千変万化する「北斎の画歴」特集公開!
PR TIMES / 2021年10月12日 13時15分
この秋、特設サイト「島根県立美術館の浮世絵コレクション」において、特集ページ「当館コレクションでたどる北斎の画歴」を公開します。
当館は、2022年5月[予定]まで改修工事のため休館中です。その間も、多くの方に当館の浮世絵コレクションを楽しんでいただくために随時特集ページを公開します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/36130/289/resize/d36130-289-dd8dd644f3ca30e43ba6-1.jpg ]
概要
島根県立美術館は、松江出身の実業家・新庄二郎氏(1901-1996)旧蔵の「新庄コレクション」、津和野出身の北斎研究者・永田生慈氏(1951-2018)旧蔵の「永田コレクション」という、2つの優れた個人コレクションを中心とした約3,000点の浮世絵を所蔵しています。
今年4月に当館浮世絵コレクションを紹介する特設サイトを開設し、各コレクションの概要や代表作の紹介はもちろん、「特集」を通じて、その魅力を紹介しています。
第1回目の特集は、当館が誇る浮世絵の名品「100選」!その美しい作品画像を多くの方に楽しんでいただいております。そしてこの秋第2回目の特集「当館コレクションでたどる 北斎の画歴」を公開します。
北斎といえば、《冨嶽三十六景》のような風景版画の印象が強いですが、実際には、デビューした20歳から亡くなる90歳までの約70年の間、傾注した分野や画題、画風は目まぐるしく変化しました。そのため、北斎の画家としての人生は、その時期に名のった主な画号から「春朗期」・「宗理期」・「葛飾北斎期」・「戴斗期」・「為一期」・「画狂老人卍期」の6期に大別されています。
当館の北斎コレクションは、この6期それぞれで北斎が描いた、錦絵・摺物・版本・肉筆画をほぼ網羅しており、単館のコレクションながら、北斎の画家としての履歴(画歴)を通覧することができます。この特集では、北斎各期を象徴する作品はもちろん、寡作とされる分野の希少な作品など120点をご紹介し、変化に富んだ「北斎の画歴」をたどります。
千変万化する「北斎の画歴」をどうぞご覧ください。
特設サイト
URL/https://shimane-art-museum-ukiyoe.jp/当館ホームページバナーよりお入りいただけます。推奨ブラウザChrome、Edge、Safari(いずれも最新版)
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特集ページ「北斎の画歴」サイト構成
●第1期「春朗期」- 多彩・多作な習作期
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北斎は安永七年(1778)、19歳で役者似顔絵の第一人者・勝川春章に入門し
たとされ、その翌年には「勝川春朗」の名で浮世絵界にデビューしました。この
「春朗」を名のった20歳から35歳までの約15年間は、北斎の70年に及ぶ全画業
の中で習作期と位置づけられ、勝川派以外の様々な画派の表現も貪欲に吸収し、
画技の研鑽に努めた時期です。
●第2期「宗理期」- 摺物・狂歌本の世界へ
寛政六年(1794)頃、勝川派を去った北斎は、経緯は不明ですが、琳派の流
れを汲む「俵屋宗理」の名を継ぎます。北斎はこの襲名を機に、富裕な趣味人に
よる豪華な摺物や狂歌本の挿絵、さらに肉筆画など、春朗期ではあまり手がけな
かった新たな分野に挑戦するようになります。画風も一変し、「宗理風」とよば
れる楚々とした優美な女性像に象徴される、温雅で叙情性漂う表現で世評を得た
らしく、数多くの優れた狂歌摺物、狂歌本の挿絵、肉筆美人画を描きました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/36130/289/resize/d36130-289-d905e07be7a94da8d590-3.png ]
●第3期「葛飾北斎期」- 読本挿絵の第一人者
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文化二年(1805)、北斎は「葛飾北斎」の画名を用い
るようになり、この頃から「読本」(文章主体の長編小
説)の挿絵に精力を傾けるようになります。曲亭馬琴や
柳亭種彦ら当代一流の戯作者と提携した読本挿絵を毎年
描いており、中でも馬琴と組んだ『新編水滸画伝』、
『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』などは、北斎生涯の代
表作に挙げられています。
●第4期「戴斗期」- 絵手本への傾」
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文化七年(1810)から「戴斗」を号すようになった北
斎は、次第に読本挿絵から離れ、「絵手本」の制作に傾
注するようになります。絵手本とは絵を学ぶ際の手本と
なる版本で、北斎は戴斗期以降、終生この分野に取り組
み、数多くの絵手本を発表しました。その内容も、具体
的な描法を示す教本、多くの絵をまとめた画集、工芸職
人のための図案集、絵画技法の解説書など、多岐にわた
ります。
●第5期「為一期」- 豪華摺物と錦絵の時代
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北斎は文政三年(1820)から天保四年(1833)まで
の13年にわたって「為一」号を用いました。この前期で
は、戴斗期に引きつづき絵手本が多く、摺物の分野で
は、《元禄歌仙貝合》と《馬尽》という2つの豪華摺物
を描きました。北斎の機知に富んだ発想力と精緻な描写
力が発揮された、北斎を代表する摺物の作例です。
そして後期に当たる天保初年頃からの約4年間に、北
斎は錦絵の制作に没頭します。中でも北斎の全画業を代
表する《冨嶽三十六景》は、様々な場所、視点、季節に
よって千変万化する富士の姿を、全46図にわたって描き
分けた大作です。従来の名所絵で重視された「名所性」
に縛られない、自由な場面設定が散見されるなど、浮世
絵における風景表現の可能性を広げた、記念碑的な揃物となりました。
●第6期「画狂老人卍期」- 新たな画境へ挑む
[画像8: https://prtimes.jp/i/36130/289/resize/d36130-289-fd1e890d6d71be1d741c-7.jpg ]
天保五年(1834)、75歳となった北斎は『富嶽百
景』初編にて、最後の画号となる「画狂老人卍」を用い
ました。北斎は本書巻末に、長寿を得て百数十歳に至れ
ば、一点一格が生きるがごとき絵を描けることだろう、
と記しており、終生新たな画境を追求しつづけんとす
る、北斎の作画姿勢がうかがえます。嘉永二年(184
9)、北斎は病のため90年の生涯を閉じました。その死
の床で、北斎はなお真正の画家となることを願い続けた
と伝えられています。
※画像には必ずキャプションをつけてご利用ください。
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