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コネクテッド・インダストリーズを実現する深層学習技術

PR TIMES / 2017年11月8日 17時1分

イノベーションワークショップ2017「Connected Industries~第四次産業革命のその先へ」第2回

フューチャー イノベーション フォーラム(代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャー株式会社会長兼社長、以下FIF)は10月19日に、イノベーションワークショップ2017の第2回を開催しました。
本ワークショップは、次世代リーダーの育成と業界の枠を越えた企業同士の交流を深める場として、2007年にスタートしました。本年は「Connected Industries~第四次産業革命のその先へ」をテーマに、日本の未来のあるべき姿として、国が実現を目指している産業社会「コネクテッド・インダストリーズ」がどのような社会なのかを紐解きながら、企業や業界が互いにつながり、データを利活用することで生まれる新しいビジネスモデルや付加価値について、全3回にわたって議論しています。



[画像: https://prtimes.jp/i/4374/242/resize/d4374-242-400793-0.jpg ]


【開催概要】
講演者:株式会社Preferred Networks 最高戦略責任者 丸山 宏
テーマ:コネクテッド・インダストリーズを実現する深層学習技術
コ―ディネータ:国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター所長 前川 徹
日 時:2017年10月19日(木) 18:00~20:30
会 場:フューチャーアーキテクト株式会社(東京都品川区)

【講演概要】
◆人工知能(AI)と深層学習技術への正しい理解
株式会社Preferred Networksは、IoTにフォーカスした深層学習(ディープラーニング)のビジネス活用を目的に2014年に創業し、現在はトヨタ自動車株式会社やファナック株式会社と共同研究・開発を行っている。「コネクテッド・インダストリーズ」を実現するには、人工知能(AI)のビジネス活用が不可欠だが、そのためにはまずAIや深層学習について正しく理解することが必要だ。
AIには「汎用AI」と「特化型AI」の2つがある。汎用AIとは、あらゆる面で人間と同等以上の知性を持つAIを指し、映画『ターミネーター』や『鉄腕アトム』のイメージに近い。一方、特化型AIとは、ある特定のタスクにおいて知性を示すAIを指す。AIが注目される中、この2つが区別なく使われているため、AIに過度な期待をしたり人類の脅威とみなす議論が起きたりしているが、現在の技術では、ターミネーターのような汎用AIを実現することは不可能に近い。いま研究が進んでいるのは特化型AIであり、2016年にプロ棋士に勝利して話題になった「アルファ碁」も特化型にあたる。
1950年代に始まったAI研究は、いま第3次ブームを迎えている。研究の中心にあるのは、深層学習という技術だ。これは膨大なデータから一定の規則性やパターンを自動的に見つけ出しモデル化する「帰納的プログラミング」のことで、2012年に技術が劇的に進化し、画像認識の分野ではすでに人間の能力を超える精度を獲得した。これまで困難だった複雑なデータ処理ができるようになったことで、クルマの自動運転や医療分野の画像診断などビジネスへの応用範囲が飛躍的に広がり、AIを活用した新規事業の創出など期待が高まっている。

◆深層学習のビジネスへの応用とその限界
深層学習をビジネスに応用する領域は、目的に応じて「認識」「予測」「最適化」の3つの分野がある。「認識」とは画像や音声などのデータを認識・分類することで、最も注目されているものの一つが自動運転技術の開発だ。当社では単眼カメラでとらえた走行中の映像のセグメンテーションを行っており、画像の各ピクセルを人、車道、ビル、交通標識などにリアルタイムで判別する技術を開発している。「予測」とは、過去のデータを元に将来の値を推測することだ。深層学習が得意とする分野で、機械の故障を予測し未然に防ぐ予防保全や売上予測、需要予測などがある。「最適化」とは、最大の効用を得られるように制御することで、ロボットや自動車の自律制御などに使われている。具体的には自動運転のシミュレーターにおいて、「速く前進すると報酬が得られ、衝突するとペナルティが課せられる」という条件で走行を繰り返していくと、最初はぶつかってばかりいるものの、トライアンドエラーを繰り返しながらパラメータを調整し、次第にスムーズに走行できるようになる。これは「深層強化学習」と呼ばれ、より多くの報酬が得られそうな行動を選択してくことで、結果的に最適な行動がとれるようになる。
一方で、深層学習には限界もある。まず深層学習は過去のデータに基づいて未来を予測するため、過去と未来が連続していなければ正しい予測ができない。しかし、現実の世界では大きな変化がつきものであり、突発的な出来事や過去にない事例に対応することは非常に難しい。次に深層学習は本質的に確率的であるため、得られた結果を100%保証することができない。たとえば100%安全な自動運転車をつくろうとすると、結果的に全く動かない車ができる。衝突を避けるには、動かないことがベストだからだ。安全性と効用のバランスをどうとるかは、人間が判断しなければならない。このほかAIの活用には、大規模な計算リソースや大量の訓練データが必要なことも大きな壁となっている。
こうした限界も踏まえた上で、深層学習をビジネスに活用するにあたっては、何を学習用データとして使うのか、十分な量のデータはあるのかという点を事前に精査すべきだ。また得たい成果は「認識」か「予測」か「最適化」なのかを明確にし、システム全体の中で何を深層学習というツールに任せるのかを検討しなければならない。AIの本質をよく理解し、効果的に活用してほしい。

◆ AIが「啓蒙思想」に与える影響
最後に、AIが人びとの思想に与える影響について警鐘を鳴らしたい。最近、SNSによる攻撃的な発言や誤報、炎上が社会問題になっている。SNSはAIを使ったレコメンドなどを通じて、似たような考えの人が集まるよう操作されているため、同じ意見を持つ者同士がコミュニティを作りやすく、自分たちの意見こそが正しいと思い込み、事実を歪んで認識する「認知バイアス」を助長することが指摘されている。18世紀の啓蒙思想の根幹には、「人は合理的で理性的な判断ができる」という考えがある。この考えを元に民主主義や資本主義が発展してきた。しかし、SNS等によって、この根幹が揺らぎ始めているのではないだろうか。AIなどのテクノロジーを、人びとの認知バイアスを助長する方向で活用してはならないと強く思う。


【本ワークショップに関するお問い合わせ】
FIF事務局 TEL:03-5740-5817

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