過半数の企業がブランディング戦略は「未策定」と回答。海外向け発信は1割以下と限定的、グローバル展開における広報戦略の課題が浮き彫りに。「2024年度 ブランディングに関するアンケート」結果を発表
PR TIMES / 2025年1月9日 12時45分
日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベコンサルティング(本社:東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長:若松 孝彦)は、全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者、ブランディング・マーケティング責任者や担当者などを対象に実施した「2024年度 ブランディングに関するアンケート」の結果を発表します。
1.調査結果サマリー
(1)成長市場におけるブランド投資方針は「増加」が54.7%と最多に。企業が成長市場に対して積極的に投資を行い、さらなる市場開拓を目指していることを示しています。一方で、停滞市場では「横ばい」が66.7%と突出しており、停滞市場の多くの企業が現状維持を選んでいます。
(2)ブランディング戦略を策定している企業は46.7%となり、昨年と比較して約7ポイント増加となりました。一方で、53.3%の企業は策定に至っていないという結果に。企業におけるブランドの重要性に対する認識は高まりつつあるものの、過半数の企業ではブランド戦略が未策定の状態であり、ブランディング活動が十分に進んでいないことがうかがえます。
(3)広報活動の取り組み内容について、「自社サイトでの情報発信」が59.8%と最多となり、企業の広報活動において最も主要な手段となっていることが分かりました。「海外に向けたプレス・ニュースリリースの作成・配信」は4.7%と非常に限定的であり、グローバル展開における広報戦略の課題が浮き彫りとなりました。
2.各データ詳細
(1)成長市場におけるブランド投資方針は「増加」が半数以上。停滞市場では「横ばい」が約7割。
自社の市場を成長市場と捉える企業のブランド投資の方針として、「増加」が54.7%と最も高い割合となりました。これは企業が成長市場に対して積極的に投資を行い、さらなる市場開拓を目指していることを示しています。一方で、「横ばい」の回答も35.8%と高く、安定した投資戦略を維持する姿勢も見受けられました。また、自社の市場を停滞市場と捉える企業では「横ばい」が66.7%と突出しており、多くの企業が現状維持を選んでいることが分かります。
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(2)ブランディング戦略は半数以上の企業が策定に至っていない。
ブランディング戦略を策定している企業は46.7%となり、昨年と比較して約7ポイント増加となりました。一方で、53.3%の企業は策定に至っていないという結果となりました。これらから、企業におけるブランドの重要性に対する認識は高まりつつあるものの、依然として過半数の企業ではブランド戦略が未策定の状態であり、ブランディング活動が十分に進んでいないことがうかがえます。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/58707/243/58707-243-b7203d3ed1615dafd229a5485febb6f6-2055x768.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
(3)ブランディング戦略を策定している企業の中で、約6割は「戦略が順調に進行している」!
戦略を「策定している」企業に限定すると、57.0%の企業は戦略が順調に進行しているという結果となりました。一方で39.2%の企業では何らかの形で遅れが生じており、ブランディング戦略の実行に支障をきたしていることが見受けられます。さらに、3.8%の企業では戦略の進行が停止している状況です。ブランディング戦略が策定されていても、計画通り進行するためには課題が残ることが示唆されます。戦略の策定だけでなく、実行および進行管理の強化が重要です。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/58707/243/58707-243-2476aae7c5f807f18370c212448f46df-2059x627.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
(4)売上の増加に効果があった施策は、約半数が「インターネット広告」「展示会・イベント出展」 と回答。
アウターブランディングにおいて、取り組みによる影響と実施した施策を尋ねました。売上の増加に効果があった施策は「インターネット広告」が48.8%、「展示会・イベント出展」が50.4%となりました。市場シェア拡大においては「インターネット広告」、「展示会・イベント出展」ともに57.4%と高い割合となりました。これらは市場との接点を直接的に拡大する取り組みとして即効性があると考えられます。
ブランド価値向上に効果があった施策は、広報・PR活動が61.3%と最多となり、最も関連性が深い取り組みとして挙げられます。また、顧客満足度向上においては、広報・PR活動が50.0%、コーポレートサイトの運営が47.8%、インターネット広告が46.7%となり、これらが顧客との信頼関係を強化するために重要な役割を果たしていることが示唆されます。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/58707/243/58707-243-463431f4421fcfee07439b5afa752a28-1905x2700.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
(5)インナーブランディング施策が「企業文化の強化」に影響があったと回答した企業のうち、「PMVVの策定」を実施した企業は6割以上!
