ボッシュ子会社Buderus GussのiDiscが都市における粒子状物質(PM)の排出量低減に寄与
PR TIMES / 2017年11月23日 14時1分
Buderus Gussの新しいブレーキディスクはブレーキ粉じんの発生量を最大90%低減
ボッシュの子会社Buderus Gussは、ブレーキ粉じんの発生量を最大90低減可能なブレーキディスクiDiskを開発しました。
ボッシュ取締役会メンバーのホーアイゼル:「iDiscはブレーキディスク2.0とも言うべきもので、その市場規模は非常に大きい」
道路で排出されるPM量の32%がブレーキとタイヤに起因
iDiscのカーバイドコーティング(炭化物被覆)がブレーキの摩耗や亀裂の発生を抑え、安全性の向上に貢献
iDiscは2017年11月から欧州の自動車メーカー向けに量産開始予定2016年の自動車用ブレーキディスクの世界需要は3億3,000万個超
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自動車の安全システムと言っても、その種類は多岐にわたります。完璧に設計された丸み、特定のプレートサイズ、親指ほどの厚さのブレーキディスクも、その1つに含まれます。ABS、ESC、エアバッグといったさまざまな機能やシステムは、ブレーキの制動距離の著しい短縮など、ドライビングの安全性の向上に大きく貢献し、多くの交通事故を未然に防いでいます。しかし今日、このブレーキディスクが別のところで世間の注目を集めています。その理由は、ブレーキ粉じんにあります。道路交通関連から排出される粒子状物質の多くは道路、タイヤやブレーキの摩耗に起因しており、その量は燃料の燃焼の影響を上回ります。バーデン・ヴュルテンベルク州環境局によると、道路で排出されるPM量の32%がブレーキとタイヤに起因し、その約半分がブレーキ粉じんとされています。つまり、ブレーキ粉じんの発生量を著しく抑えることができれば、特に都市の大気の質の改善に大きくつながることになります。そして、ボッシュ子会社のBuderus Gussが開発したiDiscは、従来のブレーキディスクと比べてブレーキ粉じんの発生量が最大90%抑えられています。「大気を清浄に保つためだけにボッシュがこの製品に注力しているわけではありません」と話すのは、ボッシュ取締役会メンバーでBuderus Gussも含めて担当しているディルク・ホーアイゼルです。「iDiscはブレーキディスク2.0とも言うべきもので、その市場規模には大きな期待を持てます」。このiDiscは、2017年11月から欧州の自動車メーカー向けに量産が開始される予定です。
ブレーキディスク市場を一転させる可能性があるiDisc
iDisc(「i」は「innovation」の意)の秘密は、現在Buderus Gussのみが実現できるタングステン カーバイド コーティング(炭化タングステン被覆)にあります。この技術は、従来型の鋳鉄製ブレーキディスクをベースとしています。Buderus Gussは毎年最大2,000万個のブレーキディスクをドイツの2つの拠点(ブライデンバッハ、ルートヴィヒスヒュッテ)で製造しています。従来型のブレーキディスクをiDiscに変換するために、コーティングを施す前にフリクションリングを機械的、熱的および電気的に処理します。なお、これはBuderus Gussとボッシュの開発担当者が数年以上かけて作り上げたプロセスの一部です。iDiscの価格は一般の鋳鉄製ブレーキディスクの約3倍高くなりますが、セラミック製ブレーキディスクよりも約3分の一と安価になります。そして、iDiscの生産量が増えれば増えるほど、この価格が下がっていく可能性があります。Buderus Guss社長のGerhard Pfeiferはこう話します。「iDiscはいずれ従来型の鋳鉄製ブレーキディスクと完全に置き換わり、ブレーキディスク市場の新たな基準となっていくでしょう。世界中の多くの国々や大都市で粒子状物質による大気汚染が依然として大きな問題となっているため、iDiscの躍進の妨げになりそうなものはまったくありません」。ブレーキディスクは自動車に欠かせない部品となって数十年になりますが、その生産量は増加の一途をたどっており、2016年の自動車用ブレーキディスクの世界需要は3億3,000万個以上にのぼっています。
ガウジ痕(表面の粗い磨耗痕)が残らず、サビとも無縁
iDiscには、これ以外にもさまざまな利点があります。カーバイドコーティングを施したiDiscは、ブレーキ粉じんの発生量が著しく抑えられるだけでなく、優れた安全性にも寄与します。セラミック製ブレーキディスクと同様、iDiscもブレーキ動作を繰り返すと制動力が低下するフェード現象を極力抑えることができ、優れた安定性を保てるだけでなく、ブレーキ性能も長く維持することができます。また、カーバイドコーティングによって強度がアップしたことで摩耗量が著しく減少し、iDiscの耐用年数は一般のブレーキディスクの2倍に達します。さらに、フリクションリングにガウジ痕が残らず、腐食とも無縁のため、特に電気自動車でその力を発揮します。電気自動車の場合、 ブレーキディスクが制動エネルギーを回生するため、ブレーキにかかる負荷を低減しつつ、フリクションリングのサビの形成を抑えることが重要になります。しかしiDiscはその点に優れているため、ブレーキング時の一時的な応答性の低下も生じることはありません。
リム(ホイールの外輪でタイヤを組み込み装着する部分)の汚れから解放
iDiscの場合、リムの汚れからも解放されます。ブレーキディスクに施されたカーバイドコーティングの輝きは審美的に優れているだけでなく、耐摩耗性と耐腐食性に優れ、長年使用してもその美しさを保てるため、オープンタイプのリムに最適です。つまり、iDiscはブレーキ粉じんの発生量を最大90%抑え、リムを清掃する頻度も少なくて済みますので、環境の保全などといった実益にもつながります。
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