【国立科学博物館】収蔵庫コレクションを活用した巡回展キットの貸出スタート 地域振興を目的とした新たな巡回展を開発
PR TIMES / 2021年7月7日 19時15分
国立科学博物館(東京都台東区、館長:篠田 謙一)では、全国の博物館などへ巡回展キットの貸出を積極的に行なってきました。この度、収蔵庫で保管されている標本を活用し、地域振興を目的とした新たな巡回展キット「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」を開発しました。全国の様々な施設を対象に、哺乳類を中心とした貴重で珍しい剥製や資料で構成された展示キットの貸出を開始します。
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巡回展キット「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」の特徴
■ 巡回展による標本資源の活用モデルの構築
収蔵庫で保管されている標本資料を展示キットとして全国規模で循環をさせることで、博物館が持つ資源の新しい価値を世の中に提示するためのモデルを構築します。
■ 標本資料の観察を通じて「発見の体験」をする展示
展示テーマは「観察の目、発見の芽」です。剥製周辺にはあえて情報を置かず、まっさらな視点での観察を促します。これまでよりも深く考える時間や機会が増えているコロナ禍で、剥製だからできる観察、剥製だから生まれる発見を通して、自分なりの気づきが浮かび上がる展示です。
■ 全国の多様な施設への貸出
完成されている展示キットを貸し出すことで、科学系博物館だけではなく全国の美術館や商業施設など多様な施設で開催が可能です。全国の様々な施設で、来場者が標本資料に触れ、驚きや発見を体験する機会を創出していきます。
展示紹介
国立科学博物館では、およそ480万点ほどの膨大な標本を有していますが、その多くは収蔵庫に保管され普段は公開されていません。この展示キットでは、その収蔵庫の中から世界屈指の動物標本コレクションとして知られる「ヨシモトコレクション」を中心に、選りすぐりの哺乳類などの標本を紹介するものです。
生物の形は長い進化の歴史の成果です。 それはその時代の環境に対しての一つの解であり、動物の剥製はその歴史の「ある一時」を切り取った姿です。 剥製となった動物が生きた環境には、その生息地における気候、地形、天敵や捕食対象、寄生虫、共に生きる同種他個体などがそこに含まれます。剥製を観察することで、環境への適応による動物の生き様や多様性の複雑さ、そして自然が創り出した美しさを知ることができます。
テーマは「観察の眼、発見の芽」です。“声なき標本たち”の姿を通して、見つめる眼(観察)と見つける眼(発見)を育み、他の動物との意外な共通点、私たちの日常とのつながりなど、標本にまつわる学びや問いを発見することができる展示となっています。
動物の剥製1点1点を美術作品のようにじっくりと観察するという展示方法で、来館者と剥製の新しいコミュニケーションをつくります。 ここで標本に付帯するのは、解説ではなく、観察するための「視点」の提示です。 それは展示を体験する人を「自分なりの気づきを得られる体験」、誰もに享受してほしい「新しい発見や驚き」へと導きます。 観察の視点を持ち、発見の体験を通じて、私たちと動物とのつながり、自然とのつながり、世界とのつながりを感じてもらいます。
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巡回展の貸出
2019年4月に独立行政法人国立科学博物館内に設置された「科学系博物館イノベーションセンター」では、博物館の持つ様々な資源を活用した取り組みを実施することで、当館の経営基盤の強化と地域の博物館も含めた科学系博物館の活性化を目指して事業を実施しています。
当巡回展は、標本資源の新しい価値を世の中に提示すること、また地域博物館も含めた事業活性化を目的としています。科学系博物館はもとより、美術館や商業施設など全国の様々な施設へ貸出を行い、博物館の持つ資源を全国規模で循環させることで、誰もが驚きや発見を体験する機会を創出していきます。
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大分県立美術館での開催概要
第一回目の巡回展として、大分県立美術館に展示キットを貸出、以下の内容で展覧会を開催します。
【巡回会場】大分県立美術館3階 コレクション展示室
【会 期】2021(令和3)年7月22日(木・祝)~9月12日(日)
【開館時間】10時~19時 ※金曜日・土曜日は20時まで(入館は閉館の30分前まで)
【観 覧 料 】一般300円/小・中・高校生200円
【主 催】公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館
【特別協力】独立行政法人国立科学博物館
【後 援】大分県、大分県教育委員会、大分合同新聞社、西日本新聞社、朝日新聞大分総局、毎日新聞社、読売新聞西部本社、NHK大分放送局、OBS大分放送、TOSテレビ大分、OAB大分朝日放送、エフエム大分、J:COM大分ケーブルテレコム
【企画編集・デザイン】日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
学術監修
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国立科学博物館 動物研究部 研究主幹
川田 伸一郎(かわだ しんいちろう)
1973年、岡山県生まれ。国立科学博物館動物研究部研究主幹(農学博士)。
専門はモグラ研究。名古屋大大学院博士課程入学後のロシア留学で標本作製に目覚め、職を得た同館の資料充実に奔走する。
著書に『モグラ博士のモグラの話』、『標本バカ』、『アラン・オーストンの標本ラベル』などがある。
企画編集・デザイン
日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。主な仕事に、水中環境をあらたな風景に再構築した「waterscape」、takeo paper show 2018 「precision」への出品作「動紙」、上野動物園の知られざる魅力をビジュアル化した「UENO PLANET」、ロゴの自在な展開性を追求したKITTEやTOKYO BIG SIGHTのVIがある。
今年7月に島根県隠岐の島にできるジオホテル「Entô」のアートディレクションも手掛けている。
三澤 遥 | 1982年群馬県生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、デザインオフィス
nendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動開始。ADC賞(2019)、毎日デザイン賞(2019)、JAGDA賞(2020)受賞。著書に『waterscape』(出版:X-Knowledge)がある。
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