国立西洋美術館と凸版印刷、モネ 幻の大作≪睡蓮、柳の反映≫の欠損箇所をデジタルで推定復元し初公開
PR TIMES / 2019年6月10日 14時40分
2019年6月11日(火)から国立西洋美術館で公開
独立行政法人国立美術館 国立西洋美術館(館長:馬渕明子、以下 国立西洋美術館)と凸版印刷株式会社(代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、クロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫の欠損箇所の推定復元を実施。このたび完成しました。復元画像は2019年6月11日(火)から国立西洋美術館で開催する企画展「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」に合わせて公開します。
約60年ぶりに発見された≪睡蓮、柳の反映≫は画布の半分近くが欠損しており、作品の全体像が確認できるのは欠損前に撮影された白黒写真のみです。今回、国立西洋美術館による修復や自然科学的調査や国内外の美術館でのモネの作品調査および、筑波大学の協力によって開発したAI技術による色彩推定結果を踏まえ、≪睡蓮、柳の反映≫の欠損部分をデジタル推定復元しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/33034/234/resize/d33034-234-505093-0.jpg ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/33034/234/resize/d33034-234-220234-1.jpg ]
■ 松方コレクションとクロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫について
松方コレクションは、神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)の初代社長などを務めた松方幸次郎が、1910年から1920年代にヨーロッパ各地で蒐集(しゅうしゅう)した美術品のコレクションです。1920年代末から散逸した作品も多いですが、コレクションの一部は戦後、日本へ「松方コレクション」として寄贈返還されました。これを保管展示するための美術館として1959年に国立西洋美術館が設立されました。
≪睡蓮、柳の反映≫は、1921年に松方がモネから直接譲り受けた、代表的な連作「睡蓮」の中の1点。横4.25メートルの大作で長い間所在不明でしたが、2016年に画布の上半分が失われた状態で発見されました。パリ・オランジュリー美術館の「睡蓮」の大装飾画を構想する過程で描かれたとされ、画家の制作プロセスを考えるうえでも、意義のある“幻の大作”です。
■ クロード・モネ≪睡蓮、柳の反映≫の推定復元について
・同時期の類似作品調査でモネの描き方や彩色を検証
≪睡蓮、柳の反映≫は、画面のほぼ中央に、水面に反映する柳の幹が描かれています。復元にあたり、北九州市立美術館や地中美術館、マルモッタン・モネ美術館などが収蔵している、描いた時期やモチーフが近い作品を中心にモネの作品の調査を実施しました。
・学術調査を踏まえた白黒写真からのデジタル復元
≪睡蓮、柳の反映≫の復元は同作品残存部分と白黒写真を主たる手がかりとして実施しました。国立西洋美術館が実施した残存部分の科学調査により、本作品に使用されている絵具を特定。同様の絵具を用いて原寸大に画き、同時期の他の作品と比較することで、モネが描く際の手順や特徴などを探りました。また、白黒写真については、フランス文部省・建築文化財メディアテークの協力を得て、その撮影原版にあたるガラス乾板から高精細にスキャンされたデータを入手。高精細スキャンデータと作品の現存部分を比較し、当時の撮影環境なども推定することで、白黒写真から得られる色彩情報の精度を高めました。
・AIを活用したモネの色彩推定
今回、色彩を推定する手がかりとしてAI技術を活用しました。モネの作品画像を筑波大学人工知能科学センター飯塚里志助教の協力により、モネの様々な作品からその彩色パターンをAIに学習させ、≪睡蓮、柳の反映≫の一部色彩情報と合わせて全体の色彩を推定する仕組みを実現。人による推定をAI技術による推定によって検証し、客観性を高めました。
■ 凸版印刷のデジタル復元について
凸版印刷は、国内外の貴重な文化財を後世に継承するために実物のデジタルアーカイブや消失文化財のデジタル再現に取り組んでおり、この分野で多くの実績をあげています。
■ 企画展「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」について
会期: 2019年6月11日(火)~9月23日(月・祝)
会場: 国立西洋美術館
主催: 国立西洋美術館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
※展覧会の詳細は、松方コレクション展公式ホームページhttps://artexhibition.jp/matsukata2019/をご覧ください。
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
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