令和6年度全国発明表彰「日本弁理士会会長賞」を受賞
PR TIMES / 2024年7月12日 16時45分
『高精度シリコンがんぎ車を用いて長時間の駆動を可能とした機械式腕時計の発明』
セイコーエプソン株式会社は、このたび令和6年度全国発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において、『高精度シリコンがんぎ車を用いて長時間の駆動を可能とした機械式腕時計の発明(特許第6891622号)』が「日本弁理士会会長賞」を受賞したことをお知らせします。当社が同賞を受賞したのは、平成24年度の「高輝度小型液晶プロジェクターの発明(特許第3826950号)」以来、3回目となります。また、全国発明表彰における当社の受賞は、令和4年の「文部科学大臣賞」以来、2年ぶりとなります。
表彰式は、7月11日(木)にThe Okura Tokyo(東京都港区)にて開催されました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/42912/231/resize/d42912-231-b821a784ba3e45a8d76a-0.jpg ]
全国発明表彰*は、日本における優れた発明・意匠を完成した者、並びに発明の実施および奨励に関し、功績のあった方々を顕彰することにより発明の奨励・育成を図り、我が国科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的に開催されるものです。今回受賞した日本弁理士会会長賞は、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ顕著な実施効果を上げている発明などを対象とする第1表彰区分において、特に優秀と認められる発明等に贈呈される特別賞となります。
全国発明表彰において「機械式腕時計」が特別賞を受賞したのは、昭和49年度に当社が「カレンダー時計の日付・曜日修正装置」で「内閣総理大臣発明賞」を受賞して以来、50年ぶりとなります。
*大正8年(1919年)の第1回帝国発明表彰に始まり、文部科学省、経済産業省、特許庁、世界知的所有権機関(WIPO)、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本弁理士会、朝日新聞社の後援により開催。
今回表彰の対象となった発明は、ぜんまいがほどけるトルクをエネルギー源として時分針を運針する機械式時計において、時間精度や駆動時間に影響する重要部品である「がんぎ車」に、エプソンとして初めてシリコン材料を採用したものです。
本技術により、機械式時計のエネルギー効率が向上し、時間精度を保ちながら駆動時間を最大70時間まで延長(従来の金属製がんぎ車搭載の場合と比べて最大20時間延長)することが可能となりました。
【受賞および受賞者】
<日本弁理士会会長賞>
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/42912/table/231_1_a25e6ca375ffe3d65c90752bf4b0ad82.jpg ]
<発明実施功績賞>
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/42912/table/231_2_58bb0ef6d4df0b23a4be23cd0ae2eb43.jpg ]
【受賞者コメント】
<澁谷 宗裕>
本発明による、もろい素材であるシリコンと金属部品の嵌合(かんごう)技術が、機械式腕時計の精度と駆動時間の向上に寄与できたことは大変光栄に思います。この時計には、本特許技術に加えてさまざまな他の革新的技術が採用されており、それらがすべて結集し商品化されたことが今回の受賞につながったものと考えています。今後も新たな技術の開発を進め、さらに魅力的な商品を創造することに貢献したいと思います。
<舟川 剛夫>
このたびは素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。開発当初は時計の知見が浅く、何も分からない状態でした。しかし、さまざまな方の協力を得て試行錯誤し、商品化につなげられたことはこの上ない喜びです。本受賞は開発設計だけでなく、技術、製造、管理、企画、営業、知財などの多くの部門の方々に尽力いただいた結果です。関係者の皆様にあらためて感謝申し上げます。今回の受賞を機に、社会に貢献できる技術開発ができるようますます精進したいと思います。
<永坂 栄一>
このたびは大変栄誉ある賞をいただき、光栄に存じます。入社以来ウオッチ開発に携わってきました。初めてでき上がったシリコンがんぎ車を見たとき、今までの部品とは全く異なっていて感動しましたが、それをピンセットで触った瞬間に欠けてしまい、落胆に変わったのは忘れることができません。しかしそれから、受賞したメンバーと一緒に何度も改善を重ね、魅力ある商品を作り上げたことが受賞につながったものと思います。今後もお客様に喜んで身に着けていただける商品作りを続けてまいります。
【本発明の概要】
本発明では、がんぎ車のシリコン回転部に、プリントヘッドの加工で培ったMEMS加工を用いて、シリコンのしなる特性を活かした複数のバネ部を形成しました。バネ部が中心軸凸部を周囲から押圧することにより、接着剤を用いずに、回転部と軸の中心を偏心なく一致させました。バネ部は組立時の応力を分散し、シリコンの欠損防止にも役立っています。さらに、シリコン回転部先端の一部を中心軸凹部に入れ込むことにより、回転部と中心軸を一体的に回転させています。
本発明により、高精度に加工した軽量なシリコンがんぎ車を、接着剤レスで偏心なく回転させることができ、駆動エネルギーの損失を大きく減らすことができました。
本発明は、オリエントスター「スケルトン」機種の機械式腕時計に採用されています。本発明のがんぎ車の搭載により、ぜんまいを薄く長くすることで、時間精度を維持したまま、駆動時間を最大70時間まで延長できるため、週明けに時刻合わせ不要な機械式腕時計を実現することができました。この時計では、シリコン表面への青色反射膜の形成により、時計のスケルトン文字板の開口から、天の川銀河を感じさせる鮮やかな青色に輝く「がんぎ車」の渦形状を見ることができます。
[画像2: https://prtimes.jp/i/42912/231/resize/d42912-231-3c1840ff43109cdf26e8-3.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/42912/231/resize/d42912-231-420e0f6cb2a4c9596517-3.jpg ]
「日本弁理士会会長賞」を受賞した発明が採用された機械式腕時計の詳細は、以下WEBサイトをご覧ください。
・ 「オリエントスター」BRAND VALUE>MANUFACTURE
URL:https://www.orient-watch.jp/orientstar/brand-value_manufacture.php
※URLリンク先には、受賞発明の概要と特許番号「特許第6891622号」が記載されています。
・ 「オリエント」機械式腕時計の設計技術
URL:https://corporate.epson/ja/technology/search-by-products/wearable/orient-watch.html
以上
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