インナーブランディングについて、取り組みによる影響と実施した施策を尋ねました。パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー(PMVV)の策定は、企業文化の強化(61.8%)や顧客満足度の向上(59.2%)に効果があることが分かりました。また、社員向けイベントや表彰制度は、離職率の低下(47.2%)や生産性の向上(45.6%)に寄与していることが示されています。社内報やイントラネットを活用した情報発信も、離職率の低下(46.5%)や生産性向上(42.9%)において安定した効果を示しており、社員との日常的なコミュニケーションを支える重要な役割を果たしています。
これらの結果から、インナーブランディングは単なる社内コミュニケーション戦略にとどまらず、経営戦略の中核的な要素であることが明らかとなりました。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/58707/243/58707-243-53f3d18a5057f20d06ccd60110692601-2046x1823.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
(6)約2割がブランディング活動の評価指標を持たないと回答。
ブランディング活動の評価方法について、定性的および定量的指標のバランスが重要視されていることが明らかとなりました。特に、顧客や社員からのフィードバック(43.2%)や認知度調査、社員エンゲージメント調査(42.3%)が上位を占めており、顧客や社員の声を重視する傾向が顕著です。また、売上の増加(39.3%)もブランディング活動の主要な評価指標となっており、ブランディング活動の最終的な成果を経済的観点から測定していること分かります。一方で、デジタル指標であるウェブサイトのトラフィック(20.4%)とSNSのエンゲージメント(14.5%)の割合は相対的に低く、デジタルマーケティングの影響力は活動の評価指標としては限定的であることが示唆されます。
注目すべき点として、評価指標を持たない企業が20.7%存在することが挙げられ、ブランディング活動の効果測定に課題を抱えている企業も少なくないことが推察されます。
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/58707/243/58707-243-8e1e3ed0fe831be6cdec9442a5a4fc4b-2047x1067.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
(7)広報活動は「自社サイトでの情報発信」が約6割と最多。海外向けの発信は1割以下と限定的。
広報活動の取り組み内容について、「自社サイトでの情報発信」が59.8%と最多となり、企業の広報活動において最も主要な手段となっていることが分かりました。また、「SNSでの情報発信」も39.6%となり、デジタルコミュニケーション戦略の重要な柱となっていることが分かります。
「自社サイトでのプレス・ニュースリリースの作成・配信」は48.8%と高く、「外部ツール活用でのプレス・ニュースリリース作成・配信」(33.1%)とあわせて、情報発信におけるプレス・ニュースリリースの活用が進んでいることが分かります。「海外に向けたプレス・ニュースリリースの作成・配信」は4.7%と非常に限定的であり、グローバル展開における広報戦略の課題が浮き彫りとなりました。
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/58707/243/58707-243-77860e72ad252aea056c6cb120e38e2c-2018x1450.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
3.専門コンサルタントによる総括・提言
(1)戦略から実行、評価まで一気通貫のブランディングを行う
ブランド力を強化する必要性が増している中、半数以上の企業がブランド戦略を策定できていない現状が明らかとなりました。また、戦略を持つ企業でも約4割で進行の遅れが生じており、評価指標を持たない企業も約2割存在します。多くの企業でブランディングの戦略立案から実行、評価に至るまで様々な課題を抱えていることが浮き彫りとなりました。競争力を向上させるためには、現状分析に基づく戦略立案、社内外への効果的な浸透施策の実施、そして定性・定量指標による評価体制の構築など、包括的なアプローチが必要です。
(2)ブランドがエンゲージメントを高めて、組織を強くする
今回の調査により、社員が企業のビジョンや価値観を共有し、実感できるような施策を継続的に実施することが、組織全体のパフォーマンス向上に繋がることが示されました。社員参画型のワークショップや定期的な対話セッション、表彰制度の再構築を通じて組織の一体感を醸成し、社員のモチベーションを高める取り組みが必要です。これらの取り組みにより離職率の低下や生産性の向上が期待でき、企業の持続的な成長と強固な組織基盤の構築に繋がります。
(3)海外PRにより、グローバルをビジネスチャンスにする
自社サイトやSNSを活用する企業が多い一方で、海外に向けたプレス・ニュースリリースの利用はわずか4.7%に留まり、企業の広報活動が国内市場に偏っていることが明らかとなりました。企業の持続的な成長を目指すためには、海外市場からの需要を喚起するための広報活動が不可欠です。国際的な視点でのブランディング戦略展開とともに、現地の文化やトレンドに合わせた効果的なプレスリリースを作成し配信することが求められます。このような取り組みは新たなビジネス機会を創出し、企業の成長に寄与することが期待できます。
〈総括・提言 執筆者プロフィール〉
[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/58707/243/58707-243-e988399675f1d9c2bf782382e0f59145-1087x1449.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
株式会社タナベコンサルティング 取締役 飯田 和之
企業のマーケティング&ブランディング戦略パートナーとして、売上拡大・ブランド認知向上に直結する、戦略立案からマーケティング計画策定、具体的販促施策の実行・推進、メディア・クリエイティブ・プレミアムノベルティの企画、制作ディレクションまで一貫して支援している。
4.関連リンク
・「2024年度ブランディングに関するアンケート」資料ダウンロードページ
URL: https://www.tanabeconsulting.co.jp/brand/download/detail23.html
5.調査概要
[調査対象] 全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者、ブランディング・マーケティング責任者や担当者など
[調査期間] 2024年10月15日~2024年11月1日
[調査エリア]全国
[有効回答数]計338件
※各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
タナベコンサルティンググループ(TCG) について
TCGは、1957年に創業し、67年の歴史と実績を有する日本の経営コンサルティングのパイオニアです。「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、現在地から未来の社会に向けた貢献価値として、「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパスを定めています。
大企業から中堅・中規模企業、行政/公共のトップマネジメント(経営層やリーダー)を主要クライアントとし、創業以来17,000社以上の支援実績を有しています。
経営コンサルティング領域として、戦略策定(上流)から現場におけるDXなどの経営オペレーションの実装・実行(中流~下流)まで、企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティングモデルを全国地域密着で構築しています。そして、「All for Client Success-すべてはクライアントの成功のために」という徹底したクライアント中心主義のもと、個社ごとの経営課題に合わせて複数名のプロフェッショナルコンサルタントを選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を提供しています。
〈経営コンサルティング領域〉
・ストラテジー&ドメイン
・デジタル
・HR
・コーポレートファイナンス
・M&A
・ブランド&PR
・リージョン(全国10地域:札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡、那覇)
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