として心理ケアの提供も行っている。

ヨルダン川西岸地区では、2014年6月にユダヤ人入植者の少年3人の拉致事件が発生。イスラエル軍が地区全域で数百件に及ぶ家宅捜索や逮捕を展開し、今回の紛争へと事態が悪化した。地区内では、イスラエルへの抗議活動に参加している人びとに対し暴力的な取り締まりが行われており、多数の死傷者が出ている。その結果、住民の精神状態は一層、損なわれている。



患者の多くは子ども、暴力目撃がトラウマに
MSFの心理ケアチームは、6月中旬から7月中旬にかけて、ヘブロンと周辺地域で計1146人に心理的支援を提供した。大半の患者が不安感、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、心身医学的な問題、苦悩を抱えていた。

ヘブロンでMSFプログラム責任者を務めるスリジータ・ヴェルマは「MSFは、強制的な家宅捜索、殴打、暴力を伴う逮捕などの侵害行為を目撃しています。暴力が過熱し、住民の生活に深刻な影響を及ぼしています」と証言する。

MSFは6月18日、ヘブロンに拠点を置く心理ケア・プログラムの一環で、心理ケアの緊急対応を開始した。地区内では、長期の占領状態と日常的な暴力に阻まれ、心理ケアのニーズに対し、提供はわずかだった。一方、住居侵入、逮捕、抗議活動時の負傷が増加していることで、心理ケアのニーズもはさらに高まっている。

ヘブロンでは、MSFの心理ケアを受けている患者の多くが子どもだ。親の逮捕や自宅の破壊といった暴力を目撃したことでショック状態に陥ったり、夜間に家宅捜索を受ける恐怖から睡眠障害を抱えたりしている。

自宅にブルドーザーがやってきて……

ゼイナブ・サイード・ダヘルさんは、イスラ エルとパレスチナの支配地域の境に位置するハレト・アル・フルンの住民で、MSFの診療を受けている患者の1人だ。

「自宅から出ていくようにと言われ、軍用ジープとブルドーザーがやって来て、自宅を破壊されたのです。ユダヤ人少年拉致事件のあとから、こうしたことが始まりました。10年以上もここで暮らしてきたのに、なぜ今になって家を壊されなければならないのでしょう」

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