シリア:紛争の中で生きる人びとの1日を追って――映像・写真特集を公開

PR TIMES / 2014年8月14日 19時2分



シリアが内戦状態に陥って3年半が経過。これまでに15万人以上が命を奪われ、900万人以上が住まいを追われ、うち300万人は難民として国外で過酷な生活を送る。国境なき医師団(MSF)は、数字だけでは見えてこないこの紛争の影と、人びとの暮らしに光を当てるべく、医療従事者、患者、難民の視点からシリア紛争の1日を追った映像と写真エッセイを制作・公開した。本特集「シリア内戦:戦火からの距離、帰郷までの距離」は、シリア紛争の過酷さと、絶え間なく増える幅広い医療ニーズを描き出している。

特集URL:http://www.msf.or.jp/news/detail/special_1555.html

<無慈悲な紛争>

「私は昨年後半にシリアを訪れ、爆撃によるケガや、治るはずの病気で苦しむ子どもたち、避難場所のない家族、安全な環境で出産できない妊婦を目にしました。シリア問題を語る時、総じて人間性に欠ける部分があります。それは基本的に数字が話題になるからです。今回の特集が伝えるのは、残酷で無慈悲な紛争が人びとに及ぼす罪なのです」。MSFインターナショナル会長のジョアンヌ・リュー医師はそう説明する。

本特集制作にMSFとともに携わったのは、ケイト・ブルックス氏、ユーリ・コジレフ氏、モイセス・サマン氏、ダニエル・エッター氏、トン・クーネ氏ら実績豊富な写真家・映像作家だ。2013年末に、イラク、レバノン、ヨルダンに逃れた難民を援助するMSFの医療施設を訪れ、現場の状況と1日の活動の流れを取材した。映像や写真からは、日々の問題や恐怖、そして母国シリアの状況までもが垣間見えてくる。

■ ヨルダン北部ラムタ
シリア国境までわずか5km、内戦の爆音も届く距離にあるこの街のMSFの医療施設に、重傷者3人を搬送中との知らせが届く。MSFの外科医で、自身もイラクからの難民だったハイダル・アルワシュ医師が研修を切り上げ、手術に備える。「ここでの仕事は非常に求められることが多いのですが、患者には今それが必要なのです。明日や来週ではないのです」

■ イラク北西部ドミーズ難民キャンプ
人でごった返すこのキャンプには、6万人以上のシリア人難民が暮らす。ムスタファ・ハリル医師は自身もシリア人難民だ。朝、彼の視界に飛び込んでくるのはMSF診療所の開所を待つ何十人もの姿だ。カメラが慌ただしい治療活動の1日を追う。MSFの地域保健担当者2人が、入り組んだテント群の合間を抜けていく。難民世帯を訪問し、医療を受けられることを周知するのだ。

■ レバノン・ベッカー高原
この地域に散らばるシリア人難民は、キャンバス生地のテントから無人の校舎まで、滞在可能なあらゆる場所に身を寄せている。ハナネ・ラハジリはMSFの地域保健担当者として、この地域の難民の健康状態を調査し、MSFが医療を提供していることを伝えて回っている。「私自身が妊婦なだけに、彼らの境遇にいっそう感じ入るものがあります。ある女性が赤ちゃんを亡くしたという話を聞いたときは、本当に悲しくなりました。私が彼女の立場だったら、と考えたのです」

■ ヨルダン・首都アンマン
MSFが再建手術プログラムを運営するこの地で、アシュラフ・ブスタンジ医師の患者の中には、半年以上前に爆弾の破片で片脚をやられてしまった人がいる。シリア国内ではそこに居合わせた唯一の医療者である歯科医の処置を受けた。ブスタンジ医師は、ときに患者の早期回復への期待をいさめなければならないこともある。

「わずか1日の間に私たちが記録したものは、シリア紛争ごく一端を映しだしたに過ぎません。しかし、このほんの1日の中でも、内戦のもたらす途方もない苦しみが鮮明に浮かび上がってきます。私たちが1日しか接していないその現実は、もう3年以上続いており、終わりも見えていないのです」。レバノンの取材したマグナム・フォト社所属の写真家、サマン氏はそう語る。

2014年1月の公開予定だった、本特集は、同月2日にシリア北部でMSFの外国人スタッフが武装勢力に拉致されたことにより延期された。拉致された5人のうち3人は4月4日に解放され、残り2人の拘束は5月14日まで続いた。

<MSFとシリア>

MSFはシリア内戦ぼっ発の直後の2012年6月から活動を開始。医療施設への医薬品寄贈に始まり、やがてMSF自らの施設を設置した。国内の活動について、シリア政府の公認も得ようと努めたが実現には至らず、主に北部国境沿いの反政府勢力支配地域で活動している。その後、周辺国でもシリア人難民を対象とした広範な医療・人道援助活動を行っている。シリア国内では残酷な戦闘と、医療体制の崩壊の中、医療従事者までが標的となっているため、緊急の医療ニーズは計り知れない。

MSFはこれまでにシリア北部で運営する複数の病院と診療所で少なくとも1万151件の手術、6万3440件の救急診療、10万9214件の外来診療、2373件の分娩介助を提供した。また、国内7県で活動中の複数のシリア人医療ネットワークが運営する58ヵ所の病院と38ヵ所の診療所も支援。現地での直接の医療行為は情勢不安のため、極めて難しく、一部の活動は規模を縮小しているものの、MSFの優先事項は今後も可能な限りの場所で直接援助を届けることだ。イラク、ヨルダン、レバノンでも、シリア人難民を対象とした大規模な医療プログラムを展開中で、通算の診療件数は58万7000件以上に及ぶ。

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