結核:MSF、国際社会の薬剤耐性対策に警鐘

PR TIMES / 2014年10月31日 15時12分



スペインのバルセロナで10月30日、「第45回世界肺の健康会議」が開催され、国境なき医師団(MSF)が、薬剤耐性結核(DR-TB)に関する最新の研究報告書『Out of Step』を発表した。DR-TBを巡る時代遅れの施策と医学的対応の大幅な不足が、国際保健の危機的状況を助長していることに警鐘を鳴らす狙いがある。

この研究は結核の高まん延国8ヵ国を対象とした調査に基づくもの。結核の感染制御の取り組みが、国際的な勧告や実績のある対策から逸脱しており、DR-TBの拡大を抑止できていない現状を明らかにしている。MSFは、各国政府、資金提供者、産業界の速やかな行動と尽力がなければ、DR-TBの拡大は避けられないと警告している。

ペトロス・イサキディス医師(MSFインドの疫学専門家/オペレーションズ・リサーチ上級研究員)の話

MSFが医療援助活動を行っている旧ソビエト連邦圏の一部で、未治療の結核感染者の30%以上が多剤耐性結核(MDR-TB)に感染している事実があります。これは、DR-TBの対人感染が始まっていることを示唆するものです。

インドのムンバイでも、DR-TBの対人感染が、スラム地区内やHIV感染者の間で、さらなる結核の流行につながっていると見られています。DR-TBは、各国政府が長年にわたって無関心だったことや、対策が遅々として進まず、ちぐはぐな対応が行われていることによる人災です。各国には、国際的な指針に沿うDR-TB対応の最適化と、新たな手段の活用による対策の強化・加速化にいっそう力を注いでいただきたいと思います。

結核対策に5つの致命的な欠陥

世界保健機関(WHO)の最新統計では、MDR-TB患者の世界推計人口全体のうち、診断を受けた人は3分の1未満、適切な治療を受けている人は5分の1に過ぎない。医学的対応の不足がDR-TBの対人感染を拡大している、一部の国では、結核の新規患者に占めるMDR-TB患者の割合が35%にも及んでいる。この傾向はMSFの活動先施設でも見られる。

報告書『Out of Step』では、結核対策における5つの致命的な欠陥を指摘している。薬剤耐性検査の普及の不足、未治療のDR-TB患者の増加、時代遅れの薬剤や費用負担の大きいケアモデルへの固執、有望な新薬や用法の改訂された既存薬の入手困難、深刻な資金不足だ。

MSFの研究では、薬剤耐性検査が調査対象の8ヵ国の多くで大幅に不足していることがわかった。MDR-TBと診断された人の治療率は、4ヵ国で75%を下回った。入院治療が慣例となっている国も4ヵ国あった。入院治療よりも生活圏に基盤を置いた治療を行うほうが、患者の負担が少なく、より低コストで同程度の医学的効果をもたらすことは既に明らかになっている。また、5ヵ国の国家結核対策事業が深刻な資金不足に直面しており、中でもケニア、ミャンマー、ジンバブエは必要な資金の50%未満しか確保できていない。

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