イエメン:アデンの住宅地に爆撃――負傷者100人を治療
PR TIMES / 2015年6月12日 17時25分
イエメン南部の主要都市アデンにある住宅地アル・バサティーンで6月11日、激しい爆撃があり、市内で活動している国境なき医師団(MSF)は、女性と子どもを含む負傷者100人以上の治療を行った。MSFは2015年3月19日以降、イエメン国内で2500人以上の負傷者を受入れているが、うち1800人以上はアデン市内の負傷者だ。南部の都市では状況が悪化し市内の移動も危険が伴うため、MSFのチームが負傷者のもとに赴くことも、患者が病院に来ることもできない状況が続いている。MSFは、民間人の安全を確保し、医療施設と医療従事者の中立性を尊重し、人びとが支障なく医療を受けられるようにするよう、紛争の全当事者に呼びかけている。
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病院の門の前にマットレスをしいて対応
アデンでMSFのプログラム責任者を務めるティエリー・ゴフォは「爆撃後の36時間で受け入れた負傷者は130人以上にのぼり、大半は住宅地アル・バサティーンの住民です。その地域で行われていたお葬式まで攻撃の対象となりました。アデン市内の病院はごったがえしていて、門の前にマットレスをしいて患者を受け入れているところさえあります。日々繰り返される戦闘と空爆も激しく、私たちは治療を受けに来られない患者さんを懸念しています。既に入院している患者さんも、怖くて帰宅できない状況です」と話す。
MSFは、アデン市シェイク・オスマン地区にあるアル・サダカ病院の敷地内で、独自の救急外科病院を運営している。MSFはクレーター診療所も支援するとともに、MSF病院に来られない患者を対象に外科外来の移動診療を運営している。しかし、市内の移動は極度に難しい状況となっている。ゴフォは「市内で移動中に何度も行く手をふさがれ、港から送られてくる医療援助物資を受け取れなかったこともあります。医療が必要な人に医療を届けられるよう、安全な移動の自由を保証してもらうことが必要です」と話す。
医療施設も攻撃の対象に
アデンの人びとは、戦闘だけでなく、戦線に囲まれることによる周囲からの遮断によっても苦しめられている。食糧、調理用ガス、燃料、医薬品が不足し、保健医療体制は崩壊しつつあり、慢性疾患を抱えた患者は薬ももらえない。イエメンにおけるMSF活動責任者を務めるハッサン・ブースナインは「道には遺体がいくつもあり、ゴミで埋め尽くされているため、都市全体がごみ捨て場と化しています。食糧と医薬品に対する封鎖を解除して、スムーズな空輸、海上輸送、陸上交通を確立し、現地の人びとが生きるために必要なものを受け取れる状態にすることが一刻も早く求められます」と話す。
また医療施設も攻撃の対象となっており、6月11日の朝には、アデン市内にあるMSF病院のすぐ近くに爆弾が落とされた。病院の中庭に爆弾の破片が落ちたことや、市外に出ていたMSFスタッフから30mと離れていないところに着弾したこともある。MSFが支援するタイズ州の病院では、付近に3発の爆弾が落ち、病院施設の一部が破損した。
イエメン全域で民間人が犠牲に
民間人に死傷者を出し、民間施設が被害を受けた別の例として、首都サヌア市、ホデイダ市、タイズ州、サアダ州、アムラン州、アッダリ州などでの人口密集地に対する空爆と砲撃が挙げられる。MSFが支援するタイズの病院では、6月10日だけで57人の負傷者が治療を受けた。そのうち1人は頭部を負傷した6歳の男の子で、自宅の外で遊んでいる最中に爆弾が落ち、けがを負った。一方サアダ州では負傷者の波が3回に分けて押し寄せ、MSFのチームが対応した。負傷者137人のうち17人は到着直後に亡くなり、その中には民間人も含まれていた。
ブースナインは「全ての紛争当事者による爆撃が、民間人が密集している地域を狙って落とされており、これは断じて許されません。私たちは、民間人の安全を確保し、医療施設と医療従事者の中立性を尊重し、人びとが支障なく医療を受けられるようにするよう、紛争の全当事者に呼びかけます。またこれらの点が今後行われる平和交渉でもしっかり取り上げられることを期待しています」と訴える。
MSFは現在、イエメンのサヌア、アデン、アッダリ、アムラン、タイズ、ハッジャの各州・都市で活動している。
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